日蓮宗新聞

2009年2月20日号

全国日蓮宗女性教師の会 初めての公開講座を開催

「自殺を中心としたカウンセリングについて」

全国日蓮宗女性教師の会(伊藤美妙会長)主催の公開講座が1月26日、東京・大田区の日蓮宗宗務院で開かれ、女性僧侶や寺庭婦人など約30人が参加 した。
平成17年の発足以来、女性僧侶の資質向上のため研修会や講習会を重ねてきた同会だが、公開講座の開催は初めて。講座では「自殺を中心としたカ ウンセリングについて」をテーマに、救急救命士の植村哲氏が講演。陸上自衛隊の心理カウンセラーとして勤務する植村氏が、自殺願望者やうつを抱 える人との接し方について、実践を交えながら分かりやすく説いた。以下は要旨摘録。

たくさん歩き、たくさん笑って 心の健康を保ちましょう
◆心構え
悩みの解決とは、問題を解消することではありません。重要なのは“感情をうまく処理すること”です。ですから問題を見つけようとするのではな く、相談者が今どんな気持ちなのか、自分に何を求めているのかをしっかりと聴き、話の内容ではなく「なぜこの話をするのか」「なぜそう思ってい るのか」に興味をもってください。
そして相談者の見ている世界、感じている世界を受容してください。「そんなことはない」「思い過ごしだよ」は禁句です。アドバイスも不要です 。とにかく「何を話してもいい」「あなたはよくやっている」「いつでも味方だよ」というメッセージを伝え続けてください。

◆傾聴技法
話を聴くときには、たっぷりと時間をとってください。聞き手の心に余裕をつくるためです。そして共感をもって聴きながら「うんうん」とうなず いたり、「なるほど」と相づちを打って、話を理解していることを伝えてください。
しかし、むやみに「わかる、わかる」というのは危険な相づちです。相談者の苦悩が、そんなに簡単にわかるはずがないのです。
また、相手の言ったことを繰り返したり、節々で「こう思っているんですね」と話を要約することも大切です。
カウンセリングを行う上での他の注意事項としては、真正面を避けて座る、腕組みや足組みは絶対にしないなど様々あります。

◆自殺願望者への対応
自殺願望を打ち明けられたら“自殺は悪い”という価値観は捨てて真剣に耳を傾け、共感してください。話を逸らしたり「自殺はだめだよ」と批判 的な態度をとったり、一方的に話したり、安易な励ましの言葉をかけることは禁物です。
自殺願望の原因は、うつ病にある場合がほとんどです。風邪をひけば鼻水が出るのと同じように、うつ病の症状として自殺願望が出るのです。
本当に死にたいのか、専門家でなければその判断はつきません。しかし死にたいと口にする以上、例えそれが甘えからくる言葉であったとしても、 死にたいという気持ちがゼロではないことを忘れないでほしいのです。ですからその場合は必ず精神科での受診に繋げてください。
心の健康に欠かせないのは、歩くことと笑うことです。たくさん歩き、たくさん笑って心の健康を保ちましょう。

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ビハーラ活動実践講座 宗務院で開催

「平成20年度ビハーラ活動実践講座(社会教化事業講習会)」が1月22、23日、東京・大田区の日蓮宗宗務院で開催され、僧侶30人が受講した。
ビハーラ活動とは、医療や福祉や地域社会との連携のもと病気や障害、高齢化に悩む人たちと苦しみを共にし、精神的、身体的な苦痛を取り除き、安心が得られるよう支援する活動のこと。
この講座は平成8年度の第1回を皮切りに毎年開かれており、受講修了者の多くが病院や施設など、様々な場所でビハーラ活動を展開している。
◇   ◇
22日は古河良晧師(東京都常圓寺住職)による「仏教経典に見るビハーラ精神」、山口裕光師(東京都妙経寺住職)による「日蓮聖人のビハーラ精神」、奥田正叡師(京都府常照寺住職)による「ビハーラ活動の歴史と現状」の三講を受けたあと、渡部公容師(東京都長久寺住職)が講義「ビハーラ活動とカウンセリング」に続いて実習「ロールプレーイング」を行った。
翌23日は村瀬正光師(愛知県大光寺修徒)による「終末期に於ける医療と宗教」、柴田寛彦師(秋田県本澄寺住職)による「お見舞い・千代見草」の二講に続き、老人介護事業を専門に扱う有限会社「妙徳ビハーラ」代表取締役の今田忠彰師(東京都妙徳教会担任)が「ビハーラ活動の実践を通して」と題して講義。介護現場の問題点などについて話し「社会性のない仏教はいずれ滅びる。“日蓮宗僧侶の活動はすべて、立正安国の顕現につながる”との自覚をもち、活動をはじめてほしい」と受講者に呼びかけた。続いて看護師でもある林妙和師(愛知県道心寺修徒)による実習「看護・介護の実践」では、重荷やサポーターをつけての高齢者疑似体験やDVDを使用しての認知症疑似体験を行った。「徘徊などの行動には必ず原因がある。認知症への偏見を捨てて生活歴から原因を探り、慈悲の眼で肯定的なコミュニケーションを」との林師の講義を実感として学んでいた。
最後に藤塚義誠師(長野県大法寺住職)が「グリーフケア」と題して講義。グリーフとは愛する人を失うことで生ずる悲しみのことで、悲しみを受け容れ、再出発までに必要な作業をグリーフワーク(喪の作業)と呼び、周囲が援助することをグリーフケア(悲嘆援助)と称する。
藤塚師は「僧侶は不用意な慰めの言葉をかける第三者ではなく、悲しみに寄り添う伴走者であるべき」との言葉を紹介し「グリーフワークの目でご遺文を拝すると大慈大悲、深い共感を感じる。日蓮聖人は嘆き悲しむ人の伴走者だった」と話した。
閉講式では日蓮宗ビハーラ・ネットワーク(NVN)の柴田寛彦代表が「ビハーラ活動とは、本来仏教が行ってきたことを再発見し光を当てて、新たな活動に結びつけていくこと。明日から自坊や地域を中心に活動をはじめてください」と受講者に語りかけ、講座は終了。最後にNVN事務局長の近澤雅昭師(栃木県妙唱寺住職)が、お見舞いグッズと全国への講師派遣要請の受付を行っている旨を説明した。

