日蓮宗新聞

2006年11月20日号

大本山中山法華経寺 聖教殿のお風入れ

千葉県市川市の大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)で、11月3日(文化の日)、日蓮聖人のご遺文を格護する聖教殿のお風入れが行われ、国宝の『観心本尊抄』をはじめとする多くの貴重なご真蹟が、約600人の参拝者に展観された。

新井博士も防虫の検証
聖教殿は毎年、文化の日の晴天に開扉され、ご真蹟の点検とお風入れが行われている。当日早朝の天気は曇りだったが、午前10時頃には次第に陽が差し始め、早くから並んでいた参拝者は展観が始まるのを心待ちにしている様子だった。
聖教殿入り口では、ご真蹟の点検作業を終えた中尾堯立正大学名誉教授が参拝者の列に向かって解説。中尾教授は、「日蓮聖人の文字はなかなか読めないと思いますが、その大きさや筆勢を見てください。聖人のお気持ちが伝わって来るはずです」と繰り返し語りかけ、熱心に耳を傾ける参列者の姿があった。
また、今回のお風入れでは、国際文化財生物劣化学会の新井英夫博士が、防虫の見地から聖教殿の検証を行った。
新井博士によると、聖教殿内部は適度な湿度が保たれ、保存環境は良好。通常、害虫の存在は虫の残した糞で判別するが、建物内部・ご真蹟にその形跡は見られず、虫害の心配はないという検証結果が得られた。新井博士は「ご宝物には、ほこりと湿気が大敵なので、定期的な“目通し”と“風通し”が最も有効」と語る。
拝観を終えた参列者からは、「孫の七五三のお参りで来ました、お風入れは初めてでとても感激しました」(70代女性)、「近所に住んでいます。定年で時間ができて初めてお風入れに来ましたが、先生の解説がとてもわかりやすかったです」(60代夫婦)、「法華経寺は散歩コース。日蓮聖人のことは学校で習っただけですが、実際に聖人の力強い文字を拝見し、感動と共に、また勉強したいと感じました」(30代女性)といった声が聞かれた。

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函館の常住寺に見る新しいお寺のあり方

心にゆとりが必要と言われる現代、精神の教えである仏教に期待する声は多い。仏教と社会の接点であるお寺は、仏教儀礼のみならず心の拠り所として、人々の要望や都市・地方の地域性を考えた活動が課題となる。家族形態の変化、少子高齢化、地域での過疎化等様々な社会の変革がある中、寺のあり方を考えた管区寺院の一例を紹介する。

観光で賑わう函館市は、近年の不況で企業が減少しており、更に近郊のベッドタウン化で人口が減少、中心街は空洞・高齢化が進み、青函航路で人や荷物が往来した頃に栄えていた街並みも変わりつつある。常住寺(鈴木曦寛住職・北海道南部宗務所長)は、夜景で有名な函館山の麓の静かな住宅街に位置している。同寺では今春、日蓮聖人「立正安国論」奏進750年慶讃事業の一環として納骨堂を建立した。建立にあたって重要と考えたのが、家族形態の変化・信仰相続の変化に伴う墓の問題であった。様々な要因で墓を次世代が引き継がなくなり、無縁となる懸念は、都市・地方ともに叫ばれているが、常住寺でも少なからず問題となっているようだ。
 鈴木住職は檀信徒や地域の人々から先祖供養についての相談をヒントに、墓石墓地と比較しても充分な風格を備えた寺院霊園風の納骨堂建立を発起、同時に納骨規約も細部にわたり整備、将来の寺院と檀家に関わる懸念を一つずつ解決する努力を行っている。

「蓮華堂」と名付けられた納骨堂は、鉄筋コンクリート3階建てで、2、3階は納骨堂、祖師堂(立正閣)となっており、2、3階吹抜けの正面に安置された御本尊両脇には高さ8m、幅7mの「朝霧の身延山杉木立」が組み込まれ、荘厳な雰囲気を一層醸し出している。建物は足の不自由な人や車椅子の人でも利用できるよう設計。スロープや手すりが設けられ、車椅子専用のトイレも完備してある。更に、自然災害時の避難所としての役割を考え、震度7程度を想定した耐震設計を施しており、防災袋や非常用の飲料水・乾パン等の備えも万全である。
「日持上人広場」と名付けられた約五百畳敷き屋上には、時を告げる放送設備があり、春「早春譜」、夏「浜辺」、秋「夕焼け小焼け」、冬「ペチカ」と、季節により音楽を変え時報として地域に知らせる。古より寺の梵鐘が地域へ時を知らせる重要な役割を果たしてきたが、現代では「騒音」と受け取られ、地域と寺の確執の原因となる例も多々ある中、寺からの音楽時報は画期的なアイデアとはいえ、寺側で地域住民と時報について懇談したところ苦情のコメントは無かったそうで、「現代の梵鐘」として違和感無く地域での生活に溶け込んでいるようである。
鈴木住職は「お寺関係の人だけでなく、若者も含め地域の人々に様々な目的で利用してもらいたい。人と寺が縁で結ばれ、互いに顔を合わせ話をすることは昔も今も変わらず大事。縁は、お題目の種であり、縁を大切に育てればやがて華は開く」と語る。建立前は境内に座していた北方開教日持上人像は、津軽海峡一望の「日持上人広場」に移され、遠く身延山を望んでいる。(山本智雄記)

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大本山中山法華経寺 聖教殿のお風入れ

 千葉県市川市の大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)で、聖教殿のお風入れが11月3日に行われ、約1100人の参拝者が貴重な日蓮聖人のご真蹟を拝観した。
中山法華経寺の聖教殿には、『立正安国論』や『観心本尊抄』(共に国宝)をはじめとする多くの聖教が厳重に格護されており、毎年11月3日の文化の日にお風入れをし、同時に一般参拝者への展観も行っている。
爽やかな秋晴れとなったこの日、午前10時に開扉された聖教殿の中では、新井貫首をはじめ中尾堯立正大学名誉教授や宗務院関係者などによって法要とご真蹟の確認が行われ、聖教殿前の広場には展観を待つ多くの人々が早くから列をなしていた。
展観が始まると、中尾教授や寺尾英智身延山大学教授・安中尚史立正大学助教授が参拝者の列の前で解説し、中尾教授は「聖教の紙面に躍動する雄渾な筆致に、日蓮聖人の法華経信仰の深い確信と激しい情熱を十分に感じ取ってください」と語りかけていた。
今年は参拝者の数が昨年を大きく上回り、特にハワイからの信徒団17人や立正大学同窓会千葉支部64人など団体での参拝が目立った。
ハワイ信徒団を引率する小川如洋ハワイ開教区長は「千載一遇の機会に来ることができて、信徒一同大変喜んでいる」と語り、立正大学同窓会千葉支部の尾崎敏明氏は「お風入れを拝観する企画は初めてだが、多くの申込があり大好評だった」と感想を述べていた。 参拝者からは、「『立正安国論』の堂々とした迫力に目が覚める思い」といった声が口々に聞かれ、ご真蹟を間近に拝した感動を顕わにしていた。

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新年のご挨拶。

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