日蓮宗新聞

2006年5月20日号

第51代日蓮宗管長に酒井日慈貫首が就任

 第51代日蓮宗管長に大本山池上本門寺(東京都大田区)の酒井日慈貫首(87)が就任。5月9日、大田区池上の宗務院講堂で管長就任奉告式が行われ、本山貫首、宗会議員、宗務所長など約100人が参列した。日蓮宗は宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」の実動に向け、酒井管長猊下ご統理のもと新たな出発を迎える。

今般の就任は、藤井日光猊下(身延山久遠寺法主)の管長職退任を受けて、管長推戴委員会(長倉嘉文委員長・神奈川県本山本覚寺貫首)により決定された。
また、これに先立つ4月12日から約1ヶ月間は、伊藤勝淳猊下(東京都江東区浄心寺住職)が管長代務として任務を遂行していた。(5月1日号で既報)
管長就任奉告式は午前11時に開式。小松浄慎宗務総長が式辞を読み上げ、長倉推戴委員長が経過報告と推戴書奉呈を行った。続いて管長印璽が伊藤管長代務から酒井新管長に手渡され、同時に小松総長から特別大法功章が贈られた。
挨拶に立った酒井管長猊下は「今日の世相はその歪みが甚だしく、一刻たりとも放置できない状況にあることは周知の通りであります。このような大役を仰せつかり、責務の重大さを真摯に受け止め、立正安国の実現に邁進することを誓願するものであります。脚下照顧という言葉がありますが、これこそ自己開明の第一歩であり、また現在の宗門にとりましても最大の課題として総力を結集して通らねばならぬ道かと存じます」と述べられた。

続いて伊藤勝淳猊下が管長代務職辞任の挨拶を行い、平井照山宗会議長・井出存祐第二部審査会会長・石井隆康東京南部宗務所長が祝辞を述べ、式は終了した。
前管長・藤井日光法主猊下は平成11年の管長就任以来、第49・50代管長として6年以上にわたり宗門を統理されたが、健康上の理由により任期満了を前に引退を表明され、これを受けた管長推戴委員会が酒井貫首猊下の第51代管長職の推戴を決定した。

管長と管長推戴委員会
管長は一宗を代表し統理する最高位にあり、宗制の公布・行事でのご親教などを行い、住職・担任・教導等の認証、宗会の招集・解散などの権限を有し、同時に宗門全体の象徴としての権威も合わせ持つ。明治以前にその職名はなく、初代管長は明治7年に就任した新居日薩上人(身延山65世法主)。
管長を推戴するため設けられた管長推戴委員会は、宗務総長・宗会議長をはじめとして宗務役員・宗会議員・宗務所長・宗務顧問・祖山霊跡由緒寺院および檀信徒協議会それぞれの代表で構成される。

第51代日蓮宗管長 酒井日慈猊下
大正8年生まれ。大本山池上本門寺貫首。東京都實相寺・千葉県本山弘法寺歴世。日蓮宗新聞部長・立正大学法華経文化研究所参与・日蓮宗講学職・日蓮宗布教研修所所長など歴任。

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2006年5月10日号

東南ア「見て、感じ、行動」全日青、海外布教の現状を学ぶ

 日蓮宗の海外布教拠点の中でも、飛躍的に信徒数を伸ばしている東南アジア。そこに、学ぶべき何かが必ずあるはず――その“何か”を掴むため「自ら見て、感じて、行動する」をモットーとする全国日蓮宗青年会(全日青=三浦海慧会長・北海道妙光寺住職)の15人と寺族3人が、3月26日から30日までシンガポールとマレーシアに渡り、海外布教の現状を学んだ。

26日、シンガポールの国花・蘭が香る空港で、小幡妙照開教師と題目寺信徒の出迎えを受けた一行は、題目寺に向かった。同寺はシンガポール市街の宗教団体が集まるビルに道場を構えており、35人の信徒が授戒している。この日は夫婦や親子連れなど約50人が参詣し、一行を手厚くもてなした。
午後8時、小幡師を導師に記念法要を厳修。法要中、抹茶を点てて献茶するなど日本文化を採り入れた供養もあった。また法楽加持では一人ひとりに撰経があてられ、心を通わす法要となった。
法要後、三浦会長が挨拶に立ち流暢な英語を披露。シンガポールの地で布教に邁進する小幡師と信徒団に敬意を表し、「私たちもみなさまと共に精進し、この世を現世安穏の住みやすいものにするため、南無妙法蓮華経のお題目をお唱えし、世界中に弘めて参りたいと存じます。そして、私どもはいつでも皆さまの支えとなりますので、助けが必要な時はおっしゃってください」と呼びかけた。
続いてチュア・グァン・チュー理事長が「題目寺にお越し頂き、心から感謝いたします。今回の訪問により、私たちの信心はさらに深くなり、心も温かくなりました。日蓮宗に帰正して二年、まだ分らないことがたくさんあります。日蓮聖人の御教えを広げ伝えるために、みなさまと小幡上人から学び実践していきたいです」と謝辞。その後、信徒らによる心づくしの手料理が振る舞われ、一行は地元の味を堪能した。
27日は、第二次世界大戦の日本軍占領時に犠牲となった市民を追悼する祈念碑「ウォーメモリアルパーク」で回向した。この記念碑は昭和42年に日本・シンガポール両政府によって建てられもので、中国系・マレー系・インド系・混血のシンガポール人を四本の箸に見立てた塔になっている。一行はここでお題目を唱え、犠牲者の冥福を祈った。
同日夜、レストランで信徒との交流会がもたれた。「ヤーム・セン!」と大声で叫ぶシンガポールの流儀に則った乾杯で会場は大盛況。また信徒からは修法の根元を問う内容や「『立正安国論』を身に読むためには具体的にどうしたら良いのか」といった質問が出され、僧侶らは一つ一つ丁寧に答えていた。

