2005年12月20日号
第6回教化学研究発表大会
日蓮宗現代宗教研究所(田澤元泰所長)主催の「第6回日蓮宗教化学研究発表大会」が11月29日、東京大田区の日蓮宗宗務院で開かれ、僧侶8人と寺庭婦人・檀信徒が一人ずつ、研究成果を発表した。
同研究所では、「立正安国・お題目結縁運動」による平和実現に向け、今こそ日蓮宗の教化方策について考えることが必要とし、僧侶・寺族・檀信徒それぞれの立場の具体的な提案を聞くことを目的にこの大会を開催した。
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北海道妙寿寺の檀徒・池上宗俊氏は「全世界にひろめよう正法」と題して発表。菩提寺での活動報告をし、学習会での経験を通して、初級・中級・上級へとつながっていくような教科書の作成を陳情した。また、祖願達成のためにも、日蓮聖人のみ教えを全世界に知らしめる方法として映画制作を挙げ、寺院や檀信徒から寄付を募り、全世界に配給する構想を提案した。
“対話”の重要性訴える
竹内日祥師(大阪市妙見閣寺住職)は「宗教対話による価値の創造」と題して発表した。竹内師は現代の多元化社会には人種や宗教が共生する社会を構築するための「対話」が不可欠と指摘。宗教対話が宗教の進化に貢献し、ひいては人類の指標を創造していくと、その重要性を訴えた。
また、日蓮聖人の畢生の誓願は対話の普遍化であり、日蓮聖人にとって対話は常不軽菩薩の但行礼拝の行であったと説明。さらに弟子檀越にも「法華経のみならず、(対話の)相手の信仰する聖教に至るまで学ぶべし」と指南されていたと説いた。
特別発表では「わが街にもあった戦争と今」と題して名古屋芸術大学非常勤講師の春日一彦氏が登壇。戦争体験の継承について、日本国民が戦意高揚に総動員された原因を丁寧に検証しなければ戦争体験を語り継ぐ意味がないとし、過去の教訓を学び「今」そして未来に活かしていくことこそが大切と訴えた。
なお、全発表の詳細は来年3月発行の現代宗教研究所所報『現代宗教研究』第40号に掲載予定。