日蓮宗新聞

2009年6月20日号

中山宗門法要

ご宝前に『立正安国論』を奉展

6月10日には、日蓮聖人ご真蹟『立正安国論』(国宝)が恪護される千葉県市川市の大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)で、酒井日慈日蓮宗管長を導師に「国寶『立正安国論』奏進750年記念中山宗門法要」が営まれ、僧侶檀信徒約1300人が参列した。
日蓮聖人の最も初期からの檀越で、中山門流の開祖でもある富木常忍氏(日常上人)が、ご真蹟を後世に守り通すよう遺言した厳命を守り、『立正安国論』をはじめとする数々のご遺文を恪護してきた中山法華経寺。法要では『立正安国論』が聖教殿から祖師堂(国重文)に奉展された。
法要に先立ち、青年僧の行脚隊が祖師堂前に到着。続いて『立正安国論』が境内を行道する「庭儀」の儀式が厳かに執行された。輿にのせられた『立正安国論』は行脚隊の唱題に先導され庭儀導師の新井貫首に続いて本院前を出発。境内の参列席で合掌する大勢の僧侶檀信徒が見守るなか「安国論供奉」役の中尾堯文師・渡邉宝陽師寺尾英智師・都守基一師に護られ、祖師堂へと入堂した。
法要では中尾師が『立正安国論』をご宝前に奉展。続いて小松浄慎日蓮宗宗務総長が「世界全体の幸福なくして我身の安堵は有り得ないことを力強く表明し、あらゆる国土が正しい教えを受け持つ人々によって安穏なる世を築かんことを念じ、人々の願いを実現する立正安国の大道を歩まんことを誓願いたします」と宣言した。また新井貫首は「開白」で、日蓮聖人が天変地異の根源を一切経に尋ねられ、災難を退け仏国土を顕現する道を『立正安国論』に著わされた旨を述べ、「身をもって『法華経』の信仰を諫暁されしは、上行菩薩の願行を御自ら踏み行われしと讃うべし」と讃歎。国土厳浄修法では佐野前暁伝師をはじめとする修法師による力強い木剣が山内に響いた。
次いで酒井管長が「表白」で「祖願が込められし御真蹟の御前に於いて結縁の清衆一心に帰命し至心に頂礼し奉り、『立正安国論』に裹まれし宗祖の真意を得、み教えのままに此の世と未来に伝え示さんことを表明し奉る」と述べられた。最後に『立正安国論』が丁重に奉閉され幕を閉じた。
引き続き、中尾堯文立正大学名誉教授が「日蓮大聖人御真筆『立正安国論』」と題して講演。「日蓮聖人のご真筆『立正安国論』は日蓮宗の一番の宝です。私たちと日蓮聖人を結ぶものはそのご真筆であり、肉筆を目にすることで七百余年の時空を超え、日蓮聖人の息吹に触れることができるのです。そしてこの法華経寺にある聖教殿のご真筆をはじめとする、日蓮聖人の遺された聖教を末永く保つことが私たちの役目であります」とユーモアを交えながら解説した。

