日蓮宗新聞

2006年9月20日号

第39回中央教化研究会議開く

 「日蓮宗の教化学を考える-多様性を共に生きる」をテーマに、第39回中央教化研究会議が9月6日、7日の2日間、東京・池上の宗務院で開かれ、僧侶約130人が参加した。まずはじめに直木賞作家の山本一力氏が講演を、次いでプランナー・石川哲也氏と現代宗教研究所田澤元泰所長が対談を行ない、これらを問題提起として参加者は2日間にわたって三分科会に分かれて討議を行った。
山本氏の講演は「江戸から現代をみる-『あかね空』永代寺僧西周の役どころ」をテーマに、自らの幼少時代から作家デビューを果たし直木賞を受賞するまでの苦労や人との出会いを語った。
山本氏は小学生の頃、祖母を亡くし火葬場で骨拾いしたことが原体験となって、死への恐怖、さらには火葬場やそれを連想させる煙突にまで恐れを抱くようになったという。そんな恐怖心が解消される過程には、出会った僧侶の一言や、新聞配達で火葬場を担当した際にその職員から受けた人情味ある励ましなどがあったという。
1時間半にわたる講演の中核をなしたのは「人は一人ではいきていけない」ということで、共生をテーマとする今回の会議にふさわしい内容に、参加者は熱心に耳を傾けていた。
また山本氏は最後に「死をきちんと認識させること。人は一人では生きていけないこと。それらをみんなが分かるように導いていく宗教家が待望される」と結んだ。
石川哲也氏と田澤元泰師の対談は「企画から見た教化」をテーマに、参加者からとった事前アンケートの結果に沿って進められた。
前の山本氏の講演を受けて両氏は、一人では生きていけない=共生は現代における重要なテーマであるとし、相手の目線、世間の目線を理解することが大切であるとした。石川氏の企画・広告のプロらしい視点からの解説は教化や布教に相通じるものがあり、参加者の耳目を集めた。
石川氏は最後に「多様化の中での共生で問われるのは、日蓮宗というブランドであり日蓮宗とは何かということ。教団トップがそれをより明確にさせていく必要がある」と指摘し、参加者には「価値あるお坊さんになってほしい」とエールを送った。
対談終了後に三分科ごとに分かれて、討議に入った。第一分科会(現代と教学)は「共生とは?(一般社会・浄土思想・法華経)」、第二分科会(教団・教化)は「宗門 新たなる前進-我々は変わらなければならない-」、第三分科会(現代社会)「今、社会は坊さんに何を求めているか」をされぞれテーマとした。
分科会は6日の午後2時45分から5時までと7日の午前9時から正午までの2日間にわたり行われた。その後全体会議が行われ閉会となった。

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2006年9月1日号

新潟の大宝寺落雷で全焼

 お盆の時期、8月12日午前9時20分ころ、新潟県北蒲原郡聖籠町の大宝寺(神田義哲住職)に落雷があり、木造平屋建ての本堂と庫裡約660平方mが全焼した。けが人はなかった。
これを受け日蓮宗宗務院は17日、渡辺言之宗務課長他を派遣し、小松浄慎日蓮宗宗務総長からのお見舞い状、及びお見舞い金を神田住職に手渡した。
神田住職によると、12日は早朝から境内を掃除していた。奥さんとお茶を飲んで休憩をとっていると、突然雨が降り出し、ドーンという大音響とともに、地響きがあった。その直後、庫裡のブレイカー付近から出火しているのに気づき、急いで消火作業をした。
その最中、顔を上げると今度は本堂裏にある客殿から煙が出ていたので駆けつけて本堂に入ると、すでに辺り一面煙に覆われており、神田住職は煙を吸いながらも外に飛び出し急いで消防車を呼んだが、火の勢いは止まらず2時間ほどで全焼した。
現場検証で、客殿にあるテレビのアンテナに落ちたことが判明した。落雷後、電気コードをつたわり本堂・庫裡が出火したと見られている。
宗務院の視察に同行した、新潟東部宗務所の吉田錬勝所長は「宗務所でも早く復興できるように対応します」と話した。

 神田住職は「お盆の時期ですのでお参りに来た檀家さんの中には、焼けた本堂を見て涙ぐんでいる方もいました。ありがたい事に、毎日檀家さんがお米や野菜、衣類などを持ってきてくれます。また、近隣の寺院方々にも作業を手伝っていただき、感謝しております。おかげさまで私は元気に復興作業をしております。こんなに多くの方々に力を頂いていますので、クヨクヨなどしていられません。檀信徒のためにも一日も早く本堂を建て、お参りしていただけるよう整備していきます」と語っていた。
日蓮宗宗門一同、大宝寺の再興を願ってやまない。〈取材協力〉新潟県東部宗務所/坂井義栄支局長/神田義崇師

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立正安国世界平和を祈念

 61回目の終戦記念日を迎えた8月15日、全国各地で戦争への反省や平和について考える催しが行われた。日蓮宗(小松浄慎宗務総長)は東京・千代田区にある千鳥ヶ淵戦没者墓苑で昭和34年の創建以来続けている「戦没者追善並びに世界立正平和祈願法要」を営み、降りしきる小雨の中、多くの僧侶檀信徒をはじめ一般の参列者が、合掌し祈りを捧げた。

戦没者の遺骨を納めた六角堂内に曼荼羅ご本尊を奉安し、午前9時に導師、式衆が入堂した。
今年は、導師を小松浄慎日蓮宗宗務総長が務め、脇導師を東京四管区宗務所の草ヶ谷秀人所長(東部)、太田順道所長(西部)、石井隆康所長(南部)、佐野詮学所長(北部)が務めた。
修法導師は村上慈昌東京北部修法師会長が務め、式衆に東京四管区の声明師会、修法師会、青年会の会員が出仕。六角堂中央に安置された陶棺に向かって声明、読経、修法を行い、表白文で「我等一同、異体同心にして立正安国実現の歩みを誓願し、衷心より諸霊成仏の祈りを捧ぐ」と追悼の意を表すとともに、世界平和が祈念された。

 続いて、力強く打ち鳴らされるうちわ太鼓とお題目が響く中、参列者全員によるお焼香が行われた。それぞれが、尊い命を犠牲にした戦没者の冥福を祈るとともに、二度と戦争が起こらぬよう祈りをこめて、深く合掌した。
その後、千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会の宮崎忠雄理事長が挨拶に立ち、同墓苑の創建以来続く日蓮宗による法要に対し謝辞を述べるとともに、今後も慰霊顕彰の灯火を守り続けていくと語った。
最後に、伊東隆司日蓮宗宗務院伝道局長が挨拶に立ち、重ねて世界平和を念じて法要を終了した。
参列した81歳になるという千葉県から来た女性は「先の大戦で、何人かの親類知人が戦地で尊い命を失いました。毎年この法要には来ていますが、足腰が続く限り続けていきたいです」と、目に涙を浮かべながら語っていた。
千鳥ヶ淵戦没者墓苑に納められている遺骨は、昭和28年以降に政府派遣団が収集したものと、戦後海外から帰還した部隊や個人により持ち帰られたもので、軍人、軍属のみならず、海外において犠牲となった一般邦人も含まれ、いずれも遺族に引き渡すことのできなかったもの。今年新たに収集された遺骨398柱が納められ、合わせて35万1324柱の戦没者の御霊が眠っている。

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新年のご挨拶。

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