日蓮宗新聞

2007年2月10日号

各地で“節分豆まき”

福は内!

凄惨な事件が相次ぐ中で、みんなが健やかで明るい一年になりますようにーー。2月3日、除災得幸を祈って各地で“節分豆まき”が行われた。

 東京・池上の大本山池上本門寺(酒井日慈貫首)では節分追儺式が営まれ、休日とあって老若男女2万人が境内を埋めた。
午後2時、追儺式法要が大堂で酒井貫首を導師に営まれ、裃姿の歳男歳女、プロレスの三沢光晴、佐々木健介、北斗晶、池上に部屋を持つ相撲の尾上親方らが参列。多くの参詣者が見守る中、酒井貫首の御経頂戴や加持祈祷が行われた。
午後3時、大堂正面からのびる約100mの桟敷から酒井貫首はじめ歳男歳女、ゲストらが「福は~うち!」と叫びながら福豆を空高くまくと、参詣者は歓声をあげながら手をのばしていた。

□   □

 千葉県市川市の大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)で営まれた節分追儺式には、寒壱百日の苦修錬行に励む修行僧が総出仕し、二回の豆まきでのべ17,000人が訪れた。
新井貫首を導師に営まれた法要では、加行僧の力強い読経とご祈祷が修され、善星皆来・開運招利が祈念された。
午後1時と3時の豆まきには、全国からの年男年女、市川市長をはじめ美輪明宏さんやとよた真帆さんなどゲストをあわせて300人と加行僧が参加。新井貫首の「福は内!」の第一声の後、豆まきが行われた。子どもたちは「こっちに下さーい」と大きな声をあげ、人々は福を授かろうと必死に手をのばした。
福豆を手にした参詣者は「今年が良い年になりそうです」を笑顔を浮かべていた。

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阪神淡路大震災13回忌大法要

 平成7年1月17日、午前5時46分、一瞬にして多くの尊い命が奪われた。死者6433名、負傷者4万人以上にのぼった阪神淡路大震災。発生から12年目を迎えた1月17日、被災地を管区に抱える兵庫県東部宗務所(清水教信所長)は、命の大切さを伝えようと「伝道大会~みんなのいのり~」として阪神大震災第13回忌大法要を、小松浄慎宗務総長を導師に神戸市の神戸文化ホールで営み、約1400人の市民が追悼の心をこめ、祈りを捧げた。

1月17日午前零時、神戸市東遊園地で管内僧侶が慰霊碑「1・17希望の灯り」周辺で読経を開始。午前4時45分からは管内僧侶に加え、全国日蓮宗青年会と日蓮宗女性教師の会も合流し、読経・追悼式に参列、犠牲被災者へ祈りを捧げた。
午前8時半、東遊園地に全日青を中心とした青年僧約80人の行脚隊が集合し、2コースに分かれ出発。小雨の中、若い僧侶たちの力強いお題目の声と団扇太鼓の音が神戸の街中に轟いた。また日蓮宗女性教師の会の15人は、午前9時から約2時間半かけて長田地区で精力的に行脚を行った。行脚と同時に午前9時からは東遊園地~三宮駅間で布教師会・社会教化事業協会による街頭布教とチラシ配布を行うなど、伝道大会に向け意識を高揚していった。
午後零時半、池田博英実行副委員長による開式宣言の後、「1・17希望の灯り」から採火された灯りを清水所長が御宝前へ献灯。清水所長が「今こそ法華経の精神を広く世界に伝える時」と挨拶し、小松宗務総長を導師に阪神大震災13回忌大法要が営まれた。
厳粛な雰囲気の中、読経が響き渡り、清水所長が表白文を読み上げ、被災者へ一意専心の祈りを捧げ、僧侶檀信徒共に「立正安国・お題目結縁運動」に精励し、法華経とお題目の心を伝え世界平和を実現することを誓った。
続いて修法師18人による大衆法楽が行われた。唱題後、小松宗務総長が回向文を読み上げると、会場は祈りの心に包まれていた。
法要終了後には宗門を代表して張田珠張日蓮宗宗務院総務局長が挨拶し、災害復興への尽力に感謝し、被災者の方々が安心した生活を取り戻すことが出来るよう祈念。また環境破壊が自然災害を加速させることに触れ「今こそ“生命ある地球の尊厳”を再確認し、生命の尊厳、人心の安寧、世界の平和のために邁進するとき。私たち生きとし生けるものは自然により様々な恩恵を受けていることを認識し、恩に報いるべき」と述べ、参加者に“環境・平和・いのち”の誓いと祈りを込めると共に、被災者の霊位に追善の誠を捧げた。
清興では歌手のペギー葉山氏が自身の夫を自宅で介護した体験を基に、介護問題について講演。また新聞詠み河内音頭家元の河内家菊水丸氏によって、心地よい太鼓の音色とともに楽しく河内音頭が歌われ会場は大いに盛り上がった。
最後に京都市本山本法寺の大塚日行貫首による御親教があり、参加者全員による唱題行が行われ、会場全体に平和への祈りが響き渡った。

