日蓮宗新聞

2007年8月10日号

シンガポール、マレーシアを巡教法要

 小松浄慎宗務総長による日蓮宗東南アジア新開教地(担当=小幡妙照開教師・野田寛行開教師)への巡教が7月1日から6日にかけて行われ、シンガポール五重山題目寺とマレーシア・ペナン島法華山一念寺で巡教法要が営まれた。また、小松宗務総長の巡教にあわせて1日、則武海源立正大学准教授がシンガポール・エクスポの講演会場で未信徒に向けた「法華経講義」を行った。宗務総長が既存の北米・ハワイ・南米の三開教区以外の新開教地を巡教するのは戦後の宗門史上初めてのことで、海外布教のさらなる発展が期待される大きな機会となった。

7月1日、シンガポール・エクスポの講演会場で、則武立正大学准教授が「仏教が果たすべき今後の世界での役割や可能性」をテーマに中国語(北京語)による講演を行った。メディアを駆使した広報もあり未信徒約400人が参加。小幡師と野田師による法味言上と挨拶に始まり、則武准教授は釈尊伝をはじめとして小乗・大乗の成立、法華経にいたる仏教の展開について3時間の講演を行った。
締めくくりには、小松宗務総長を導師に「いのりの時間」が厳修され、小松宗務総長が御経頂戴、その御経を拝受した藤岡暎邦総務部長が大衆一人ひとりの頭に御経をあて摩頂随喜を行った。
挨拶の中で小松総長は「宗祖はご遺文の中で『仏法は体のごとし、世間はかげのごとし、体曲れば影なゝめなり』と申されております。み仏の教えは、万民が幸福に生を営む肝心であり、社会はそれを映し出す影のようなものです。私どもが正しき教えに随って現代社会の諸問題を真摯に考えなければ、世間は曲がった方向へと進んでしまうでしょう。皆さま方の心に白蓮華の花が芽生え、健やかな心・幸せな家庭・安全で活力に満ちた社会に導く菩薩となり、平和の祈りを普く国土へと響かせんことを切に願う次第です」と力強く述べた。

 2日は、シンガポール五重山題目寺で宗務総長巡教法要が営まれ、題目寺の信徒数10人の読経がこだました。
題目寺は、シンガポール宗教区画のコンパートメント5階に位置し、2年半前に日蓮宗に帰属した。信徒のほとんどは中国系シンガポール人で構成される。
法要後には小松宗務総長のメッセージとともに御経頂戴、摩頂随喜が行われ、小幡師、題目寺チュア理事長の挨拶に続き、藤岡部長が法話。法話は、野田師が英訳、それをさらにアルビン・クア題目寺秘書長が中国語に訳す形で行われた。藤岡部長は、実動した宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」における但行礼拝の精神について語り、結びとして第二次世界大戦での日本軍侵攻によるシンガポール人殉難者の追悼を行い、多くの信徒に感銘を与えた。
3日、巡教団一行はシンガポールからマレーシア・ペナン島へ飛び、法華山一念寺で巡教法要を営んだ。
一念寺の日蓮宗帰属は5年前。ロサンゼルス日蓮宗米国別院を介し、宗務院と電子メールを通じて開教が行われた。以後、マレーシア・クアラルンプールやシンガポール題目寺への開教、インドネシア・台湾・タイ・ベトナムへの布教拡大に大きな役割を果たしている。
百人近くの信徒が会堂を埋め尽くした法要は、則武准教授による中国語の法話に始まり、御経頂戴、摩頂随喜、法話が行われた。小松宗務総長は「この巡教は『立正安国・お題目結縁運動』の社会活動として、世界立正平和を目途とする国際活動の一環と位置づけられております。私どもは仏陀釈尊のみ教えを全世界に弘めんと志し、自らの身命を惜しむことなく法華経の宣布に邁進された日蓮聖人のお姿を受け継ぎ、『一天四海皆帰妙法』の大誓願を私ども日蓮聖人門弟の使命と心得なければなりません。法華経・お題目を拠り所とする一人ひとりが異体同心となって、平和と協調を願う伝道教団となり、立正安国・仏国土の実現へと大旆を掲げましょう」と述べた。
5年前に始まった日蓮宗東南アジアは現在、小幡師と野田師の二人体制。シンガポールに事務所をかまえ、各地への巡回布教を中心に活動している。主に中国系信徒の多彩なネットワークを通じ、数種にわたる中国語、マレー語、インドネシア語といった言葉の壁など幾多の困難を乗り越え、布教拡大に努めている。
月の約半分を巡回布教に費やす小幡師のもとに今年4月、ロンドン常行寺から野田師が転任し、シンガポールで日本語教室を始めるなど布教に意欲を見せている。小幡師は「東南アジアでの開教はまだ始まったばかり。小松総長の巡教も、則武准教授の講演も初めてのこと。これからも信徒さんへの布教の発信をますます充実していきたい。また活気ある日蓮宗東南アジアの活動を一人でも多くの日蓮宗教師に知ってもらいたく、法器養成の地としても日蓮宗東南アジアを紹介していきたい」と、熱い胸の内を語った。

