日蓮宗新聞

2008年2月1日号

中山法華経寺 『立正安国論』の献納式

奏進750年を前に 3年かけ影印本を復刻

 日蓮聖人のご真蹟を多数恪護する千葉県大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)で1月8日、同寺が所蔵する国宝『立正安国論』の原本完全復刻を記念して、「影印本『立正安国論』献納式」が行われた。復刻の監修にあたった渡邊寶陽日蓮宗勧学院長、編集にあたった中尾堯立正大学名誉教授、寺尾智英身延山大学教授ら関係者が参列した。
『立正安国論』は、日蓮聖人が39歳の文応元年(1260)7月16日に、宿屋入道を通じて前執権北条時頼に奏進された。その後、文永5年(1268)頃、蒙古からの国書や使者が到来し日本に外交を迫っていた。『立正安国論』に書かれた他国侵逼難が現実味を帯びる中、日蓮聖人は『立正安国論』の趣旨を諸方に書き送るなどしていた文永6年(1269)、八木式部大夫の請によりお釈迦さまが悟りを開かれた12月8日に『立正安国論』を書写して八木氏に与えた。この書が、現在法華経寺に恪護される日蓮聖人、48歳の時のご真筆・国宝『立正安国論』である。

 宗門では「立正安国・お題目結縁運動」が実動し、平成21年に『立正安国論』奏進750年を迎えることから、新井貫首が復刻制作を発願。三年をかけて復刻された影印本は原本と同じ巻子本で、天地30cm×全長16m。オールカラーで原本の色合いや質感を忠実に再現している。また、中尾名誉教授による朱筆訓点、原文の読み下し文が収載された折本が、原本と同じ大きさに製本されており、対照しやすいように工夫されている。 『立正安国論』が書写された12月8日にちなみ、1月8日に法華経寺の祖師堂で新井貫首を導師に献納式が営まれた。式中、復刻した影印本『立正安国論』がご宝前に献納され、新井貫首が「一人でも多くの方々にこの影印本『立正安国論』を拝読していただきたいと思います」と謝辞を述べた。
献納式の後、中尾教授が復刻版について解説し、「『立正安国論』復刻の作業を通して改めて見ていきますと、七百数十年来の歴史がこの中に刻み込まれていることがよくわかりました。多くの方にその息吹に触れていただきたいと思います」と結んだ。

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阪神・淡路大震災から13年 市民追悼のつどい

お題目、被災地に響く 進む高齢化 絆深める心の交流

 6434人が犠牲となった阪神・淡路大震災発生から13年目にあたる1月17日、NPO法人災害危機管理システムEarth(石原顕正理事長=山梨県立本寺住職)は兵庫県神戸市で市民追悼式を開催した。平成12年からアースの先導で開かれてきた市民手作りの追悼式。今年も法華経・お題目の祈りのもと、被災者・関係者が心を一つに未来への祈りを捧げた。

天国に一番近い場所

地震発生時刻の午前5時46分、神戸市内を一望する中央区諏訪山ビーナスブリッジで、石原理事長を導師に8人の日蓮宗僧侶による「法華経読誦法要」が営まれた。気温3度の小雪交じりの寒風のなか、手作りの祭壇に多くのローソクの明かりを灯し、鐘の音を合図に黙祷。力強い読経と唱題の声が厳寒を打ち破るかのように響き渡った。約100人の参加者が静かに手を合わせる中、アースと共に追悼行事を続けてきた「阪神・淡路大震災被災者ネットワーク」代表世話人の安田秋成(84歳)さんが、「この場所は神戸の中で一番天国に近い場所。生きている限りこの行事を続けていきたい」と語った。

市民追悼のつどい

 「2008・市民追悼のつどい」は午前10時から、中央区の神戸市勤労会館で開催された。昨年の13回忌を機に実行委員会は解散したが、アースと被災者ネットの呼びかけに約180人の遺族・元被災者関係者が出席した。
黙祷に続き、安田代表が挨拶。阪神・淡路大震災をきっかけに制定された「被災者生活再建支援法」が昨年11月に改定され、住宅再建支援が認められたことを述べ、祭壇に向かって「ようやく被災者の悲願の一つである住宅本体への再建に支援金が使えるようになりました。いつまでも悲しみは癒えませんが、“あなたの死を決して無駄にはしません”と追悼式で誓い続けた言葉を、13年目にやっと達成できました。胸をはって報告できます」と語りかけた。
続いて、石原理事長を導師に各地から自弁で出仕した日蓮宗僧侶と、神戸在住の筑前琵琶奏者・川村旭芳さんによる「聲明と琵琶のしらべ」音楽法要が営まれ、声明と琵琶の音色が響く中、献花の列が続いた。
法要に続き、石原理事長が「13年間通い続けた神戸~見えてきた市民防災」と題して講演を行った。
石原師は「震災直後、野次馬根性で神戸にたどり着き、人間の非力に涙と怒りを覚えました。今思えば、こうして多くの皆さんとの出会いにより、時間をかけてしっかりと向き合えることができました。今や人間社会は自然災害に限らず多くの危機に瀕しています。何よりも人命を大切にすることが重要であり、いかなる極限状態の中でも人間同士の絆によって生き抜く力を見出すことを学ぶことができました。防災は他人事ではなく、災害に立ち向かう強い意識が必要です」と語った。
終わりに、川村旭芳さんの琵琶の新曲「みなと神戸」が披露された。神戸の復興と発展を祈って作られたこの新曲は、「平成7年冬の朝 天地を揺るがす大地震に街も港も変わり果つ やがて各地のボランティア 光溢れる街並みに 蘇らせし温もりを 新しき世に伝えなむ」と結ばれている。
アースは昨年の13回忌追悼式から開催規模を縮小したが、予想された人数をはるかに超え会場は参列者で溢れた。追悼式は無宗教とされ、参加する関係者の宗教はさまざまに異なるが、お題目によって参列者は心一つに追悼と未来への祈りを捧げている。高齢化する関係者にとって互いの無事を喜び励まし合う希望の場でもある追悼式を、アースは今後も継続して開催していくとしている。

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新年のご挨拶。

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  • 名句で読む「立正安国論」

    中尾堯著
    日蓮宗新聞社
    定価 1,365円

  • 日蓮聖人―その生涯と教え―

    日蓮宗新聞社編
    日蓮宗新聞社
    定価 826円+税

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