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鎌倉宗門法要

三日にわたり「一命一会~いのちこそ財」

日蓮聖人が『立正安国論』を奏進した地・鎌倉では6月6日から8日まで、記念法要を中心に「一命一会~いのちこそ財~」をテーマとしたさまざまな行事が行われた。僧侶・檀信徒の思いが一つとなり、750年前の鎌倉の惨状と重なる現代社会に「いのち」の大切さを訴える3日間となった。
3日にわたり夕刻に行われた「いのちの灯」では、一般ボランティアによって本山妙本寺と本山本覺寺(永倉嘉文貫首)の境内に約5000本の竹灯篭が並べられ、緑に包まれた静寂な境内は一層幻想的な空気に包まれた。
6日、妙本寺祖師堂特別御開帳には500人が参拝。7日午後6時からは「いのちの躍動」として万灯練供養が行われ、講中の500人が、本覺寺から妙本寺までを練り歩いた。笛や鉦の音色の中、威勢の良いかけ声とともに纏が振り上げられ、記念すべき法要を翌日に迎える思いは最高潮に。
いよいよ「『立正安国論』奏進750年記念鎌倉宗門法要」当日の8日、法要を前に、全国日蓮宗青年会(光岡潮慶会長)が鎌倉市内で「いのちの行脚」を実施した。午前11時、全国から参加した青年僧87人は3コースに分かれて本覺寺を出発し、3時間をかけてゆかりの寺院を参拝。材木座海岸では砂浜から日蓮聖人流罪の地・伊豆に向かってお経が唱えられた。途中、鶴岡八幡宮に通じる若宮大路で3コースが合流。多くの観光客が注目する中、唱題行脚で鶴岡八幡宮へと進み舞殿で参拝、読経した。
鎌倉法要は午後3時から本山妙本寺で、小松浄慎宗務総長を導師に営まれ、本堂と境内に設置された参列席は、全国の「立正安国・お題目結縁運動」管区支部長、宗会議員、宗務役員、僧侶、檀信徒400人で埋め尽くされた。
法要中、比企能本役と宿屋入道役の檀徒がご宝前で向き合い、「内見奏白」「奏進披読」が行われた。妙本寺開基・比企能本役が、日蓮聖人が書き上げた『立正安国論』を内見しその内容を「護国ノ大本、全ク此ノ一巻ニ在リ」と讃える言葉を述べると、『立正安国論』を北条時頼に取り次いだ宿屋入道役が『立正安国論』の一説を読み上げた。
その後、小松宗務総長が表白文を奉読し、参列者が声をそろえ『安国論御勘由来』を読み上げた。
早水貫首は「私たちは日蓮聖人の末弟として何をしなければならないかもう一度考えなければならない。根本は私たち僧侶であり、お檀家、ご信徒の方々。一人ひとりが法華経の教えを身に体しお題目を中心に生きること。それぞれの分野で果たすことが大切」と挨拶。最後に、張田珠潮宗務院総務局長の名代として齊藤憲一伝道部長が謝辞に立った。
法要後、記念コンサート「いのちの奏」が3日間を締めくくった。野沢香苗さんの二胡演奏と、小児ガンを克服したシンガーソングライター・より子さん、盲目のテノール歌手・新垣勉さんの歌声が境内に広がり、境内を埋め尽くした参拝者はハンディキャップを乗り越え人々を魅了する歌声に、引き込まれるように聞き入っていた。
8日はのべ3000人の参拝者でにぎわった。

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2009年6月10日号

立正たちばなホーム 「ユニット型特養」の竣工式

介護中心から生活中心へ

立正大学を母体とする社会福祉法人立正橘福祉会(北尾義昭理事長=千葉県安興寺住職)が運営する特別養護老人ホーム「立正たちばなホーム」が「ユニット型特養」を増床し、5月25日、竣工式が行われた。
立正大学熊谷校舎(埼玉県熊谷市)に隣接する同ホームは、平成12年1月の開設以来、立正大学の建学の精神を理念に同学社会福祉学部と協力しながら、地域福祉の拠点として、更には介護従事者育成の場としての役割を担っている。

手厚い介護のユニット型
このたびの増床工事では延べ床面積890坪、2階建ての施設に、1階は個室10部屋=10床を一つのユニットとした5ユニットが完成、計50床の増床となり、既存の50床とショートステイ10床と、合わせて110床の大型施設となった。
ユニット型の特長はプライバシーの保護に加え、食事時間など入所者各々の生活リズムに添った介護を受けることができる点にある。同ホームも5つのユニットそれぞれに共有のリビングやキッチン、風呂場が設けられており、職員も固定。一つのユニット10人に対し、専門の介護士5人のほか、共通介護スタッフや看護師などが配置される。職員の配置基準は入所者3人に対し一人の介護士が義務づけられているが、これに比してもその充実した処遇が見て取れる。
北尾理事長は増床工事に際し、「立正らしい、他に誇ることができる施設として入所者をお迎えしたい。それにはまず職員を大事にすることから」と職員の福利・研修施設も完備。入所者の居場所づくりと同時に、職員の居場所づくりにも重点を置いた。
◇   ◇
25日の竣工式には及川周介立正大学学園理事長、清水海隆立正大学副学長、富岡清熊谷市長など約250人が出席。記念式典に先立ち、千葉県大本山中山法華経寺執事・滝本善孝師を導師に入所者の息災延命を祈願する法要が営まれた。
記念式典では来賓祝辞に続いて北尾理事長が挨拶に立ち「念願だった増床を実現できたのは感無量」と関係者に深謝し、「我がホームは“人々を敬い、合掌しあいましょう”をモットーにしており、常々職員にも指導しております。まさしく日蓮宗が掲げる“いのちに合掌”の実践で、お互いの命に心からの敬意を表しながら介護をさせて頂き、ここに来てよかったと安心してお過ごし頂けるような施設にしたい」と決意を新たにした。
◇   ◇
入所待機者120人を数える同ホーム。職員の手厚い介護はもとより、立正大生のボランティアによる喫茶室の運営や家族会との緊密な連携など、10年をかけて入所者個々人が尊重される場が築かれてきた。このたびの増床により、介護中心から生活中心へと一層充実したケアが期待される。

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新年のご挨拶。

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  • 名句で読む「立正安国論」

    中尾堯著
    日蓮宗新聞社
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  • 日蓮聖人―その生涯と教え―

    日蓮宗新聞社編
    日蓮宗新聞社
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