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2007年8月1日号

身延山五重塔 心柱奉曳式

 身延山久遠寺(内野日総法主猊下)は身延町身延山観光協会(田中邦久会長)主催で、平成20年の五重塔完成を目指して、塔の中心に据えられる心柱奉曳式を7月17日に行い、地元住民や五重塔を作製している関係者、身延町民等約600人で仲町駐車場から三門まで引き上げた。台風の影響で朝まで降り続いた雨もやみ、身延山が全国からの参拝者も含め約2000人が奉曳式の模様を見守った。

午前10時、道中の無事を祈り参加者と共にお題目を唱えた。続いて、花火の合図と共に若手僧侶たちが掲げる玄題旗、太鼓とお題目の先導で心柱がゆっくり進み出した。
心柱には白布がまかれ、かけ声をかけながら二列になって紅白の綱を曳いて進み、後方からは万灯講が纏を振りながら練り歩いた。
休憩を取りながら、途中で心柱奉迎よさこい踊りが披露され、賑やかなムードに参拝者は目を向けていた。約1時間かけて人でいっぱいになった三門前に到着すると、法華和讃部(熊王久美子会長)を中心に、約120人が太鼓を叩きながら和讃を芳詠し、美しい音色が緑の山々に響きわたった。
身延山久遠寺五重塔奉賛会の小山信正事務局長は「身延山に五重塔が建ったのは今から300年以上も前、元和5年(1619)のことです。皆さんのお力で曳かれた心柱は、樹齢約400年前と推定される身延山の杉の木です。ちょうど五重塔がたった頃に育ち始めた木がこのように大きくなり、平成の世に立つ五重塔の心柱として立つことはこれもご縁です」と挨拶した。
身延町一体となっての五重塔心柱奉曳式は、五重塔完成に向けて人々の熱い思いがこめられたお題目が心柱に深く浸透した。

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震度6強 中越沖地震

本宗2ヵ寺が全壊 宗門史跡の番神堂など50ヵ寺で甚大な被害

 先月16日に発生した新潟県中越沖地震。震度6強を観測した柏崎市内では、東城寺(齊藤憲一住職)と深光寺(高野晃史住職)の本堂が全壊し、宗門史跡に指定されている番神堂(秋山文孝主管)の鐘楼が倒壊。妙行寺(秋山文孝住職)、正平寺(海老要省住職)の本堂も壊滅的な状況にあり、長岡市、上越市、刈羽村を含む50ヵ寺で土蔵倒壊や、墓石・灯籠の倒壊、壁の剥落など甚大な被害に見舞われた。また、住宅の倒壊によって日蓮宗檀徒が亡くなられ、刻々と被害状況の深刻さが増大している。

宗務院、現地へ急派 お見舞いと調査に

宗務院は18日、日蓮宗災害対策本部副本部長の藤岡暎邦総務部長をはじめ橋本浩久福祉共済課長ら職員を派遣し、倒壊した寺院を中心に被災寺院を見舞い、現地調査を行った。
東京を出発した藤岡部長らは、被災地に入る救援車両で渋滞する中、地割れや液状化現象などのためところどころ規制された道路をぬって柏崎に到達。柏崎市役所を訪れ災害対策本部へ寄託する100万円を、石黒昭廣会計課長に手渡した。その後、大きな被害に見舞われた東城寺、妙行寺、深光寺、正平寺の4ヵ寺と番神堂を回った。
新潟県中越地震の被災からわずか3年、今年3月には能登半島沖地震が震度6強を観測したばかりで、改修を済ませた直後や立て直しに入る建物に追い打ちをかける形となった今回の地震。日蓮宗では「平成19年度能登半島地震災害義援金勧募と同様に全国寺院・教会・結社・檀信徒挙げて物心両面にわたる救援にあたらねばならない」とし、今回の中越沖地震を含めた義援金勧募活動の展開を12月末日まで継続することを決めた。窓口は能登半島地震と同様、宗務院(福祉共済課)と全国宗務所におく。
また、全国日蓮宗青年会や管区内の組織、日蓮宗僧侶が指揮をとるNPO法人などが震災直後に現地に入り、地元住民に向けた救援活動を行っている。

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新年のご挨拶。

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