日蓮宗新聞
2012年2月20日号
宗務院で平和意見交換会 9団体僧侶檀信徒30人参加
法華経の教えと日蓮聖人の「立正安国」、「但行礼拝」の精神のもと、「環境・平和・いのち」をテーマに活動している人や団体をつなぎネットワークの構築を目指す「日蓮宗世界平和ネットワーク」(NIPN=河﨑俊宏事務局長)が1月20日、東京都大田区の日蓮宗宗務院で平和意見交換会を行い、9団体を含む僧侶檀信徒約30人が参加。各活動のさらなる発展を目指し、情報の集約と共有、意見交換など活発な討議が行われた。
開会の挨拶で河﨑事務局長が「立正安国実現に向けてお互い協力できることを見つけてほしい」と同ネットワークのモットー“つなぐ、架け橋”を説明。
続いて参加者の活動報告・今後の計画発表が行われ、共通の目標として2つの項目が選出された。
1つ目は立正平和の会(河﨑俊栄理事長)の“脱原発に向けた緊急提言と市民団体連携の署名活動”。仏教者の立場から日本政府と国民に訴えかけ、仏国土顕現を目指す活動で、国内全ての原発停止と廃炉作業の実施や自然エネルギー技術の開発、「少欲知足」の仏教精神の普及、脱原発を平和のシンボルとする国際社会の再構築、などの5項目を掲げている。
2つ目はシンプルライフ普及センター(柳田仁理事長)の“ライフスタイル見直しの推進”が今後の検討課題で挙げられた。「もったいない」などの伝統的価値観から簡素な生活文化を根付かせる活動で、いかに仏教の“智慧(理念)”を社会へ発信するかが話し合われた。
討議では、「キリスト教系の団体は横のつながりを広げることが得意。協力の要請を考えるべき」など意見が交わされた他に、三浦錬浄師(千葉県佛光寺内)が命の尊さと脱原発を訴えるため、国内すべての原発を行脚する“命の行進2012”などが報告された。
2012年2月10日号
各地で節分追儺式
「福は内! 福は内!」
邪気を払い無病息災を願う節分の豆まきが2月3日、全国の寺院・教会・結社で行われ、多くの人が参拝に訪れました。
冬から春へと新しい季節を迎える“節分”に、降りかかる災いだけでなく、心の鬼退治にも努めようと「福は~うち」の声が、全国津々浦々に響きわたりました。
総本山身延山久遠寺
総本山身延山久遠寺(内野日総法主)でも本堂で営まれた節分会に約5,000人が参拝。
法要では、災難を払うための木剣が本堂に響きわたり、内野法主猊下が東日本大震災の犠牲者の慰霊と被災地の早期復興のため、国家の安泰を祈念されました。
大本山池上本門寺
東京都大田区の大本山池上本門寺(酒井日慈貫首)では、各界の著名人や参詣者約12,000人が訪れ、1年の招福と無病息災を祈った。
酒井貫首を導師に午後2時から大堂(祖師堂)で追儺式法要が営まれ、東京南部修法師会出仕のもと裃姿の歳男・歳女はじめ一般参拝者が参列。式中、ご宝前に参列者の身体健全が祈念され、修法師による力強い読経と木剣の音が響き渡った。
豆まきは午後3時から、大堂前に設置された特別桟敷で行われた。梵鐘の音を合図に、酒井貫首や歳男・歳女、なでしこジャパンの丸山桂里奈選手、プロレスラーの佐々木健介・北斗晶夫妻や歌手の秦基博さん、アクションヒーローのウルトラマンダイナらが勢いよく福豆をまき、参詣者は豆がまかれるたびに声をあげ、福を得ようと両手を伸ばしていた。参拝者の一人は「久々に童心に戻れた。福豆を食べて、今年一年何事もなく元気に過ごしたい」と笑顔で話した。
2012年2月1日号
がんばれ! 東北の子どもたち
自分で考え、泣いて 必死に堪える姿も
東日本大震災で親や兄弟を亡くした子どもたちのための修養道場(主催:全国日蓮宗青年会=伊東政浩会長、協力:NPO日本こども支援協会=岩朝しのぶ理事長)が昨年12月26日から28日まで、東京・大田区の大本山池上本門寺(酒井日慈貫首)を会場に行われた。岩手県宮古市
などで一般から募集された小学校3年生から中学校3年生までの21人が招待され、朝のお勤めへの参列や建設中の東京スカイツリーなどを見学し、笑顔を見せた。
今回の修養道場は、震災発生後からがれきの撤去などの支援活動を展開してきた全日青が、「被災した子どもたちに笑顔を」との思いで、支援先の被災地で知り合った、児童虐待などの問題に取り組む同協会とともに企画が進められた。
窓口となる自治体探しが難航する中、賛同した宮古市が同市の仮設住宅の他、大船渡市・大槌町・山田町にまで範囲を広げパンフレットを配布。資金も全国各地の青年会の行脚で集められた支援金や宗門からの助成金などが充てられ、池上本門寺からも宿泊と食事の無償提供を受けるなどの協力を得て開催された。岩朝理事長は「子どもたちが地元から離れて楽しい時間を過ごすことと、子どもたちの前では弱音を吐けない里親たちの時間も作ることができる。単に子どもたちだけの息抜きではない」と今回の支援活動の意義を語った。
当日、子どもたちは参加各地区からバスと新幹線を乗り継ぎ、東京に到着。伊東会長や元教員、保育士、看護師、立正福祉会「子どもの心理相談室」(渡部公容室長=東京都長久寺住職)のスタッフらが万全の態勢を整え、子どもたちを出迎えた。夜には自己紹介をスタッフらと共に行い、初めは緊張の面持ちだった子どもたちもだんだんと打ち解けていく様子が見てとれた。また見学先のお台場で行われていた震災募金活動の団体に寄付する子どもの姿も。スタッフの一人は子どもたちを見て「自分で考え、泣いて、悩んで、そして現実を受け止めようと必死に堪えているように感じる」と語った。
最終日に子どもたちは1年後の自分自身に向けて手紙を綴った後、再会を約束し帰郷の途へ。祈りを捧げるため子どもたちの手紙を預かった伊東会長は「再会の約束が少しでも励みになれば」と子どもたちとの別れを惜しんだ。