日蓮宗新聞

2010年5月20日号

宗門法要『宗祖日蓮大聖人伊豆法難750年報恩音楽大法要』

法華経によって救おうと幕府に『立正安国論』を奏進された日蓮聖人が、伊豆に流罪となって750年。宗門法要「宗祖日蓮大聖人伊豆法難750年報恩音楽大法要」が5月12日、内野日総日蓮宗管長猊下を導師に営まれた。静岡県伊東市にある伊豆法難ゆかりの霊蹟本山佛現寺(板垣日祐貫首)には、渡邊照敏宗務総長、本山貫首、宗会議員、宗務所長をはじめとする全国の僧侶檀信徒約1400人が集い、宗祖のご苦難に思いをはせ報恩のお題目を捧げた。
◇  ◇  ◇
ご正当を迎えるにあたって静岡県東部宗務所(星野是高所長)は平成20年9月、板垣貫首を総裁に「伊豆法難750年報恩奉行会」を結成した。日蓮聖人が流罪中に『四恩抄』を著され恩の大切さを説かれた意義を今こそ確認するときであるとして〈知恩報恩~恩を知り恩に報いる~〉を主題に掲げ、平成21年5月1日から23年5月31日を活動期間と設定。昨年5月12日に前会法要が蓮慶寺(田中智海住職)で営まれ、来年には後会法要が佛光寺(安部雅宣住職)で予定されている。また伊豆半島全土を行脚する撃鼓伝道隊を組織、各寺院でも寺宝を公開する特別参拝を実施するなど、法難の意義を現代の世に生かすべく「全僧侶一人一役」をスローガンに管内一丸となって展開してきた。
12日、海の色に溶け込むような真っ青な空の下、続々と到着した僧侶檀信徒が、ご正当に合わせて建立された佛現寺総門をくぐった。法要を前に伊豆法華和讃会による和讃奉納と、静岡県中部五明会・和党会、静岡県西部青年会、宗立谷中学寮・堀之内学寮、静岡県東部撃鼓行脚隊の総勢80人による唱題行脚が行われた。4組にわかれ伊東市内をめぐった行脚隊は佛光寺で合流、一層大きなお題目をとどろかせて佛現寺へ。行脚隊が到着すると、色とりどりの散華が舞うなか庭儀練供養が行われ、会場は宗門法要を迎える厳かな雰囲気に包まれた。
法要には皇族の東久邇信彦殿下ご夫妻、佛現寺顧問を務める小泉純一郎元内閣総理大臣、佃弘巳伊東市長が参列。団参の一員として参列する野球評論家・堀内恒夫氏の姿もあった。式は東京・橘雅友会による雅楽の調べにのり、読経、献舞、内野管長猊下による敬白分と進み、『船守弥三郎殿許御書』を読み上げた板垣貫首に続いて、内野管長猊下の発音によるお題目が伊東の海に広がった。
渡邊宗務総長は「750年の昔、この地に立たれた日蓮聖人が『四恩抄』に示された恩こそ、今を生き未来へと命をつなげる私どもに課せられた宗祖からのメッセージにほかありません。み仏が宗祖に託されたお題目の仏種を、互いに変化の人となって未だご縁の亡き人にも縁を結び、立正安国という大輪の花が咲くことを念じてご挨拶と致します」と述べ、総本山身延山久遠寺の井上日修総務が「現在私どもを取り巻く環境は暗雲に包まれ、日蓮大聖人ご在世の様相を呈しているといっても過言ではありません。それゆえに迷走する私たちは、一乗の光明を示されました日蓮大聖人のみ教えに従い、さらなる妙法流布の精進をお誓いするものであります」と語った。
次に小泉氏が挨拶に立ち、父親が板垣貫首の師父である先代貫首と深く親交していたエピソードを紹介。「朗々とした読経に、身の引き締まる思いで父の後ろに座っていました」と振り返り、最後に「いま100年に一度の危機といわれていますが、危機は常にあります。近年の国内におきましても日清・日露戦争、第二次世界大戦と、多くの犠牲を乗り越え今日があります。日蓮聖人のご苦難、先人が凌いできた苦難に比べれば、今の危機はそんなに大きなものではないと私は思っています。日蓮聖人はいつまでも日本の繁栄、国民の安寧を祈っておられるものと思います」と述べた。
最後に板垣貫首が謝意を表し、「本日法縁を結ばれた方々が宗祖が当地にご在住になられた時のご報恩を深く継承していただくことと祈念致します」と締めくくった。

