2011年4月1日号
東日本大震災 被災地で懸命な救援活動
内野日総管長猊下、全宗徒にみけてお見舞いのお言葉
「仏祖三宝の御加護を頂き被災者と手を携え復興を」
想像を絶する惨状をもたらした東日本大震災から3週間。渡邊照敏宗務総長を本部長とする災害対策本部では、被害に関する情報の収集が進み、未曾有の被害が明らかとなった。
内野日総日蓮宗管長猊下は、全国の寺院・教会・結社、檀信徒に対しお見舞いの言葉を発せられ、日蓮宗は被災地支援として日本赤十字社に1000万円を寄託した。
損壊を免れ避難所となっている複数の寺院には多くの住民が身を寄せ、寺族らによる炊き出しなど献身的な支援が続けられており、有志僧侶による現地での救援活動も行われている。
災害対策本部の発表によると、被害の大きかった福島・宮城・岩手3県の僧侶・寺族は全員の無事が確認されたが、福島県双葉郡妙栄寺住職の武田妙貞師(94)が避難生活で病状が悪化し、3月17日に病院で遷化している。
建物の被害については、流失・焼失などによる全壊が、栃木県塩谷郡妙顕寺(芝沼顕修住職)、宮城県岩沼市観音教会(今泉寛龍担任)、宮城郡七ヶ浜町立正結社(加藤錬栄教導)、岩手県陸前高田市妙恩寺(風間文静代務住職)、上閉伊郡大槌町蓮乗寺(木藤養顕住職)の5ヵ寺。半壊は福島県双葉郡妙勝寺(瀬戸年雄住職)、同郡妙栄寺、宮城県大崎市妙勝寺(佐藤徳明住職)の3ヵ寺。また壁に亀裂が入ったり、瓦が落下、墓石、灯籠が倒壊する被害は広範囲に及んでいると報告されている。
内野日総管長猊下は全宗徒に向け「今般の東北地方太平洋沖地震は未曾有とも言うべき大災害となり、極めて広範な地域で言語に絶する惨状を呈しております。本宗寺院・教会・結社及び檀信徒に於かれましても、数多の尊い生命が失われ多くの堂宇・家屋が罹災し、幾多の教師・檀信徒が被災されましたこと、誠に哀惜の念に堪えません。謹んでお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、被災されました皆様に対しまして衷心よりお見舞いを申し上げます。復興への前途は難多きことと推察されますが、仏祖三宝の御加護を頂き、宗門緇素(僧侶・檀信徒)は異体同心を以て被災者の方々と手を携え、立正安国の御精神を体して安穏な社会を再生し、仏国土顕現を目指します」と、お見舞いのお言葉を発信され、全国の寺院・教会・結社に届けられた。
日蓮宗は日本赤十字社の東北関東大震災義援金に1000万円の支援を行うことを決定し、3月17日に寄託。また3月23日、東北三管区災害支部(福島・宮城・岩手)に被災管区お見舞金と、同支部運営事務費の一部を送金した。また、3月12日大規模災害に指定された四管区(千葉東部、群馬、茨城、栃木)についてもお見舞金を送金する予定。今後は、被災地住民、本宗寺院・教会・結社、僧侶、寺族、檀信徒の状況に応じて、追加支援を実施していきたいとしている。
また「いのりの日」の3月28日、災害救援基金勧募の一環として、東京都大田区のJR蒲田駅で街頭募金を実施することを決めた。渡邊宗務総長自らが募金箱を手に善意を呼びかける予定。
災害対策支部となっている全国の各宗務所でも支援の輪が広がっている。
京都一部宗務所(藤井照源所長)は3月16日、義援金募金活動を実施。僧侶檀信徒約20人が京都市内の繁華街である四条大橋の辻に立ち、道行く人々に支援を呼びかけた。藤井所長は「少しでも被災された方々への力になれば」と語る。
東京都東部宗務所(鈴木良敬所長)では4月2日に予定していた管内の「いのりんぴっく」を中止。被災地への義援金募金活動を上野駅前、東京スカイツリー周辺など各所で行うとしている。
(3月25日現在)