日蓮宗新聞

2005年11月1日号

宗祖比叡山遊学顕彰宗門法要

日蓮聖人が仏教諸宗の教えを修学し、とりわけ法華経の真理探究の道を求められた日本仏教の霊地・天台宗総本山比叡山延暦寺(世界遺産)。来年、伝教大師最澄が比叡山に入山し天台宗を開宗して1200年を迎えるのにあたり、日蓮宗は天台宗宗務庁並びに延暦寺当局からの要請を受け「伝教大師開宗千二百年慶讃世界立正平和祈念法要」を10月19日に国宝の延暦寺根本中堂で執り行い、宗門僧侶・日蓮宗檀信徒約500人が唱えるお題目の声が錦秋の比叡山に響き渡った。

法華経の御心を人類社会に

日蓮聖人をはじめ法然上人・栄西禅師など鎌倉新仏教の祖師の多くが開宗前に学んだ比叡山。日本仏教の母なる山にお題目を捧げ世界の立正平和を祈る大法要は、藤井日光日蓮宗管長名代の岩間湛正宗務総長を大導師に、井村大祐師(宗会議長)・井出存祐師(第二部審査会長)・永田恵遠師(京都本山会)・増井恵広師(兵庫県西部宗務所長)の4師を副導師とし、近畿教区の声明師が中心となって営まれた。
澄み渡った秋晴れのもと日蓮宗僧侶・天台宗僧侶が境内を練行し根本中堂に入堂すると、天台独特の重厚な趣を漂わせるお堂に声明の節がゆるやかに流れ、参列者全員が特別にご宝前に掲げた日蓮聖人のお曼荼羅ご本尊にお題目を三唱して法要が開始した。
式中、大導師の岩間宗務総長は「ここに、吾祖も拝したる不滅の法燈の御前にて伝教大師が志願せられる同帰一乗、吾祖が立てたる無二の志、皆帰妙法の大願を紹継し、以て立正安国の祖猷輝かしめ、四海の静謐を祈念し万邦平和生類共生の妙相実現を誓願するものなり」と慶讃文を力強く読み上げた。
法要後、天台宗を代表して比叡山延暦寺の森定慈芳執行、日蓮宗を代表して栗原正震伝道局長が挨拶に立った。
森定執行は日蓮宗に対し、伝教大師・立正大師(日蓮聖人)両大師の念願であった人々の安穏と世の平和を祈念する法要を執り行ったことに感謝の意を表し、「伝教大師が開宗を願われた時、“一目の羅、鳥を得ることを能わず”と言われております。これは、人々を救うのに網の目がたった一つではかなわず、一つ一つの目がつながり合った大きな網の目になれば、多くの人々を救うことができるという意味です。ゆえに仏教諸宗派に限らずキリスト教あるいはその他の宗教も含めて大きな網の目となり、人々の安穏・安心・世の平和の為に共に進んで参りたいものです」と挨拶された。
栗原伝道局長は「今日の社会状況を見ますと、まさに伝教大師開宗の時代、また日蓮聖人立教開宗の時代と酷似し、生命存在そのものの危機的状態であると申しても過言ではありません。法華一乗のみ教えをもって、生きとし生けるもの全てが斉しく安穏である浄仏国土を建設せんと身命を捧げられた宗祖を頂く私ども門下は、手を携えて法華経の御心を人類社会に広く伝え、生命尊重と共生の世界を築き上げる誓いを新たにするものであります」と挨拶した。
最後に、この意義深き法要に列席した宗門僧侶と檀信徒は共に両大師に礼拝し、宗祖日蓮聖人が学ばれた地で営まれた歴史的な行事に参列することができた悦びを分かち合っていた。

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横川定光院 落慶宗門法要

日蓮聖人遊学の聖地であり、日蓮宗宗門史跡に指定されている比叡山横川の定光院(滋賀県大津市・杉若恵隆主監)では、立教開宗750年慶讃事業として進められていた本堂・庫裡・山門の建立が完遂。落慶宗門法要が10月19日に盛大に営まれ、僧侶檀信徒約500人が参列して慶事を祝った。今後、横川定光院は日蓮宗比叡山研修道場として、宗門師弟の育成や檀信徒の信行活動に広く活用される。

研修道場として広く信仰活動へ

今回の建設事業は、日蓮宗による定光院の護持管理が始まった平成5年に発足した横川定光院護持顕彰会(杉若恵隆会長)が中心となり、宗門の援助の下で進められてきた。
護持顕彰会が、平成9年に浄財勧募のための「5万人講」を立ち上げ、全国の日蓮宗寺院・檀信徒へ呼びかけを行ってきたが、その結果、総勢3000人以上から寄付が集まり、この度の境内一新への大きな原動力となった。
落慶法要は爽やかな秋晴れの下、午前10時半から、藤井日光日蓮宗管長名代の岩間湛正宗務総長を大導師に、杉若恵隆師(定光院護持顕彰会会長)・頂岳龍乗師(顕彰護持委員会委員長)・貫名英功師(京都府第二部宗務所長)大塚泰詮師(定光院初代主監)・の4師を副導師とし、近畿教区の修法師・声明師24人が出仕して厳かに営まれた。
大導師は慶讃文の中で「今日を迎えるにあたり、数多の僧俗、丹誠の誠を重ねるにおいて、精舎落慶の日に知遇せし貴き仏縁、心に刻むべし、この地この時を永く亡失することなかれ」と述べ、聖跡護持と新精舎落慶に尽力した多くの人々の徳を讃えた。
法要終了後、比叡山延暦寺の今出川行雲副執行が「比叡山横川の名跡である定光院が、ここに連綿と受け継がれていることに喜びを感じ、深く感謝申し上げます。かつては、“昼なお暗き定光院”と呼ばれ、ミシミシと音を立てるお堂の雪掻きをしたことを思い出しますが、今、こんなにも立派に明るくなった姿を見て感動を覚えずにはいられません。これからも仏法の興隆と法華経弘通のために延暦寺は皆さまと共に手を携えて参ります」と祝辞を述べた。
続いて日蓮宗から中條令紹総務局長が挨拶に立ち、「宗門では今年から、宗祖ご降誕八百年に向けて“立正安国・お題目結縁運動”を提唱していますが、今日の落慶法要は、この聖地から力強く法華一乗の大光明を放ち、新たなる広宣流布を歩み出す第一歩となります。この定光院が宗祖霊蹟の由緒に相応して、僧道林をはじめとする法器養成や檀信徒研修等に活用され、関西随一の法華経の道場として隆昌することを心から願います」と述べた。
最後に杉若護持顕彰会長が「感無量で、何も言うことはございません」と前置きしながら謝辞を述べ、「これからも脈々たる顕彰をしなければならないと使命を感じています」と誓いを新たにしていた。
なお、今回の定光院落慶に際し、10月20日には横川定光院護持顕彰会、翌21日には大阪豊能宗務所主催による落慶法要がそれぞれ盛大に営まれ、比叡山では連日、お題目の声が響いた。

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新年のご挨拶。

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