2006年2月1日号
市民とともに阪神・淡路大震災追悼式
無念の思いを改めてかみしめながら、防寒着に身を包みじっと11年前の地震発生の時刻待つ参列者の眼下には、神戸市街のネオンが輝いていた。
6433人の命を奪った阪神淡路大震災から11年。特定非営利活動法人災害危機管理システムEarth(石原顕正理事長=山梨県立本寺住職)は震災以来、被災者と直接ふれあって課題を共有し、深い信頼関係を築いてきた。1月17日早朝、Earthは今年も神戸市の諏訪山公園でその時を迎えた。
午前5時46分。早朝追悼集会(主催=阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議)には遺族や元被災者、全国各地からの支援者、報道関係者などが集まった。黙祷に続き、運営協力を行っているEarthの石原理事長が導師の献花を行うと、静寂の中に読経と木鉦の音が響き、参列者全員による献花の列が続いた。
午前10時からは追悼式(主催=被災者ネットワーク)が同市私学会館で行われ、会場は予定より多くの参列者で埋めつくされた。
司会を務めたのは岡部眞紀子さん。自らも被災者で、ボランティアグループすまいるに属し、復興住宅住民の交流の場としてひきこもりがちな高齢者などを対象に「ふれあい喫茶」を週に一度開いている。
黙祷に続き、被災者ネットワーク代表の安田秋成さんが追悼の言葉を次のように述べた。
「神戸では、高速道路や港湾施設が再建され、高層ビルやマンションが立ち並んでいます。亡くなられたあなた方の最期の場所も、探すのが難しくなりました。被災者の多くは高齢になり、孤独死も増加しています。犠牲者の多くは生活を守る住宅に押しつぶされたのです。安全な家があったら、このようなことにならなかったことを忘れてはなりません。犠牲者をはじめ救援活動で亡くなった人、殉職された人、行政で関連死と認められなかった人、特に仮設住宅以降増加している孤独死された人々、長期間放置され人の形が崩れた遺体もありました。無念の死をとげたすべての犠牲者を、私たちの大切な仲間として追悼します」。
引き続き石原理事長を導師に、声明を中心とした法華経読誦施餓鬼法要が営まれた。法要後、挨拶に立った石原理事長は「被災者の多くは高齢化が進み、これから先も厳しい現実と向き合っていくことでしょう。彼らは今後、どこに希望を求めていけばいいのでしょうか。孤独死や自殺に向かうことだけは絶対に避けなければなりません。助かった命を大切に、さらに生き続けることの意味を共に考え、心の支えの在り方を問い直すためにも、アースと神戸とのかかわりは終わることはありません」と述べた。