 

伊豆法難750年宗門法要 盛大に前日祭
香西かおりさんの歌声に陶酔<チャリティーコンサート>
16講中が駅前の目抜き通りで練り供養<報恩万灯練行列>

伊豆法難750年ご正当前日の5月11日、前日祭として演歌歌手・香西かおりさんのチャリティーコンサートと、報恩万灯練行列が盛大に行われた。この日は一日雨に見舞われたものの、コンサートの熱気と万灯のお囃子が伊東の街を包んだ。
◇  ◇  ◇
 チャリティーコンサートは午後3時から、本山佛現寺(板垣日祐貫首)本堂前の特設ステージで行われた。香西さんはヒット曲「雨酒場」「無言坂」や伊豆・下田地方を題材にした「風恋歌」などを披露、約800人がその歌声に酔いしれた。
観客席最前列には招待された近隣の福祉施設入所者が並び、香西さんがステージを降り聴衆の間を進むと、握手を求める手が絶えず、大きな歓声があがっていた。
午後6時には、万灯練行列の出発式が伊東駅前で行われた。伊豆法難750年報恩奉行会会長を務める星野是高静岡県東部宗務所長を導師に道中安全を祈願した後、奉行会実行委員長の土屋貫栄師から「皆さんの元気で街をにぎやかに活気づけてください」と激励を受け、静岡・千葉・神奈川から参加した16講中総勢660人が次々と出発した。
伊東駅前の目抜き通りが800メートルにわたって通行止めされ、日蓮聖人ねぶたや色とりどりの万灯が光の帯を作った。うちわ太鼓や鉦、笛のお囃子の中、威勢よく纏が振られ、沿道の市民や宿泊客を圧倒した。街中が日蓮聖人への報恩に染まった行列の後、講中は佛現寺へと移動し、本堂前で板垣貫首から御経頂戴を受けた。
◇  ◇  ◇
 恩を知り恩に報いるーー。今回の宗門法要は“恩”が大きな首題となった。
「日蓮聖人は流罪されて初めて『四恩抄』を著されました。伊豆流罪が恩をはっきりと自分で初めてご自覚されたきっかけとなり、身命をかけて私たちに恩の大切さを示してくださいました」。
奉行会総裁の板垣貫首は奉行会発足にあたって、日蓮聖人の意に適った報恩奉行をさせていただくということを肝に銘じたと話す。
殺されるとわかっていても法華経で国を救おうとされた信念を少しでも継承していかなければならないとし、「親を親とも思わない、子を子とも思わない今の時代にこそ、宗祖の教えを生かしていかなければなりません。日蓮聖人が伊豆に流されなければならなかったことを一人でも多くの方に心に受けとめてお帰りいただき、それを今後の生活の中に生かしていただければ、こんなありがたいことはありません」と語った。

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第52代 日蓮宗管長に内野日総猊下  “愛される日蓮宗”目指す

