日蓮宗新聞
2009年10月20日号
宗務院で「信徒青年会結成講習会」
信徒青年会作りへ高い関心
平成21年度「信徒青年会結成講習会」が9月28日、東京・池上の日蓮宗宗務院で開催され、僧侶約50人が参加した。開講に先立ち、松永慈弘師(埼玉県實相寺住職)が開催趣旨を説明。若年層の寺離れの現状を前置きしたうえで、「この講習会で経験者から信徒青年会結成のノウハウを学び、寺に若者を集める方法を探り寺院や宗門の活性化を図っていきたい」と話した。
第一講は楠山泰道師(神奈川県大明寺住職)が登壇。「信徒青年会の必要性と有効性」を講題に講義した。活動のポイントとして寺を地域の公的な場所として公開していく点をあげ、社会に認知されている団体を前面に出し、信徒青年会がアシストしていくという方法を自らの経験を通して話した。また寺院の規模が小さければ小さいなりに小回りがきくメリットもあり、大切なことは「やる気」であると結んだ。
第二講は(社)日本青年会議所(JC)52代会頭を務めた揚原安麿氏が「運動とそれに伴う組織~人をどう巻き込むか~」をタイトルに、リーダーシップ論を展開。人を引っ張っていくリーダーシップとともに人を支えていくフォロアーシップの重要性を語った。同時に一般人の目線から寺の果たせる役割とポテンシャルについても言及した。
次いで、北山孝治師(岡山県妙楽寺住職)、小林貫誠師(茨城県四恩結社教導)、松永慈弘師がそれぞれの自坊の信徒青年会の結成までの経緯や活動内容について事例報告を行った。その後、高松孝行師(東京都蓮性坊住職)をコーディネーターに、事例報告をした三師に楠山師と揚原氏を加えて座談会を行った。
最後の質疑応答では参加者から多くの質問が出て、予定時間を超過。信徒青年会作りへの関心の高さがうかがわれた。
大本山中山法華経寺で「赴援の儀」
門外不出の宝物 750年の節目、京に向け発つ
「日蓮と法華の名宝」展の目玉とも言える、日蓮聖人ご真筆の国宝『立正安国論』を恪護する千葉県市川市の大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)で、開幕を控えた10月4日、京都国立博物館に貸し出すための「赴援の儀」が営まれた。
開基・常修院日常上人の遺命を守り、ご遺文の恪護を旨としてきた法華経寺には、現存するご真蹟遺文の大部分が所蔵されており、今回の特別展覧会で展観される同寺の宝物は『立正安国論』、日蓮聖人ご真筆『五輪九字明秘密義釈』、『三教指帰抄』、「蓮池蒔絵三重箱」の計四点。
雨天の狭間の晴天となった4日、赴援の儀に先立ち、『立正安国論』をはじめとするご真蹟遺文を所蔵する「聖教殿」の扉が開かれ、「御開扉法要」を厳修。新井貫首を導師に法味が言上された後、輿にのせられた『立正安国論』が僧侶四人によって厳かに運び出され、祖師堂のご宝前に『立正安国論』が安置された。
続いて「赴援の儀」を厳修。新井貫首は特別展覧会の無事円成を祈り、張田珠潮宗務院総務局長に出展目録を手渡した。
新井貫首は「当山のご霊宝は日常上人以来“殿居の制”によって不寝番で守られてきた門外不出の宝物」と宗祖滅後750年、連綿として恪護されきた経緯を話し、「『立正安国論』の研究が盛り上がっている奏進750年の節目に、たくさんの人に拝していただきたい」と挨拶。続いて張田局長が「日蓮宗のみならず国の宝である『立正安国論』を通して、かつて京の町にお題目が響き渡っていたことを思い返していただきたい」と挨拶した。
法要後、京都国立博物館学芸部の大原嘉豊氏らが『立正安国論』他三点を念入りに確認。新井貫首は京都に向けて出発した『立正安国論』の無事を祈り、いつまでも見送っていた。
特別展開幕 お待たせ『日蓮と法華の名宝』
「日蓮聖人の思い、法華の心意気に触れていただきたい」
特別展覧会「日蓮と法華の名宝」(通称・日蓮聖人展)が京都市・京都国立博物館で10月10日に開会され、好天に恵まれた初日からの3連休には約5700人の来場者で賑わった。開会に先立つ9日には小松浄慎日蓮聖人門下連合会理事長(日蓮宗宗務総長)を導師に「立正安国論奉展並びに『日蓮と法華の名宝』展円成祈念法要」と開会式、関係者の内覧会が同博物館内で行われた。
10月9日午後1時、京都国立博物館の展示中央室に遷座された院興作・日蓮聖人坐像(京都市本山妙覺寺蔵)前に日蓮聖人門下連合会常任理事、同博物館佐々木丞平館長、来賓の新井日湛師(千葉県大本山中山法華経寺貫首)ら約五十人が参集。小松理事長を導師に「立正安国論奉展並びに『日蓮と法華の名宝』展円成祈念法要」が営まれた。 法要後は門外不出の国宝『立正安国論』を奉展した新井貫首が挨拶。『立正安国論』が750年にわたって先師が命がけで恪護してきたことを語り、この特別展が成功裏に終わることを祈った。午後2時からは博物館入り口正面に場所を移して、博物館関係者ら約600人を招待しての開会式が行われた。佐々木館長、小谷勝日本経済新聞大阪本社代表とともに挨拶に立った小松理事長は、「門下連合会では、社会に向けて日蓮聖人をもっと知ってもらおうと3年前から特別展を企画してきた。この機会に是非日蓮聖人の思い、法華の心意気に触れていただきたい」と話した。
続いて挨拶を行った3人に原田修京都新聞取締役を加えた4人によるテープカットが行われ、招待者らは内覧を行った。
翌10日は開門と同時に多くの来場者がつめかけ、好天、連休とあいまって『日蓮と法華の名宝』特別展は幸先のいい好スタートをきった。
今回出品される宝物は203点。うち調査の段階で新発見されたり、初公開となるものが約50点にものぼる。またこの機会を逃すと二度と目にすることが難しくなる宝物も多数展示される。日蓮宗関係者以外からもたいへんな注目を集めている『日蓮と法華の名宝』特別展。期間は11月23日までなので、お見逃しなく。