◇   ◇   ◇

「供養の心は平和の祈り。平和は願うだけでは叶えられません。皆さんの参加が大きな力となります」
兵庫県東部宗務所では阪神大震災という大きな天災、人災で奪われた命に対し、供養を捧げるべく、清水所長、清水能隆伝道大会実行委員長を中心に伝道センター会議、実行委員会、法要リハーサルを重ね、全国への参加を呼びかけてきた。
布教師会・社教会では事前活動として管内僧侶による慰霊行脚を3回にわたり各地区で実施。1回目は昨年11月17日、妙興寺から伊丹・宝塚・西宮地区、2回目は12月15日、醍醐寺から芦屋・東灘・灘地区、3回目は妙行寺から兵庫・長田地区を行脚した。各所の慰霊碑を参拝し、駅前等では街頭布教も行い、一般市民の方にも大会開催への賛同を呼びかけた。
宗務所ではよりよい大会を目指し企画を立ち上げると共に、檀信徒協議会実行委員会を発足するなど、僧侶檀信徒一丸となって大会への準備を進め、本番に臨んだ。

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2007年2月1日号

日蓮宗の代表的「文化財の寺」 大本山妙顯寺

経典・絵画・法衣 すべて重文指定 2000点に及ぶ古文書群

 京都市の大本山妙顯寺(南條孝仁貫首)で文化財調査が実施され、京都弘通を行った日像上人(1269~1342)の持経とみられる鎌倉時代初期の『細字法華経』十巻など、同寺に伝来する多くの名品が確認された。
京都市の大本山妙顯寺に伝わる2000点に及ぶ古文書群は、そのすべてが国の重要文化財に指定され、近年、修理事業が進められている。また同寺には、古文書以外にも多くの文化財が伝来し、身延山久遠寺・中山法華経寺とともに日蓮宗の代表的な「文化財の寺」として注目される。
今回の調査は京都国立博物館と京都府教育委員会によるもので、1月9日から14日までの4日間にわたって実施された。調査に参加したのは、京都国立博物館の赤尾英慶氏はじめ書蹟・絵画・染色の担当者と、京都府教育委員会の田中淳一郎氏。日蓮宗からは、中尾堯立正大学名誉教授と京都日蓮宗青年会の福沢正俊・角道泰昭・鶏内泰寛・今井利幸の各師が調査に加わった。
調査対象は、経典・絵画・法衣などで、その半数の調査を終了。今回の成果をまとめた段階で、次の調査を継続することになった。
【経典】
経典研究の権威である赤尾氏は今回、妙顯寺に伝来するすべての経典を調査。日像上人書写とされる『細字法華経』は他に較べようがないほどの細字であり、鎌倉時代初期の『細字法華経』十巻は実際に日像上人の持経であった可能性が強いことが確認された。このほか、大陸から輸入された七巻本の豪華な『法華経』や、奈良時代の写経『大般若経』一巻などもあり、京都における妙顯寺の存在感の大きさが、はっきりと窺える内容となった。
【絵画】
絵画では中世の仏画と曼荼羅御本尊の装飾が、まず注目された。狩野派をはじめとする絵師が制作した絵画は、京都画壇の動向を反映し、優れた作品が残されている。仏画や屏風絵は美術史の上でも価値があり、取り扱い上の留意点が調査員から指摘された。
【法衣】
法衣では、日像・日耀・日啓上人の袈裟や衣が伝わっている。日蓮宗の法衣の型式を窺うとともに、諸上人の伝道の姿を彷彿させる重要な宝物であり、その生地や文様には京都の優れた繊維工芸技術が偲ばれる。
【後世に伝えるための重要課題】
京都の日蓮宗各本山に伝来する文化財の本格的な調査事業が始まったのは、本法寺(京都市上京区・大塚日行貫首)をはじめ、ごく最近のことである。できるだけ早い機会に各本山の調査を完了し、輝かしい法灯の歴史を後世に伝えなくてはならない。
また、5年後の完成を目指して行われている妙顯寺大本堂の修理事業も、日蓮宗の文化財を後世に伝えようとする文化的な大事業である。それは、伝統教団としての日蓮宗における第一の責務といわなくてはならない。

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新年のご挨拶。

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