日蓮宗第52代管長に総本山身延山久遠寺の内野日総法主猊下が管長推戴委員会の満場一致によりご推戴を受け、「就任奉告式」が5月10日に東京大田区池上の日蓮宗宗務院で、翌11日には「祖廟奉告式」が山梨県身延町の総本山身延山久遠寺の祖廟で行われた。
日蓮宗はさらなる発展に向け、内野猊下ご統理のもと新たな出発を迎えた。
◇   ◇
「就任奉告式」は10日午前11時から宗務院講堂で行われ、管長推戴委員会をはじめとする宗務顧問、本山貫首、宗会議員、宗務所長ら僧侶約150人が参列した。はじめに渡邊照敏宗務総長が「内野日総法主猊下におかれましては、管長推戴委員会の推挙により、第52代日蓮宗管長にご就任賜りましたこと、為宗まことに慶賀に堪えないところでございます。今般ご勇退なされます第51代日蓮宗管長酒井日慈猊下には、4年満期にわたり宗門を統理され、法華経に示される“いのちの大切さ”を広くご教導賜りましたことは周知の如くであり、その法功に衷心より感謝申し上げる次第であります」と式辞を述べ、続いて管長推戴委員会の小林順光委員長(東京都妙源寺住職)が管長推戴までの経過を報告し、内野猊下に推戴書を奉呈。次いで渡邊宗務総長から管長印璽の授受と特別大法功章の奉呈がなされた。
内野猊下は挨拶で「私は法主就任に伴い“愛される身延山”を掲げて参りましたが、このたびより“愛される日蓮宗”を目指そうと思います。そのためにはまず第一に、“ご本仏の思いはどこにあるのか、宗祖の思いはどこにあるのか”を念頭におき、為すべきことを成していきたいと思っております」と述べられた。続いて酒井猊下が「日ごろ遙かに拝しております猊下は、温容篤実にしてまことに誠実で、几帳面なお人柄でいらっしゃいます。その上、抜群の実行力に富んだご日常は、まさに僧門の鏡というべきお方でありましょう。そうした猊下を宗門の象徴とも言うべき管長職に戴くということは、日蓮宗の威光をますます輝き渡らせることになりましょう」と祝意を述べられた。
その後、川久保昌耕宗会議長、井出存祐第二部審査会会長、望月本暎山梨県第一部宗務所長が祝辞を述べ、閉式した。
◇   ◇
 翌11日、身延山久遠寺・御廟所前では、渡邊宗務総長以下宗務院内局、井上瑞雄身延山総務以下身延山内局、管長推戴委員会正副委員長、地元宗務所長・宗会議員などが見守る中「祖廟奉告式」が営まれた。
内野管長は奉告文の中で「今日の世相は著しき仏法の衰微あり、功利の風雨に曝されて世界の平和、人類の共存共生の和合を失す」と懸念を表し、「沙門日総、慎んで宗門統師の大命を拝受し、大勇猛心を奮い精進せんことを御廟において誓いたてまつる」と固い決意を述べられた。
続いて久遠寺本堂で法味言上がなされ、世界中にお題目が弘まり平和な社会となること、そして全国の檀信徒が法華経の教えにしたがい安穏に暮らせるよう、現世と後生の幸福がご宝前に祈願された。
最後に水鳴楼で内野管長が「ご報恩の一分でもできれば幸い。皆さまの叡知とご協力を賜ってその使命を全うし、祖意にお応えできるようにご助力をお願いします」と挨拶され、つづき渡邊宗務総長が「“愛される日蓮宗”を胸に置き、常精進します」と覚悟を述べ、井上総務が「法主猊下が管長の職務を全うできますよう、ぜひお支えいただきたい」と今後の協力を求めた。

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2010年5月10日号

大本山池上本門寺で千部会

バチと腕が垂直に天を指す独特の叩き方で太鼓が鳴らされると、七条袈裟をまとった70人の僧侶が入堂。美しい天蓋と五色の布が巡らされた本堂に厳かなお経が響く。東京都大田区大本山池上本門寺(酒井日慈貫首)で立教開宗に合わせた千部会が4月27日から29まで営まれた。
千部会の始まりは天平20年(748)に聖武天皇が先帝の崩御に際し、「法華経千部を写経して供養した」と『続日本紀』に記録されている。また「千部会」とは『法華経』一部を千部(千回分)読誦することを意味するが、現在は参拝者を含め大勢でお経を読み、お題目を唱える法要として行われている。
27日の法要は池上本門寺参与の本間日恩師(神奈川県藤沢市本山龍口寺貫首)が導師となり厳修された。本間師は立教開宗の日を迎えるにあたり「口ばかりことばばかりはよめども心はよまず。心はよめども身によまず」と日蓮聖人の『土籠御書』を引用し、祖願であるより良い社会「立正安国」に向けて行動することが必要だと述べた。
法要には一緒にお経を読んだり、静かに聞き入る参拝者の姿が見られた。

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新年のご挨拶。

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