日蓮宗新聞

2011年1月10日号

仏舎利塔落慶法要

初転法輪の地、インド・サルナート 日月山法輪寺で

お釈迦さまが初めて法を説かれた初転法輪の地、インド・サルナートにある日月山法輪寺(佐々木妙定主任)で仏舎利塔落慶法要が昨年11月25日、渡邊照敏宗務総長を導師に営まれた。苦難の道を余儀なくされながら完成した仏舎利塔の落慶を祝おうと大勢の僧侶檀信徒らが参列した。
日月山法輪寺は佐々木主任が故佐々木鳳定上人と共に、ご遺文『諫暁八幡抄』の御教え「インドで誕生した仏教が、日本に渡って広まり、やがて日本の仏教(お題目)がインドに帰って広まる」実践のため昭和42年に渡印し開いた日本以外のアジアで初の日蓮宗寺院。仏舎利塔建立事業計画は今後併設予定の教育・医療・宿泊施設の建設計画も含め、平成15年から16年にかけて第二期工事建設委員会(伊澤日祐委員長・東京都本山本行寺貫首=当時)を中心に始った。
インド政府の協力で法輪寺隣接地の3,800坪を取得し工事が進められたが、途中、世界同時不況の影響などで勧募が思うように集まらず、施工3分の1のところで総工費1億円のうち約4,000万円の資金不足が発生。施工をインドの業者に振り替えるなど方策を尽くしたものの、一時、工事中断の事態に陥った。
しかし、「命を捧げてこの浄業を完成したい」という佐々木主任とともに建設委員会のメンバーが必死の勧募を展開。その熱意に打たれた全国の宗務所や寺院から寄付や支援が寄せられ、高さ27メートル・幅25メートルの立派な仏舎利塔が完成した。また敷地内には、マディヤ・プラデーシュ州サンチー遺跡群から復元した門とアショカ王柱一対も建立された。
当日は法要に先立ち、ヒンドゥー教、シーク教、イスラム教、キリスト教など諸宗教の聖職者が仏舎利塔に祈りを捧げた。
開式の辞に続き、渡邊宗務総長が佐々木鳳定上人の偉業や、遺志を引き継いだ佐々木主任と同委員会の尽力を称えた。さらに「仏教誕生の聖地から再び全世界へお題目の種を流布することで、一天四海皆帰妙法の実現となるでしょう」と法輪寺の新たなる一頁を祝い、本山本行寺の瀬戸文教執事長が謝辞を述べた。
法要は、サルナートのあるウッタル・プラデーシュ州のジョシ総督が参列する中、國際佛教親交会の持田日勇会長ら5師、瀬戸執事長、総本山身延山久遠寺の奥野本洋法務部長、宗務総長室の渡義生室長、東京都南部修法師会の罍慈鴻会長、全国日蓮宗青年会の僧侶など25師によって営まれた。
ジョシ総督は「ここに集まられた各宗教、宗派の人たちの言葉やお経は違っていても、すべてはこの地で初めて説かれたお釈迦さまの教えに戻ります。仏教の教えが全世界の人びとの心に火を灯すことを願います」と語り、続いて仏舎利塔建設の指揮をとってきた木村義賢師(北海道妙光寺内)が「この塔の前で合掌する全ての人の心に平和の塔が建立されることを願います」と謝辞。また「法輪寺を青年僧の修行の道場として活用していただきたい」と語った。

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2011年1月1日号

新春のご挨拶

平安で光輝ある一年に

内野日総 日蓮宗管長
(総本山身延山久遠寺法主)

「淳善の地に住する」
本紙読者各聖各位には、平成23年の新春を寿ぎのことと、お慶び申し上げます。また、平素は、祖山に対し、種々、ご丹誠をいただき、衷心より厚く御礼申し上げる次第であります。
しかしながら、そのかげには、苦難の越年となりました人々も大勢いらっしゃることと存じます。その苦難が僅かでも、取り除くことができ得ますようお祈り申し上げます。
さて、昨年5月、第52代管長・立正大学学園総裁に就任し、9月には、就任祝賀会を賑々しく盛大におこなっていただき、まことにもって、ありがたく存じております。
管長に就任いたしましたが、管長ひとりの力は限られております。仏祖三宝諸天善神のありがたきご守護に加え、さらに、尊い仏縁にてご縁を結ばせていただいている各聖各位の絶大なるご支援ご協力をお願い申し上げます。
昨今の世界情勢は、経済・外交など、世界が揺れています。政治は右往左往するばかりで、社会は混乱を生じ、人々は、物価・医療・福祉・教育を始めとする社会生活全般に対して、極度な不安を感じており、報道もまた、この不安を一層煽動しているかのようであります。
ところで、冒頭の言葉は、法華経見宝塔品第十一の
能く来世に於いて
此の経を読み持たんは
是れ真の仏子
淳善の地に住せり
の一句であります。
末法の世になって、世情が不穏となったとき、この法華経を読み、信仰を持ち続けて、その教えを実践する人こそ、真の仏子であり、雑じり気のない清らかで本当に優れた境界にある人であります。
私たちは、凡夫ですから、時に善き心も浮かびますが、それがすぐに消え去ってしまい、持続することができないものです。法華経の教えを信仰し、一切の迷いがなくなって純粋に善き心根となり、そうした状態を持ち続けることこそ、淳善の地に住することといえます。
日蓮大聖人は、身延山に霊山浄土を感得されました。ゆえに、身延山は、祖山として尊崇護持されてきております。身延山こそ、揺るぎなき淳善の地であります。
そして、本紙読者各聖各位を始めとする法華経を信奉する皆さまが淳善という心地を得て、皆さまのまします所も淳善となり、そればかりか、日本が、いや、世界が、宇宙が、淳善の地とならんことを願って止みません。
私は、及ばずながらも、その実現に向け、努力していきたいと思っております。また、現在、宗門では「敬いの心で安穏な社会づくり、人づくり」を目指して、立正安国・お題目結縁運動を実施しております。この運動の一層の推進を願うところです。皆さま方の絶大なるご支援・ご協力をお願い申し上げる次第であります。
平成23年の年頭に際し、本年が、皆さま方にとりまして、平安で光輝ある一年となりますようお祈り申し上げ、意を尽くし得ませんが、ご挨拶といたします。

