日蓮宗新聞
2010年6月1日号
核不拡散条約再検討会議 立正平和の会 ニューヨークにお題目響く
核不拡散条約(NPT)を再検討会議が、5月3日から28日まで、米国ニューヨークの国連本部で開催された。渡邊照敏宗務総長はこの会議に際し、戦争反対、核兵器廃絶や軍備撤廃など、世界平和を願う日蓮宗としての平和声明を発表。その親書を立正平和の会(河崎俊栄理事長=石川県本延寺住職)に託した。立正平和の会では約20人が現地で平和行脚を行い、渡邊宗務総長の親書と、同会の国際署名運動に寄せられた約8500人分の署名を手渡した。
訪問団は、団長として河崎理事長、副団長として新間智照師(兵庫県妙法華院住職)、刀貞如師(山梨県定林寺内)の二師、石井英雄事務局長(東京都長照寺住職)をはじめ僧侶・寺族・檀信徒が参加した。5月1日、成田空港で結団式を行い出発。翌2日、カリフォルニアにある日蓮宗開教布教センターの平井智親所長をはじめ、米国で開教に努める僧侶9人と合流し、正午から国連本部前のチャーチセンターで開かれた多宗教合同の祈りに参加した。世界各地から参集した様々な宗教家がそれぞれの儀式で核兵器廃絶と世界平和を祈り、全体で平和の言葉と歌を唱和。訪問団は法華経とお題目を唱え、核兵器による被爆者の追悼と戦没者の追善供養、平和祈念を行った。
その後、国連前から平和行進の出発地タイムズスクエアへ。人でごった返す道には、代わる代わる熱のこもった平和のスピーチが流れ、「私の優しかった父を返してください。温かかった家庭を返してください!」と涙ながらに訴える原子爆弾被爆者遺族や、北朝鮮の惨状を訴える人も。プラカードには「NO NUKES ! NO WARS !」(核廃絶、非戦)と書かれ、原爆のキノコ雲の上半分が大木になっている写真が印刷されていた。
新間師は宗教者平和協議会代表団の一員として平和行進を先導。訪問団一行は玄題旗を高く掲げ、うちわ太鼓を手に歩を進めた。途中、代表は国連に向かい、前NPT再検討会議議長のセルジオ・ドアルテ国連上級高官代表と面談し、日蓮宗宗務総長の親書を直接手渡した。
平和行進後には河﨑俊宏事務次長らが再び国連へ。寄せられた国際署名8464名分(うち全国日蓮宗青年会4076名、立正中学・高校・大学440名、その他3948名)を提出した。
3日は9・11同時多発テロの現場「グラウンド・ゼロ」を訪れ、被災者の追善と世界の安穏を祈念。導師の河崎理事長が「決してこの悲劇を風化させてはいけない」と語った。
その後、NPT再検討会議が開催される国連を再訪し、訪問団の代表が会議を傍聴した。
夕食会で河崎団長は、「アメリカの開教布教師はじめ平和運動を展開する活動家との交流と対話をさらに深める必要がある」と提案。刀師は、行動することの重要性を示し「行動によって人は感動し、感動から信仰が生まれる」と述べた。また、新間師は宗門と平和運動の関わりを紹介し、さらなる発展を期待。石井事務局長は日蓮聖人の立正安国の精神をもとに世界レベルで実践していく意義を語り、そのために海外の開教活動に宗門がもっと尽力すべきであることを力説した。
檀信徒の参加者も、歴史に残る貴重な会議に立ち会えたことに感動し、ニューヨークで生まれた平和を希求する大きな灯を一人ひとりが持帰り、立正安国の実現を信じてお題目の光をさらに大きく輝かせようと誓い合った。