日蓮宗新聞
2010年7月10日号
全日青 第48回沖縄結集・平和慰霊の行脚
沖縄県制定の沖縄戦終結を記念する6月23日“慰霊いれいの日”。全国日蓮宗青年会(光岡潮慶会長=当時)は第48回全国日蓮宗青年僧沖縄結集・平和慰霊行脚いれいあんぎゃを行い、会員や那覇市法華経寺(日沢是良住職)の修行者・檀信徒、さらには有志の僧侶約350人が参加した。太平洋戦争で日本唯一の陸上戦が行われた沖縄で、参加者たちは「大勢の犠牲者の上を歩く」ことの意味を自問し、追悼のお題目を唱えた。
「命ぬちどう宝たから」。“命こそ宝”という意味で、命と平和を大切にする、沖縄の言葉だ。65年前、他のどこよりも命が軽んぜられた地、沖縄だからこそ発せられる重い言葉でもあろう。
太平洋戦争末期、「本土決戦までの時間かせぎ、捨て石」とされ、20万人以上の犠牲者を出した沖縄戦は昭和20年4月から6月のこの日までと語られることが多いが、沖縄での犠牲は同19年の10月の空襲に始まっている。そして日本が無条件降伏した同20年の8月15日以降も戦いは続き、捕虜になることなどへの不安から母親が泣き叫ぶ幼子を殺したり、民間人への自決の強要など、しばらく犠牲がなくなることはなかったという。
壮絶な沖縄戦なくして太平洋戦争は語れず、ここでの記憶をなくしての恒久の立正平和はありえない。現在の全日青の会員は終戦前後に生まれた親を持つ、いわゆる“戦争を知らない”第二世代。伊東政浩新会長は前日の22日にFM那覇のラジオ出演と沖縄タイムスの取材を通し「全国から集まった志を同じくする僧侶が戦争の悲惨さを伝えていく」と沖縄の人びとに向け約束し、「戦争のない平和」と「心の平和」を改めて心に誓った。
全日青はいただいた平和を後世に残すため、僧侶・人間の使命として伝える「行脚」を続けていく。