日蓮宗新聞

2009年8月10日号

『立正安国論』奏進750年記念法要 横川定光院

『立正安国論』奏進750年ご正当の7月16日、京都府第一部宗務所(藤井照源所長)は比叡山の宗門史跡・横川定光院(主監=藤井所長)で「『立正安国論』奏進750年記念法要」を厳修し、僧侶檀信徒150人が参列した。
定光院は、比叡山に遊学された日蓮聖人が21歳から12年にわたり修行された聖地。日蓮聖人はここを拠点に三井園城寺、高野山、四天王寺などの諸宗諸山を巡って仏教を研鑽され、その集大成として法華一乗の御教えに到達されている。
藤井所長は「日蓮聖人が『立正安国論』等のご遺文を述作されたのは、近畿ご遊学の12年間があってこそ。その主たる道場・定光院で、ご正当の日に報恩の誠を捧げたい」と記念法要を企画。当日は管区挙げての盛大な法要となった。
◇   ◇
午前9時、京都市本山頂妙寺を出発した一行は約1時間で定光院近くの横川展望台に到着。眼下に琵琶湖が広がる絶景を前に、身延山に向かって報恩唱題行を行った。
その後、定光院本堂で藤井所長を導師に法要が営まれた。当初、法要開始は『立正安国論』奏進と同じ辰の刻(午前8時頃)を予定していたが、参列者の交通の便を鑑み午前11時となった。
法要中、京都八本山会を代表して本山妙覺寺の頂岳日選貫首が「日蓮聖人は『立正安国論』を幕府に奏進し、国を挙げて南無妙法蓮華経を受持し、唱えるべきと示されました。750年ご正当の本日、修学のご霊跡で異口同音にお題目を唱えることができ感激しています」と祝辞。川口智康宗会議員は「宗門では“いのちに合掌”をスローガンに立正安国・お題目結縁運動を推進しています。どうぞお帰りになりましたら未信徒の方にもお題目をお勧めください」と述べた。最後に藤井所長が「この道場でこの日、この時間、この法要をすることに重要な意義があります。皆さん、今日の気持ちを忘れることなく積み重ね、次の世代へと受け継ぐことをお誓い下さい」と参列者に呼びかけ、法要は幕を閉じた。
法要後、大西秀樹布教師会長が法話。「『立正安国論』で日蓮聖人は“お経はどれもお釈迦さまの御教えなのだからどれを信仰しても同じ”との考えを正され、正しい信仰をしていると勘違いする“信仰のしそこない”が一番こわいと示された」と解説。北条時頼はこれを容れなかったため、以後聖人は受難のご生涯を歩むこととなったとしながら「日蓮聖人が『立正安国論』を奏進されていなかったら、日蓮宗は存在しなかったかもしれない」と奏進の意義を説いた。そして「教主釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ」のご遺文を引き「損得ではなく善悪で判断することのできる道徳的な人間にならなければ。その“人づくり”を目指しているのが宗門運動です」と結んだ。
歴史ある信仰の深山に静かに佇む定光院。日蓮聖人ご在世の当時を偲ぶ檀信徒の報恩のお題目が境内に響いていた。

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若い世代へ『未来発信のつどい』

『立正安国論』奏進750年の記念行事

750年前、日蓮聖人が国を諫めるために『立正安国論』を奏進したご正当の7月16日、将来を担う若い世代を対象とした「未来発信のつどい」が、東京・品川区の立正大学石橋湛山記念講堂で行われた。参加した立正中学・高校と東京立正高校の生徒約600人は、小松浄慎宗務総長を導師に未来への誓いと祈りを捧げ、御法川法男氏の熱い講演に耳を傾けた。
このつどいは、6月に神奈川県・鎌倉と千葉県・中山で営まれた宗門法要、また、立正大学で行われたシンポジウム『立正安国論を現代に』の一連として開催された、奏進750年の記念行事。「立正」を学校名に学ぶ生徒を“主役”に、生徒全員で綿密なリハーサルを行って式に臨んだ。
午後1時半、生徒2人の司会で開会。はじめに齊藤憲一宗務院伝道部長が「日蓮聖人が未来へのメッセージとして書かれた『立正安国論』を未来永劫忘れないように、皆さんと共に世界へ未来へ発信したいと思います。皆さんの学校名にある“立正”は、正しい教えを信仰してどんな困難にも負けずくじけず、輝いて生きてほしいというメッセージです。これから皆さんと唱えるお経がその教えです。この法要を機に仏さまの子としてイキイキと生きていってください」と挨拶を行った後、『立正安国論』奏進の背景をわかりやすく説いたスクリーン映像を鑑賞した。
続いて導師の小松宗務総長、式宗の日蓮宗宗立学寮生が入場し「未来発信の祈り」が営まれた。冊子を手に全員でお経を唱え、生徒代表がご宝前で献灯・献華・献香を行った。起立、唱和、合掌など生徒たちの動作はぴったり息が合い、清々しい空気が会場を包んだ。
法要の締めくくりには全員が起立し「私たちは日蓮聖人の願われた立正安国の教えを未来に、世界に、伝えることをみ仏に誓います」と唱和。小松宗務総長が「この時に当たり、我らお題目の光を未来永劫に掲げ、世界の人々を永遠に導き、浄土の世界をこの娑婆世界に顕現することを誓い、祈り奉る」と、祈りの言葉を読み上げた。
法要後、神奈川県川崎市にある日蓮宗安立寺(木田隆進住職)の総代である、御法川法男氏が講演。会場後方の扉から御法川氏が姿を現すと会場は大きな歓声に包まれた。御法川氏は「今の日本と日蓮聖人が『立正安国論』を奏進した時代はどこかつながっているように感じる」とし、母子手当、政党助成金、後期高齢者、臓器移植などの問題を取り上げ、「世の中の現状を分かってほしい。日本がこれからどうなるのか、これらの問題の一つでも真剣に考えてみること」と訴えた。
8月30日に迎える衆議院総選挙についても触れ「日本を動かす人を選ぶ選挙。皆さんの周りにいる大人がどのような選挙をしているのかよく見てほしい」とし、「日蓮聖人は聞いている人がいようがいまいが、辻々に立って説いて歩いた。国を憂うとはどんなことか、政治家の皆さんにも知ってほしい」と述べた。
また、御法川氏は、お弁当を手に遠足気分でお墓参りに行ったこと、境内が小さい頃の遊び場であったことなど思い出話を交え「多忙な日々の中でも夜中にお墓参りに行きます。先祖の墓石を見てると、その時々の解決策が見えてくるような気がするんです」と話していた。

