日蓮宗新聞

2005年10月20日号

特別統一信行

平成17年度特別統一信行が9月29、30日、総本山身延山久遠寺で行われ、全国から檀信徒57人が参加した。
統一信行は、多くの檀信徒の先導者となるようにと、日蓮宗宗務院が檀信徒研修道場修了者を対象に開いている。4年ぶりの開催で、会場は久遠寺のほか身延山大学と武井坊、岸之坊、樋澤坊。
主任講師は中村潤一師(福岡県真浄寺住職)、講師は植田観樹師(大阪府真如寺住職)、平野譲山師(静岡県法蔵寺住職)、吉田弘信師(石川県全性寺住職)、山口顯辰師(秋田県本住寺住職)、豊田慈證師(愛知県法華寺住職)が務めた。
29日、久遠寺大本堂で行われた開講式で、田端義宏日蓮宗伝道部長に続いて井上瑞雄久遠寺総務が挨拶。「大いに成果を上げ、菩提寺の核となって活躍してください」と激励した。
昼食をはさみ、吉田師の法話に続いて平野師を導師に一時間の報恩唱題行が行われた。
続いて身延山大学に場所を移して中村師、植田師、山口師が講話。中村師は昨今の世間の現状を憂い「これからさらに此経難事の時代が来るかもしれませんが、経を持ち、未来に伝えていくことが立正安国なのです」と説いた。山口師は、末代信者の手本と言われた佐渡の阿仏房が、日蓮聖人を訪ねて身延山に登詣する情景を高座説教で熱弁。参加者は涙を流しながら聞き入っていた。
夕食後、各坊に分かれ法座が開かれた。信仰体験や菩提寺での活動内容などが発表されたほか、信仰伝承の手立ても多く話し合われ、万灯講をつくったら若者が集まるようになったという事例なども紹介された。
30日は久遠寺朝勤に参列し、身延山大学で奥野本洋久遠寺布教部長の晨朝講話を聴聞。奥野師は自らの体験から、医師に病名を告知された時の心情やその後心を奮い立たせた経緯を話し「志は心のたから」と説いた。
その後、常唱殿で豊田師を導師に唱題行。引き続き祖廟で閉講式が行われ、統一信行が修了した。

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日蓮宗、第2回スタディツアー開催(2)

