2007年5月10日号
日蓮大聖人御入蔵750年宗門法要
日蓮聖人が正嘉2年(1258)に『立正安国論』の構想を練られた岩本實相寺の一切経蔵に入蔵なされてから、今年で750年の慶年を迎える。このたび日蓮宗・山静教区・静岡中部宗務所・本山岩本實相寺主催による「日蓮大聖人御入蔵750年宗門法要」が6月14日(木)、静岡県富士市の本山岩本實相寺で営まれる。
本山岩本實相寺(静岡県富士市・豊田英世貫首)は日蓮聖人が経蔵に籠もられて一切経(大蔵経ともいう)を紐解き、『立正安国論』執筆の構想を練られたといわれる霊跡。
久安年中(1145年頃)に鳥羽上皇の勅願により創建された天台宗の寺院で、寺域は方4キロ、諸堂が甍を並べ、四十九院五百坊を数えたという。高僧円珍によって唐から招来された一切経を挌護しており、日蓮聖人在世当時から有名であった。
正嘉・正元(1256~60)の頃、大地震・大洪水・飢饉・疫病、彗星の出現など不吉な現象が相次ぎ、この事態を大いに憂えた日蓮聖人は、その原因を仏の教え(経典)と照らし合わせ、災いの原因を確認し、解決策を求めるために経蔵に入られた。
日蓮聖人は一切経を紐解いた理由として、
「予正嘉・文永2ヵ年の大地震と大長星とに驚いて一切経を開き見るに」(強仁状御返事)
「其故は去る正嘉年中の大地震、文永元年の大長星の時、内外の智人其故をうらなひ(占考)しかども、なにのゆへいかなる事の出来すべしと申す事をしらざりしに、日蓮一切経蔵に入り勘へたるに」(中興入道御消息)
と仰っている。
一切経を一巻ずつ開き、閲読と思考を重ねて丸二年。災いの原因は人々が誤った教えに帰依し、正しい教えを捨てたことにあり、法華経に帰依することが肝要と結論をまとめたのが『立正安国論』である。
日蓮聖人は仏の教えが正しく行われることによって、仏国土の顕現がなされると述べられている。「立正安国・お題目結縁運動」が実動した今、日蓮聖人が立正安国の世を目指した発願の聖地で、私たちもあらためて正法の教えを確認しておきたい。日蓮大聖人御入蔵750年宗門法要は、自身の信仰を見つめ直すよい機会ではないだろうか。