 28日、一行はマレーシアのペナン島に移動。マンションの二階に道場を構える一念寺は二百人の信徒を擁し、理事長のアン・ティアン・スーン氏を中心に、週2回の法要をはじめ唱題行、勉強会、慈善活動など信行活動を展開。法華経二十八品に中国語で振り仮名をつけたお経本を独自に発行するなど教学の研究にも熱心に取り組んでいる。
午後8時、きれいに飾られた堂内で小幡師を導師に記念法要がはじまり、小幡師が力強い勧請を行うと、信徒たちは一斉に英文の開経偈を読み上げた。幼い子供たちがお自我偈をそらんじる姿に、一行は感銘を受けていた。
法要後、三浦会長は中国語も交えながら英語でスピーチ。「このスピーチを300回練習しました」と言うと、堂内は明るい笑い声に包まれた。次に小幡師が「一念寺の信徒は正しい信仰を持った宗徒としての自覚を持ち、法華経の教えを弘めるという強い意志を持っています。今後も信徒と共に精進して参りたいです」と挨拶。続いてアン理事長が「法要を営んで頂き、さらなる信仰心を与えて下さったことに感謝いたします」と謝辞を述べた。最後に子供たちから歌のプレゼント。“仏さまは常に私たちを見守ってくださっている。平和な世界を創っていこう”という意味の中国語の歌は美しいメロディーで、思いがけないかわいい贈り物に感極まって涙をこぼす姿も見られた。2曲目に子供たちが懸命に覚えた日本語で「幸せなら手をたたこう」を歌うと、信徒も僧侶も笑顔の大合唱となり、堂内が幸せに包まれた。
その後の茶話会では手作りのマレー料理が振る舞われ、信徒と会員が筆談やジャスチャーで交流。膝を交え、話に花を咲かせた。
29日、一行はペナン島内にある戦争犠牲者の追悼記念碑の前で回向。花輪を捧げて一念寺信徒団と共に読経し、犠牲者の冥福を祈って帰国の途に就いた。

3泊5日の布教の旅を終えて、三浦会長は「世界の布教の現状を学ぶことの大切さと、行動することの意義の大きさを改めて実感した。これからは世界を見据えて活動していきたい」と決意を新たにしていた。また、河崎俊宏海外布教担当委員長は「純粋にお祖師さまに向かっている信徒の方々と接し、国は違えども同じお題目を唱えていることの重みを感じた。今後の海外布教にも一人でも多くの方に参加してもらい、自分なりに何かを掴んで持ち帰り、役立てて欲しい」と今後の活動への参加を呼びかけた。

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2006年5月1日号

第23回 綜合財団賞に田賀、塚本師

日蓮宗綜合財団(伊藤通明理事長)は4月20日、東京大田区の日蓮宗宗務院で第23回日蓮宗綜合財団賞ならびに第15回日蓮宗綜合財団奨励賞の授賞式を行い、学術研究・布教伝道の二部門で功労のあった三師・一団体が受賞した。
今回の綜合財団賞は、学術研究部門で田賀龍彦師(神奈川県横須賀市龍本寺住職)と塚本啓祥師(熊本県熊本市東光院内)が受賞。
田賀龍彦師(75歳)は立正大学名誉教授で元立正大学法華経文化研究所長。インド仏教・法華経研究などについて多くの論文・著書を著した。
塚本啓祥師(76歳)は東北大学名誉教授で、インド原始仏教・古代文学等の研究で功績を残した。
また綜合財団奨励賞は布教伝道部門で日蓮宗大分県青年会、学術研究部門で則武海源師(静岡県富士市妙蓮寺内)がそれぞれ受賞。
日蓮宗大分県青年会は、今年結成50年を迎え、檀信徒研修会・少年少女のびのび道場・唱題行脚などの活動を長年行ってきた。
則武海源師(42歳)は、立正大学助教授で立正大学国際交流センター長。チベットでの現地調査を繰り返し行い、近著『西チベット仏教史・仏教文化研究』が高く評価された。
授賞式当日は全国宗務所長会議3日目にあたり、小松浄慎宗務総長が祝辞を述べ、伊藤財団理事長から受賞者に賞状と盾・副賞が贈られると、出席した多くの宗務所長から賞賛の拍手が上がった。

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新年のご挨拶。

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