日蓮宗新聞

2010年1月10日号

渡邊新内局がスタート

立正安国・お題目結縁運動 第一期締めくくりの年

 渡邊照敏宗務総長内局が昨年12月22日、発足した。『立正安国論』奏進750年の大きな節目を迎え数々の記念事業が集結した昨年に続き、本年は「立正安国・お題目結縁運動」第一期4年間の締めくくりとなる大事な1年。第一期の“播種”活動から、第二期“育成”活動に向け、渡邊内局が辣腕をふるう。
人事は左記のとおり。
▽伝道局長 関谷泰教師(愛媛県大法寺住職)
▽総務局長 駒野教源師(東京都常在寺住職)
▽伝道部長 古河良晧師(東京都常圓寺住職)
▽教務部長 塩崎望巳師(千葉県法蓮寺住職)
▽総務部長 梶山寛潮師(山梨県蓮朝寺住職)
▽財務部長 米田宣雄師(島根県連紹寺住職)
▽宗務総長室長 渡邉義生師(千葉県長胤寺住職)
▽日蓮宗現代宗教研究所所長 三原正資師(広島県妙長寺住職)
▽参与 渡邉一之師(静岡県玄妙寺住職)
▽参与 吉田海心師(宮崎県本東寺住職)
▽日蓮宗新聞社社長(取締役会を経て正式就任) 草ヶ谷秀人師(東京都正覚寺住職)

昨年12月22日、宗務役員の認証式が東京・池上の日蓮宗宗務院で行われ、渡邊宗務総長から役員一人ひとりに就任辞令が手渡された。
挨拶に立った渡邊宗務総長は、小松浄慎前宗務総長と前役員に慰労と感謝の意を表した後、「岩間内局で財務部長、小松内局では教務部長を拝命し、多くの経験と勉強をさせていただきました。その経験を宗務総長として活かしていきたいと考えております。まず、遠近よりお見えになる方々に親切で丁寧な対応をする宗務院にし、行政を行う上では、守るべきことには守る勇気を出し、変えていくべき事柄には変える勇気を出し、間違いのない判断をできる智慧を持ちたいと思っております。難問山積の宗門ですが、優先順位を決めてできるところから推し進めていきます。全国の寺院・教会・結社に目線を合わせた宗政で明るい開かれた宗門をめざし、布教伝道教団として一層精進を致します」と抱負を語った。

 

新内局が総本山身延山久遠寺(内野日総法主)祖廟で日蓮聖人に奉告する「祖廟奉告式」は翌々日の24日に行われた。

午前11時、新内局一同が常唱殿から参道を行列し祖廟へ。ご廟を仰ぎ、渡邊宗務総長を導師に読経。宗務に精励することを誓い、宗風宣揚、宗門興隆を祈願した。

 一同は久遠寺の諸堂を参拝した後、水鳴楼で内野法主猊下に就任の奉告を行った。
内野法主猊下と井上瑞雄総務をはじめ身延内局に新内局の紹介がなされると、内野法主猊下からは「難しい世相の中で大変な局面もあるかと思いますが、どうぞご健康に留意され、宗政宗務にご努力ください。活躍をご期待致します」とお祝いのお言葉が送られた。

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2010年1月1日号

ことしは寅年

信心の一念で困難を乗り越える一年に

 

今年の干支「寅」に因み、「トラ」が登場する日蓮聖人のご遺文を紹介します。
『摩訶止観』第八に云く、「弘決第八に云く、必ず心の固きによりて、神の守り則ち強し」云云。神を護ると申すも、人の心の強きによるとみえて候。法華経はよき剣なれども、使う人によりて物を切り候か。(中略)
李広将軍と申せしつはものは、虎に母を食れて、虎に似たる石を射しかば、其の矢羽ぶくらまでせめぬ。後に石と見ては立つ事なし。後には石虎将軍と申しき。
貴辺も又かくのごとく、敵はねらふらめども、法華経の御信心強盛なれば大難もかねて消え候か。是につけても能く能く御信心あるべし」
『四條金吾殿御返事』(『昭和定本』1610~2頁)
日蓮聖人が57歳の10月、大檀越・四條金吾さんへ宛てたお手紙です。
武士でしたが、医術にも長けていた四條公はこの月、自邸のある鎌倉から遙々身延の日蓮聖人を訪れ、病苦に悩まれる聖人に投薬治療を尽くしました。お手紙にはこのことに対するお礼と、旅の途中には命を狙う敵もあろうと四條公の身の上を案じたお言葉、そして「これからはめったなことでは身延へお越しなされぬが

