日蓮宗新聞
2007年10月20日号
大本山清澄寺 親子二代の別当就任
新しい別当に中條令紹師
大本山清澄寺(千葉県鴨川市)の岡崎日泰別当の退任に伴い、新しい別当に中條令紹師(福井市大乘寺住職)が任命され、9月19日、東京・大田区の大本山池上本門寺(酒井日慈貫首=日蓮宗管長)で別当辞令交付式が行われた。
式には清澄寺執事長、総代六人、張田珠潮宗務院総務局長、長亮行宗務総長室室長らが参列。酒井管長猊下から岡崎前別当に免辞令、中條新別当に任辞令が交付された。
中條新別当は「別当就任の要請を受け熟慮の結果ありがたくお受けする意を決しました。悩みましたのは、歴代の別当猊下が私に比し余りにも高僧名知識ばかりであることです。しかし、67億分の1の因縁の深さを思い、かつての開教師仲間ポーランドの木立先輩の“清澄の別当は開教師の本願です”との激励の言葉に押され、あえて“親子別当”の任をお受け致しました。お受け致した以上、題目始唱の聖地清澄が発展興隆するよう、及ばずながらも全力を傾注し努力して参る所存です。日蓮門下・有縁の皆様のお力添えを心からお願い申し上げます」と語っている。師父・中條是龍師が昭和57年に別当職に就いており、親子二代での別当就任となる。就任により中條師は、宗会議員(4期目)を辞任。仮入山式が10月3日に営まれた。
中條令紹師 昭和12年生まれ。立正大学文学部卒業。昭和35年開教師として渡米、サクラメント日蓮仏教会主任、サンフランシスコ日蓮仏教会主任を歴任した。昭和51年に帰国し、福井市大乘寺住職に。平成5年宗会議員に選出。以来、国際開教室室長、財務部長、総務局長など宗務の重職を担った。平成12年一級法功章受章。
第4回「聞香安居」の集い
お香の理解を深め三宝給仕の基本を学ぶ
お香への理解を深め三宝給仕の基本を学ぼうと日蓮宗新聞社(伊東正光社長)が主催する「聞香安居」の集いが9月14日、東京都大田区の大本山池上本門寺(酒井日慈貫首)で開かれた。4年目を数える今回は、複数の香席と新たに茶席を設け、僧侶や寺庭婦人、檀信徒、一般参加者約50人が、喧噪を離れ天界の香りに包まれた安らぎの世界を満喫した。
昨年までの御家流香道第23代宗家・三條西堯水師の香席に加え、今回は御家流ご高弟の香席と、実践女子大学香道研究会による立礼席の二席が加わり、また、立正大学茶道部による茶席が新たに設けられた。
参加者は香席前に、京都・桂離宮や茶道で有名な小堀遠州の作庭と伝わる約4000坪の池泉回遊式庭園「松涛園」を見学。その後、大堂で早水日秀執事長を導師に法味を言上し、日蓮聖人に香を手向けて開会。三グループに分かれてお香とお茶の席をまわった。
各香席では、和歌を主題にいくつかの香木がたかれ、香りを聞きわけ当てる「組香」が行われた。参加者は、まわってきた香炉を手のひらにのせ、ふたをするようにのせたもう一方の手のひらの間から香りを聞き、香りで表現された世界に陶酔した。
古式ゆかしい“遊び”を堪能した参加者は「静かなお寺で多くの方とお香の雰囲気を楽しむことができ、本当に心静まる素晴らしい時間になりました」と話していた。
2007年10月10日号
日蓮宗宗務総長声明文
―ミャンマー(ビルマ)の情勢について―
日蓮宗では700年以上にわたり、日蓮聖人の『立正安国論』の精神をもとに、仏国土顕現、世界の安穏を実現すべく、世界に向けてお釈迦さまの説かれた法華経の御教えとその実践であるお題目を弘めて参りました。
この度のミャンマー(ビルマ)に於ける僧侶や市民に対する軍の武力行使、特に、報道によるところの僧侶を含む数名が発砲により死亡した事態に対し、日蓮宗としては、深い懸念と憤りを禁じ得ません。
ミャンマー政府は速やかに僧侶や市民への武力行使を中止し、平和的な解決の方策をとるよう、また、日本政府及び国連等関係機関におかれましても、事態解決に向けての努力を続けられますよう切に要望するものであります。
平成19年10月1日 日蓮宗宗務総長 小松浄慎
小松浄慎宗務総長は10月1日、ミャンマーで起こった軍事政権対する反政府デモの武力弾圧に対する「日蓮宗宗務総長声明文」を発表した。仏国土顕現の実現に向け750年以上にわたりお題目を弘めてきた立場から「深い懸念と憤りを禁じ得ません」と強く抗議の意を表し、ミャンマーと日本政府、国連等関係機関に対し、事態解決に向けた努力を続けるよう強く要望している。
1日午後、張田珠潮総務局長、長亮行宗務総長室長、太田順祥宗務総長室情報課長、法華一乗会を代表して逢沢一郎衆議院議員が、東京都千代田区にある首相官邸で岩城光英官房副長官と面会し、張田局長が声明文を読み上げ岩城官房副長官に手渡した。