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2009年2月10日号

福は内!各地で節分追儺式

一年の幸せを願って

立春前日の2月3日、全国各地で節分の豆まきが行われた。昨年から引き続く百年に一度といわれる世界的な大不況の中、その運気を払い福を呼び寄せようと、たくさんの福豆が飛び交った。各地の寺院・教会・結社には平日にも関わらす多くの参詣者が詰めかけ、一年の幸福を真剣に願っていた。マメに生き、福を逃さず、悩みが消えますように――。

◆総本山身延山久遠寺

 総本山身延山久遠寺(山梨県南巨摩郡、内野日総法主)の節分追儺式には歳男・歳女を含め約3000人が参詣した。
午後1時、祖師堂で内野法主猊下を導師に、山梨・静岡両県の修法師60人と山内支院の僧侶が出仕して節分会法要が営まれ、家内安全・身体健全を祈願した。

法要後、境内に設けられた特別桟敷で3回に分けて行われた豆まきには、内野法主猊下もお出ましになられ、ゲストの魁皇関、土佐ノ海関、生田智子さん、遠藤久美子さん、原愛佳さんらとともに、用意された約9万袋の福豆を、「福は内!」の威勢のよい掛け声に合わせて参詣者に向かってまかれた。
参詣者は、宗祖棲神の霊地である日蓮宗の総本山のありがたい福豆を求め、精一杯に身体を伸ばし手を広げていた。
5月に落慶式を迎える五重塔が偉容を誇る境内は、晴れわたる青空の下、3000人の熱気と間もなく訪れる慶事の喜びに包まれた。

 

◆大本山池上本門寺

 春の陽気に包まれた東京都大田区の大本山池上本門寺(酒井日慈貫首=日蓮宗管長)の節分追儺式は、1万5千人の参詣者が訪れ盛大に営まれた。
午後2時から大堂で追儺式法要が、酒井貫首を導師、秋山文孝池上法類会議長(新潟県妙行寺住職)、山内寺院代表の山田潮亮師(大田区厳定院住職)を副導師に 、東京南部修法師会が出仕し、裃姿の歳男・歳女162人とゲストほか多くの一般参詣者が参列して行われた。
式中、ご宝前に参列者の身体健全が祈念され、酒井貫首の御経頂戴に続いて、修法師による力強い読経と木剣の音が響き渡った。
豆まきは午後3時から、大堂前に設置された特別桟敷で行われた。梵鐘の音を合図に、酒井貫首や歳男・歳女、プロレスラーの小橋建太さん、佐々木健介・北斗晶 夫妻やみのもんたさん、元横綱の輪島さん、平将明衆議院議員、松原忠義大田区長らが勢いよく福豆をまき、境内を埋めた参詣者が歓声をあげながら福を得ようと 手を伸ばした。
終了後には、その場で福豆を頬張る人や、たくさん手に入れた豆袋を分け合う人々の姿が見られるなか、みのさんから振り込め詐欺防止の呼びかけも行われた。
川崎市から友人4人で参詣したという60代の女性は「まずは健康で家族や仲間と円満に暮らせれば」と福豆を手にうれしそうに話し、毎年楽しみにしているという 近所の男性は「不景気から早く抜け出して、みんなが幸せになれればいいですね」と語っていた。

 

◆大本山中山法華経寺

 千葉県市川市の大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)の節分会には午後1時と3時の2回で、約1万5千人が参詣した。
追儺式は加行僧約180人が総出仕するなか、新井貫首を導師、佐野前暁加行所伝師を修法導師に営まれた。歳男・歳女250人余りをはじめ俳優の美輪明宏さん、歌手の槇原敬之さん、トワエモアさん、格闘家の魔裟斗さん、千葉光行市川市長などゲスト27人の参列者は法要中、加行僧に周囲をぐるりとかこまれ、力みなぎる加持祈祷を受けて無病息災を祈願。祖師堂を震え動かすような加行僧の大音声が、全山に響いた。
 その後、堂外に特設された張出しで、新井貫首の「福は~うち!」の発声で豆まきが始まると、境内に集まった人・人・人は「こっちこっち~!」「美輪さ〜ん” こっちに投げて~」と口々に叫びながら、手を伸ばし、バックを広げ、ビニール袋を広げて…もみくちゃになりながら、それぞれに“福”を求めていた。
優しい陽ざしに包まれ、明るい笑顔に溢れた境内で、参詣者の一人は「毎年法華経寺の節分に来て、いい年になっています。今年も今日の天気のように、いい年 になりそうです」と話してくれた。
成満を間際にする加行僧にも、春が近づいたようだった。

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新年のご挨拶。

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