よい」との文が綴られ、前掲のご文章へと続きます。
日蓮聖人ははじめに天台大師が著わされた『摩訶止観』にある「心が堅固であれば、神の守護も厚い」との言葉を引き、「神の守護は人の心の強さによります。法華経は強い剣ではありますが、その切れ味は使う人によるものです」と説かれ、中国の故事を引用されています。ここでトラが登場します。
母をトラに襲われて亡くした中国前漢時代の将軍・李広は、トラを敵と討ちました。すると矢は命中。矢羽まで深く突き刺さりました。ところが李広がトラと思ったのは、トラに似た石だったのです。石と気づいたのちは、再び矢が刺さることはありませんでした。こののち李広は石虎将軍と呼ばれるようになったのです。
“一念を込めて物事をなせば、どんなことでも叶う”という意味の「一念岩をも通す」「一念天に通ず」「石に立つ矢」などの諺は、この石虎将軍の故事から生まれたものです。
日蓮聖人はこの故事から、四條公に「法華経の信心さえ強盛であれば、いかに敵が狙っても襲撃を免れることができるから、信心が第一です」と諭されています。
なんと勇気の湧いてくるお言葉でしょうか。信心さえあれば、どんな困難も乗り越えることができるというみ教えです。
何事も心の持ちようです。自分のおかれている環境は自分の心の鏡と肝に銘じ、お互いに法華経の信行に励みましょう。そうすればきっと、釈尊や日蓮聖人に思いが通じ、心の充実が得られる1年間になるはずです。

 

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ことぶき法話

静岡県伊豆市本成寺住職
森久 寿隆師

子どもの頃、歳の暮れになると、母が夜遅くまで台所に立って、おせち料理を作っていた思い出があります。
私の実家は、家具の製造業を営んでいましたので、父はもちろん、母も大晦日前日まで仕事をしていました。現代で考えると、ずいぶん遅くまで仕事をしているように感じられる読者の方もいらっしゃるかも知れませんが、昭和30年、40年代当時は、これが普通だったと記憶しています。そんな中でも母は、仕事中から、終えてからの深夜まで。時には夜なべ(今では徹夜と言うのでしょうが)をしながらでも、元旦の朝には、重箱に入った「おせち料理」を用意してくれました。子どもの頃には、それが当たり前に感じられていましたから、親の心子知らずと言えるでしょう。
けれども、母が亡くなってからは、その当たり前もなくなり、元旦の朝の卓上には、年賀状の束だけがあります。
最近、デパート、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の店頭では、「おせち料理」の予約争奪戦が繰り広げられています。高級料理店のものから、安さを打ち出したもの。はたまた、これが「おせち料理」なのかと疑う食材を使ったものもあります。これも現代なのかと考えましたが、それでは、本来の「おせち料理」とは、どのようなものだったのか調べてみました。
「おせち料理」を漢字で書けば「御節料理」となり、御節は御節句の略です。正月に「おせち料理」を作るのは、正月の間、竈の神さまと女性(主婦)を休めるためという俗説もありますが、本来は、正月に物忌みをして、火を使うことをできるだけせずに暮らすための料理です。料理の基本はお屠蘇とお雑煮の他に、
一、祝い肴(3種)
二、酢の物
三、煮物
四、焼き物
五、口取り
の5種類があります。そして、これらの料理を、めでたさを重ねるという縁起をかついで、重箱に料理を詰めて重ねるのです。伝統的な重箱は五段。数え方は、一の重、二の重、参の重、与の重、五の重と数えます。
一の重には、祝い肴3種と口取りを納めていました。祝い肴とは、関東では、田作り・数の子・黒豆の3種。関西では、たたき牛蒡・数の子・黒豆の3種となります。口取りとは、伊達巻き(伊達は華やかさ、金色)、きんとん(漢字では金団と書いて、金が集まる)、昆布巻き(喜ぶにちなんで)、紅白のかまぼこ等を言います。
二の重には酢の物を納めます。人参の赤と大根の白を使い、祝いの紅白の水引を表して、なますを作り納めます。
参の重には焼き物を納めます。めでたい「鯛」、出世魚の「鰤」、「海老」は、ヒゲがのび腰が曲がっているところを老人に見立てて、長寿を願い、焼いて納めます。
与の重には、煮物。「くわい」(大きな芽が出るので、めでたい)、「牛蒡」(大根などと同じで根野菜は一家の土台をしっかり)、「里芋」(親芋から子芋が取れるので、子孫繁栄)、「蓮根」(先の見通しが良い)という願いをこめて作っていたようです。祝い肴に使っている数の子(子孫繁栄)、黒豆(まめまめしく働けるように)、田作り(江戸時代の高級肥料として片口鰯が使われていたので豊年満作)も同様なのです。
最後に一番上に乗せる五の重には、何が入っていたでしょうか?
答えはカラです。すべての重箱に品を納めてしまえば、それ以上は増えないという考え方です。富豪家から一般庶民まで、新年がさらに豊かな一年となることを願い、五の重は、何も入れずに新しいものが入る余地を設けておく心から出た習慣なのです。
昔の人は、病気や自然災害に対して無力でした。病気に有効な薬はなく、台風や嵐を予想することもできませんでした。ですから自然の摂理に対して敏感に反応をし、神仏に対しての畏敬を忘れず、暮らしていたのでしょう。五段目を空けておくということは、私たちの祖先が、私たち現代人に対して伝えてくれた教えではないでしょうか。
現代人は、五段目にも何かを納めるでしょう。無理をしてでもいっぱいに納めるでしょう。それが、現代病と言ってもよい、損得勘定で生きることに通じているのではないでしょうか。
この地球の物質的なものすべてに限りがあります。損得だけで考えることはそろそろ封印して、善悪を柱にして、自然の摂理に従った生き方をしていきませんか。それこそが宗祖日蓮大聖人が示された、お題目に生きることだと思うのです。

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新年のご挨拶。

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