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2009年8月1日号

『立正安国論』奏進750年記念

日蓮と法華の名宝
―華ひらく京都町衆文化―
10月10日から11月23日まで
京都国立博物館

 『立正安国論』奏進750年を記念して10月10日から11月23日まで京都国立博物館で開かれる「日蓮と法華の名宝―華ひらく京都町衆文化―」(主催=日蓮聖人門下連合会、京都国立博物館、日本経済新聞社、京都新聞社)の記者発表会が7月2日、東京・千代田区の日本外国特派員協会で行われ、日蓮聖人門下連合会の小松浄慎理事長(日蓮宗宗務総長)、日本経済新聞社の山脇晴子文化事業局長、京都国立博物館学芸部の大原嘉豊研究員、尾野善裕工芸室長が会見した。
同展では、国宝『立正安国論』(千葉県大本山中山法華経寺蔵)をはじめ、京都国立博物館の事前調査による新出作品や多数の初公開作品、並びに京都日蓮諸宗の16本山の寺宝を中心とした国宝4点と重要文化財約50点を含む200点あまりが展観され、町衆文化の形成に果たした日蓮諸宗の大きな役割が紹介されることが明らかになった。
小松理事長は主催者を代表して「この展覧会を通し、日蓮聖人と京都町衆との関わりを皆さまに知っていただきたい」と挨拶し、平成15年に東京国立博物館で行われた「大日蓮展」の入館者16万人を上回る来館に期待した。
◇   ◇
展覧会の構成は、第一部が伝統的な法華経文化を継承するとともに日蓮諸宗独自の宗教文化を形成する過程を通観する「法華文化の展開」、第二部が『立正安国論』を軸とした御書・絵画類を通じて日蓮聖人のご生涯をたどる「日蓮とその時代」、第三部が日像上人による京都開教以降、西国への法華の展開と隆盛を追った「京都開教と西国への展開」、第四部が天文法難や安土宗論、不受不施派の弾圧など政治と信仰の対立による受難を振り返る「京都受難の時代」、第五部が狩野元信、長谷川等伯、本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳、尾形乾山など近世日本美術の潮流を築いた法華信者たちの名品を通じて京都町衆と京都文化とのつながりを再確認する「復興と近世文化の開花」からなる。
200点あまりの展示物の中でも目玉となるのは、事前調査で新発見された高麗仏画「弥勒大成仏経変相図」(顕本法華宗総本山妙満寺蔵)。宮廷画家が描いた最古作で、妙満寺檀越のちきりや一門からの寄進ということも判明しており、町衆の役割を再認識させるものとされる。
また初公開作品には、京都本山妙傳寺所蔵の長谷川等伯筆「絵曼荼羅」、京都府向日市北真経寺・南真経寺の二ヵ寺とその檀家によって護持されてきた重要文化財「尊性法親王消息飜摺法華経」や「日像上人筆 曼荼羅本尊」、更に京都本山妙覺寺所蔵の日蓮聖人坐像、北海道法華寺所蔵の日蓮聖人坐像などがあり、これまで他見の難しかった秘宝、什宝が一挙に拝観できる希有の機会となる。

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新年のご挨拶。

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    中尾堯著
    日蓮宗新聞社
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  • 日蓮聖人―その生涯と教え―

    日蓮宗新聞社編
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