日蓮宗新聞

2007年7月10日号

本山岩本實相寺で宗門法要

 日蓮聖人が『立正安国論』の構想を練られた本山實相寺の一切経蔵に入蔵なされてから今年で750年を迎え、「日蓮大聖人ご入蔵750年報恩宗門法要」が6月14日、静岡県富士市の本山實相寺(豊田日穂貫首)で営まれた。日蓮聖人が乱れた世の中で人々の安寧を願って執筆された『立正安国論』。参列した僧侶檀信徒五百人は、当時の時代背景と重なる憂慮すべき現代に生きる者として、日蓮聖人がご入蔵なされた意義をあらためて再確認した。

僧侶壇信徒500人が参列

日蓮宗・山静教区・静岡中部宗務所・本山實相寺主催による「日蓮大聖人ご入蔵750年報恩宗門法要」は酒井日慈日蓮宗管長(大本山池上本門寺貫首)を大導師に営まれ、小松浄慎宗務総長、総本山内野日総法主名代の井上瑞雄総務(本山瑞輪寺貫首)をはじめ宗務内局、宗務所長、宗会議員、僧侶檀信徒約五百人が参列した。

 法要に先立ち本堂で記念講演が行われ、平野譲山師(全国布教師会連合会会長)が登壇した。講演の終了と同時に、静岡東部・西部青年会による唱題行脚隊が玄題旗を先頭に山門前から一切経蔵に向けて出発。唱題行脚隊が到着するのを待って、一切経蔵では静岡県中部修法師会による祈願法要が行われた。日蓮聖人が2年間にわたって籠もられた経蔵を行脚隊が囲み、そぼ降る雨のなか力強い唱題と打ち鳴らすうちわ太鼓が響き渡った。
祈願法要終了後、行脚隊は本堂前に戻り玄題旗を奉安。法華和讃振興会「修範」と實相寺和讃講中による和讃奉詠に続き、午後2時から「日蓮大聖人ご入蔵750年報恩宗門法要」が、富士駿河雅楽会の雅やかな演奏にのって厳かに始まった。
酒井管長は敬白文で「正法の興隆なくんば世界の平和あらざるなりの信念のもと、我等異体同心の祖訓を奉じ宗門法要を献じる。時正に宗門は『立正安国・お題目結縁運動』の起年、我等僧俗一体となりての宗門運動は大聖人御入蔵より発するものと心得たり。運動をして円満成就なさしめ給わんことを」を奉告すると、堂外に設けられたモニター画面を祈るように見つめる檀信徒、瞑目して合掌する檀信徒の姿が見られた。
挨拶に立った小松宗務総長は「一切経格護の霊岳にご奉安なされし安国論草稿のご尊像を仰ぎ往時をおしのびいたしますと『立正安国論』の一言一句が現代を生きる私どもの心により響いて参ります。『撰時抄』にお記しになされますようにこの書は、まさに如来使日蓮聖人の教えの根源であり、ご生涯を決定づけた大事の書であります。本日の法会が、日蓮聖人の御心と私ども宗徒の願業が異体同心する法要となりますことを心から願います」と述べた。
次いで大会委員長の豊田貫首が「人々の幸せ、世界の平和は祈ることでは実現しない。一人一人が人間本来の美しい姿に立ち返り、家庭から地域、国家、民族へと、慈悲と愛情と感謝の御仏の教えを実現することによって仏の国土、世界平和が築かれていくと確信しています。大聖人御入蔵七五○年を迎えるにあたり、このような事柄を念願いたし今後の布教の決意とします」と参列各位に謝辞を述べた。

本山岩本實相寺

日蓮聖人が経蔵に籠もられて一切経(大蔵経ともいう)を紐解き、『立正安国論』執筆の構想を練られたといわれる霊跡。
久安年中(1145年頃)に鳥羽上皇の勅願により創建された天台宗の寺院で、寺域は方4キロ、諸堂が甍を並べ、四十九院五百坊を数えたという。高僧円珍によって唐から招来された一切経を格護しており、日蓮聖人在世当時から有名であった。
正嘉・正元(1257~60)の頃、大地震・大洪水・飢饉・疫病、彗星の出現など不吉な現象が相次ぎ、この事態を大いに憂えた日蓮聖人は、その原因を仏の教え(経典)と照らし合わせ、災いの原因を確認し、解決策を求めるために経蔵に入られた。
一切経を一巻ずつ開き、閲読と思考を重ねて丸二年。災いの原因は人々が誤った教えに帰依し、正しい教えを捨てたことにあり、法華経に帰依することが肝要と結論をまとめたのが『立正安国論』である。日蓮聖人は仏の教えが正しく行われることによって、仏国土の顕現がなされると述べられている。

この感激を伝える行動こそ法要の意義のひとつ
平野譲山会長の記念講演

「右ほとけ 左わたしとあわす手の うちぞゆかしき 南無のひと声」で始まった平野譲山全国布教師会連合会会長の記念講演では、まず實相寺山門の額にある「安国道場」の由来を説明。日蓮聖人が国土の荒廃、人の心の荒廃の原因をもう一度お経の中に尋ねるべく、一切経蔵に籠もられた経緯を解説した。
ことに、日蓮聖人が『立正安国論』を草案された時代背景として、地震・飢饉・戦乱などが多発した大変な時代であったこと、そして安穏な国土現出のために思い悩まれた聖人の心情を語り、「『立正安国』とは正しい教えを立て国を安んじること。今の言葉にするなら世界平和と言い換えられる」とした。
自分が安らかになりたい。自分だけではなく家族にも安らかになってもらいたい。近所の人にも、知らない人も。そして国も安らかになってほしい。お題目の縁に連なる人を広げ、安穏な国土を現出させることが日蓮聖人の願いであり、今年の四月から実動した「立正安国・お題目結縁運動」の精神であると語った。
そして、運動のスタートにあたる「ご入蔵七百五十年宗門法要」に参列した感激や幸せを、参列できなかった人たちに伝えて欲しいと力を込め、「伝える行動こそがこの日の法要の意義のひとつでもある」とした。
「750年前の大聖人の魂の叫びが聞こえますか。聞きたいですよね」と平野師が問いかけると、大きくうなずく参列者も見られた。

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新年のご挨拶。

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