日蓮宗宗務院(岩間湛正宗務総長)は8月30日から9月8日まで、第2回スタディーツアーを実施。19歳から31歳までの宗門子弟や檀信徒16人が、ラオスでの学校建設を通して現地の人々と触れ合った。
ツアーの団長・伊藤佳通師(静岡市感應寺)が理事長を務めるNGO(非政府組織)・BAC仏教救援センター(以下BAC)は、25年に亘り幅広い国際協力活動を行い、12年前からはラオスでの学校建設に尽力。今回のツアーにもラオス教育省中等教育課のブントム・ケナプム氏が同行するなど、ラオス政府とも連携した活動を行っている。
BACの学校は鮮やかな青のトタン屋根がトレードマーク。鉄筋コンクリート製で、レンガの壁をモルタルで仕上げている。参加者は現地建設会社の職人約10人と共に、コンクリートの床作りやレンガ積みなどを5日間に亘り体験した。
 雨でぬかるんだ校庭に足を取られながらの砂運びやレンガ運びでは、靴をドロドロにして何度も何度も往復した。床作りではコンクリートを流すため、セメントまみれになりながら職人と共にバケツリレー。そして職人の指示をジェスチャーと表情で理解し、慎重にレンガを積み上げ、鉄柱を作った。
何から何までが手仕事の建設作業。ここでは協力し合わなければ何一つ先には進まない。はじめは意志疎通がうまくいかなかった職人とも、時が経つにつれ笑顔を交わす時間が多くなっていた。声を出し合い、助け合う参加者の瞳には活力がみなぎり、笑顔が輝いていた。目標に向け心を一つにすることの尊さを、身をもって感じたに違いない。
レンガ運びを眺めていた一人の子供が、真似をして運び始めた。すると他の子供たちも手伝い始めた。何個ものレンガを板に乗せ、歯を食いしばって運ぶ男の子。小さな手にレンガを持って、何往復もする女の子。「コープチャイ(ありがとう)」と言うと、口元をほころばせて純真な笑顔を向けてくれた。そのはじけるような笑顔が、参加者の疲れを忘れさせた。
子供たちはとても人なつこく、授業が終わると参加者のもとに駆け寄り、遊んでくれるようせがんだ。片言のラオス語を、心で分かってくれているようだった。紙飛行機を教えれば、手を引いて「ねえ、見て!」と得意気に飛ばし続けた。草相撲をして見せると、喜んで真似をした。大汗をかきながら作業する参加者に野の花を手渡し、笑顔で合掌する女の子もいた。
地元の若者とのセパタクロー(籐製のボールを蹴って相手のコートに入れ合う球技)も毎日のように行われた。共にセパタクローを楽しむこと、子供たちと触れ合うこと、建設作業で貢献すること。どれも素晴らしい国際交流、そして国際協力の形ではないだろうか。
また作業中日には、世界遺産、ワット・プーを訪れる日程も組まれていた。元ヒンドゥー寺院で後に仏教の聖地へと変化を遂げたその歴史の重さに、参加者は暫し感慨深い時を過ごした。
 最終日の午後には、全村あげてのお別れ会“バッシー”が行われた。これはラオスの伝統行事で、結婚や新築・歓送迎会などで行われる民族儀式。祈りが捧げられた木綿糸を、村人が次々に「無事に帰れますように」「またラオスに来られますように」と祈りながら、参加者の手首に巻きつけていく。ラオスの人々の包み込むような温かさに触れ、感極まって涙する姿も見られた。
その後、メコン河の魚料理や野菜炒め、もち米など心尽くしの料理の数々と、地酒ラオラオが振る舞われた。村人たちは、まるで親戚のおじちゃんやおばちゃんのように、たくさん食べなさいと勧めてくれる。参加者と職人、村人が身振り手振りで語り合う会場では、笑顔がゆれていた。
そして村人によるダンス「ランボーン」が披露されると、「東京音頭」「炭坑節」でお礼返し。交流の場は大いに盛り上がり、いつまでも踊りが続いた。

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日蓮宗、第2回スタディツアー開催(1)

明日の宗門を担う若者が、ラオスの強く照りつける太陽の下、小学校建設に汗を流した。
人間と動物が共存し、ともに大自然の恩恵を受けるラオス。その中を裸足で駆けまわる子供たち。日本とは懸け離れた大らかな風土と、現地の純朴な村人や子供たちとの心の交流の中で、若者たちは新たな価値観を育み、それぞれの生き方を模索する貴重な体験をした。(2面に関連記事)

日蓮宗宗務院(岩間湛正宗務総長)は、将来の国際協力活動・海外布教活動を担う人材を発掘することを目的に、8月30日から9月8日まで、第2回スタディーツアーを開催。ラオスに111の小学校を建設しているNGO(非政府組織)・BAC仏教救援センター(以下BAC)の伊藤佳通理事長(静岡市感應寺内)を団長に、10代から30代の宗門子弟や檀信徒16人が建設作業を体験した。
◇   ◇
 法華経には、心と心を繋げて敬いの心を持ち、共に向上し、仏の種を育て咲かせようと願う菩薩の精神が説かれている。
日蓮宗ではこの精神を基盤に、全国の寺院や檀信徒から寄せられた浄財「日蓮宗国際協力基金」を、災害や救援活動の支援をはじめ、NGO・NPO(非営利組織)等への協力資金に充て、国際協力活動を推進してきた。その一環として、9年前からはラオス学校建設にも着手。BACが展開する学校建設プロジェクトの提供者となり、資金援助を行ってきた。
BACとして112校目、日蓮宗としては32校目となったシークート小学校は、ラオス南部メコン河沿いのチャンパサック県シークート村にある。今年2月に開催された第1回スタディーツアーで、宗門子弟をはじめとする若者が建築作業を行い、4月に3教室の学校が完成した。今回のツアーでは、第1回に次いで同校に2教室を増築する建設作業の体験となった。
宗務院では来年9月にも引き続き同様のスタディーツアーを開催する予定で、全国の宗門子弟や檀信徒に参加を呼びかけている。

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新年のご挨拶。

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