 

歩みを進める大事な年

渡邊照敏 日蓮宗宗務総長

平成23年の新春を寿ぎ、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
平成17年 第91定期宗会において岩間湛正宗務総長により提唱されました「立正安国・お題目結縁運動」は、平成19年4月1日 第51代酒井日慈管長の『教旨』、並びに小松浄慎前宗務総長の『喩達』を以て宗門運動の実動を迎えました。
4期16年を宗門運動期間としたその第一期播種活動では「発願大会」に始まり、「祖山総登詣」「立正安国論奏進七五〇年記念鎌倉・中山法要」、また全国各地での記念法要や大会、さらには日蓮聖人門下連合会による「立正安国論奏進七五〇年記念特別展『日蓮と法華の名宝』」等、種々の記念事業を展開し、宗門闔宗はもとより未信徒における一人ひとりに法華経の種が伝弘されたことは誠に意義深いものであったと拝察いたします。
その播種活動も本年3月には無事円成を迎え、係る4月からは、いよいよ「第二期育成活動」へと歩みを進める大事な年となりました。謂わば、皆さま一人ひとりの心に植えられた法華経の種を開花へと導く過程へと入るのであります。
第二期では「育成」と申します通り、皆さまの心の中にある法華経の種を養い育む期間、所謂「教育」期間であります。
しかし、世論調査によると未だ日本人の宗教意識は乏しく「宗教を信じている人」は26%と2~3割ほどしかおりません。また「日本人の宗教心が薄いと思うか、否か」との問いには、「薄いと思わない」が49%と半数近くの人に宗教心があると示しております。言い換えれば、「宗教心」は「神仏に対する信心」であり、「宗教」となると「神仏に対する信心」ということではなくなってしまい、「宗教」という言葉に対しての日本人の関心の薄さが浮き彫りになっているのであります。さらには「先祖を敬いますか」との問いには、「敬う」と答えた人が90%もいるそうです。ともすれば、仏使である私どもの使命が「信心を養育すること」に他ならないのではないかと思うのであります。
宗祖は、「行学は信心よりをこるべく候『諸法實相鈔』」、と「信心(信ずる心)・信仰(法華経を信じ、教主を仰ぐ)」が第一であるとし、み仏の教えを信ずる総てのものが、行学の二道に不退転の決意ではげみ、法華経を受け持つ身と同時に教法を伝える身であることを覚知すべきであるとお示しになられております。
また、僧侶と檀信徒は信仰の違いは無けれども、その使命は異なるものがあります。僧侶はさらなる資質の向上を図り、檀信徒の法器を養成し、未だ仏縁の無い者には更なる布教活動を行い、現代における宗教の重要性、お寺の在り方、僧侶の姿を知らしめ、檀信徒は信育を養い、信仰を世務に生かすことが肝要であります。
来る第二期育成活動は、平成27年3月までの4年間が活動期間となりますが、宗祖が「法華経修行の者の所住の処を浄土と思ふべし」とお示しになり、立正安国 仏国土顕現に不惜身命の志をもって、法華経信仰の揺るぎないお姿と大道をお伝え下されましたことを私どもは決して忘れてはなりません。私は檀信徒の皆さま方と共に、常に行学の二道に精進し、「我もいたし人をも教化候へ」との信行を重ねて、日本国のみならずあまねく国土を伝道教化し、「安穏なる社会づくり、人づくり」に邁進して参りたく存じます。
結びに、目的に向かってたゆまず努力すれば、どんな大事も必ず成功することを「愚公山を移す」と申しますが、私ども闔宗緇素一人ひとりが弛むことなく「立正安国・お題目結縁」の歩歩を進め、宗祖の大願を成就せんことをお祈りいたし、平成23年辛卯 新年挨拶といたします。
合掌

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新年のご挨拶。

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