2011年6月10日号
柏崎市東城寺 全壊の本堂復興果たす
無傷の祖師像遷座して復興落慶奉告式
新潟県中越沖地震から4年、全壊した柏崎市東城寺(齊藤憲一住職)の本堂が見事に再建を果たした。瓦礫を前に「どんな困難も乗り越えて生きていくのが法華経・日蓮聖人の教え」と復興を決意した齊藤住職のもと檀信徒が堅く結束。5月29日に営まれた復興落慶奉告式では、奇跡的に無傷だった祖師像が遷座する新本堂に感涙のお題目が響き渡った。
最大震度6強を記録した震源近くにある柏崎市。市内にある日蓮宗寺院の中でも東城寺の被害が特に大きく、本堂と鐘楼が全壊、庫裡もほぼ全壊した。齊藤住職は、屋根が地面に接触し完全に潰れた本堂の状態に茫然自失となりながらも、祖師像が無傷だったことを希望の光に、全国から寄せられた物心両面の応援に後押しされ復興を決意。檀信徒も思いを一つに再建事業がスタートした。軟弱だった地盤は、齊藤住職が“変化の人”と語る信徒との出会いを得て調査を重ねた上、直径約80センチ、長さ7メートルの杭81本を打って高い基盤をつくることで克服。平成20年3月に庫裡、翌年5月に客殿、そして昨年10月本堂を完成した。間口六間・奥行き七間の新本堂は純木造の入母屋流れ向拝造り。宮大工による古式に則った技術で、130年ぶりの寺観一新となった。
落慶式前夜には神奈川県川崎市安立寺の万灯講中によるお囃子が境内を包み、一夜明けて全国から約350人の僧侶檀信徒が参列する中、齊藤住職を導師に天童音楽大法要が営まれた。新本堂が悦びのお題目で満たされると齊藤住職が奉告文を読み上げ、全国の支援に対し「感激無上法悦感謝の極みなり」と涙ながらに謝意を表した。その後、復興事業に貢献した檀信徒へ一級法労章、管長表彰、宗務総長表彰が日蓮宗宗務院の関谷泰教伝道局長から授与され、関係業者には齊藤住職から感謝状が贈られた。
関谷伝道局長は「未曾有の大震災によって日本国中が落ち込んでいる今、4年間で復興を成し遂げられたことはきっと大きな光明となります。日蓮宗にとっても大変うれしいことです」と述べ、渡邊照敏宗務総長の祝辞を代読した。
最後に齊藤住職と総代の山崎長司氏が並んで謝辞に立ち「多くの皆さまから頂戴したお力が身を結びました。ただただ感謝を申し上げるしかありません」と声をつまらせると、参列者から万雷の拍手が鳴り響いた。