日蓮宗新聞

2005年7月20日号

平成17年度 第1回 清澄で檀信徒研修道場

平成17年度第1回中央檀信徒研修道場(主催・宗務院伝道部)が6月28日から30日まで千葉県鴨川市の清澄寺研修会館で行われた。日蓮聖人が出家得度され、立教開宗の宣言をされた大本山清澄寺(岡﨑日泰別当)での研修道場は昨年に続く2回目で、全国6管区から集まった52歳から74歳までの合わせて9人(男性3人・女性6人)の檀信徒が熱心に研修に臨んだ。

今回の主任講師は中村潤一師(福岡県真浄寺住職)、講師は豊田慈證師(愛知県法華寺住職)、書記は梅沢仁孝師、渡部是将師、藤崎英人師。
開講式では、岡﨑別当が「人生は求道の日々。水の流れのように、よどみなく道を求めたいものです」と参加者を激励。中村主任は「今回の参加人数は9人と少ないですが、ベストナインだと思って力を合わせて頑張りましょう」と述べた。
研修は、講義・読経・写経などがスケジュールに添って進められ、中村主任のユーモアあふれる分かりやすい法華経講義、豊田講師による高座説教を取り入れた日蓮聖人伝解説、若手書記の熱のこもった法話など充実の内容となった。
また、初日の夜と2日目の午前に行われた唱題行は、岡﨑別当が指導にあたり、お題目を唱えて涙ぐむ参加者の姿も。
早朝は、日蓮聖人が声高らかに立教開宗を宣言されたと伝えられる旭が森山頂に登り、全員で唱題。残念ながら2日間とも旭日を拝することはできなかったが、霧の清澄山で清々しい一時を過ごした。
就寝前に行われる恒例の法座では、参加者と講師が膝を付き合わせて遠慮なく意見を述べ合い、信仰の継承について「各寺院で青年会組織を育てたい」「信仰による家づくりをしよう」と、共通の目標を確認し合った。
研修を振り返り、埼玉県在住の味方光代さん(新潟県法輪寺檀徒)は、「お寺で紹介されて、定年退職のお礼参りにと初めて参加しました。心身が洗われる感じで、明日からまた新たな気持ちで仕事に励むことができます」と語った。
閉講式には岡﨑別当も出席。参加者に修了証が手渡され、初参加の今中久男さん(滋賀県常唱寺檀徒)が「ここで学んだことを明日からの信仰生活に生かしていきます」と謝辞を述べ、3日間にわたる研修を終了した。

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人権擁護委員会が研修会

日蓮宗人権擁護委員会(植坂行雄会長)では6月13日、人権研修会を東京・池上の日蓮宗宗務院で開催。僧侶や一般の人約50人が参加した。
青木和雄氏が「子どもの心を聴こう」と題して講演(別項に要旨)。青木氏は長年にわたる教員生活の後、教育カウンセラー、法務省人権擁護委員また保護司として親と子の相談に関わってきた経験から、大人がいま、子どもたちにすべきことを訴えた。
その後、青木氏と共に子育てに悩む親や、青少年の相談に関わっている吉富多美氏が講演。自らも母親である立場から、「環境や状況が変われば、自分も虐待をしていたかも知れない。誰にでも虐待の可能性はある」と警鐘を鳴らした。
青木氏と吉富氏は経堂で、虐待やいじめ、少年犯罪など、子どもの心の問題を浮き彫りにした作品を多数執筆。中でも、『ハッピーバースデー』(金の星社)は、4月の刊行から2ヵ月で20万部を売り上げるベストセラーになっている。

人権とは存在を認めること
昨今、子どもたちに関わる事件が多く、子どもたちは“変わった”とか“キレやすい”と言われています。
しかし、子どもは簡単にはキレません。我慢し、耐えているのです。子どもをキレさせるまで追い込んでいるのは、大人ではないでしょうか。
昔も今も、子どもが未熟であるという本質は変わりません。未熟さゆえの失敗や過ちがあり、失敗を繰り返しながら成熟した大人になっていくのです。しかし、「我慢しなさい」「怒っちゃだめ」と、小さい頃から感情を抑圧されると、表出を押し止めることでストレスが溜まります。それが我慢できなくなった時、火山が噴火するように子どもたちはキレるのです。
キレたり非行に走ったりするのは、子どもたちの「こっちを見てくれよ」という命がけの叫びです。その叫びを、強く罰することだけで切り捨ててしまったら、本当の心は出てきません。子どもの将来をつぶしてしまうことになるのです。
泣きたい時には泣き、悲しい時は悲しんで、悔しい時には悔しがる。感情を抑えつけずに表出させ、大人がそれを肯定的、共感的に受け止めることが大切です。信頼し尊敬する大好きな父親や母親に「私の気持ちがわかってもらえたんだ」そう思えた時、子どもたちには生きていくエネルギーが沸いてきます。
しっかり話を聴いて受け止めた上で、間違っていることには「すごくわかる。わかるけれども間違っているように思うよ。人の道からはずれているようにお父さんは思う」と自分の考えを伝え、失敗を心の糧となるように活かし、導いていくのが大人の役割です。
「僕、どう生きたらいいの?」その答えを、子どもたちは父親や母親に求めています。ですから、自分なりの哲学をもって子育てにあたって下さい。子育てのゴールは「どう生きるか」を伝えることなのですから。

声が出ない子愛せない母親 虐待の連鎖
こんなケースがありました。相談に来たのは、五歳の女の子を連れた母親。「この子はお兄ちゃんと比べてのろまでグズで、どうしようもないんです」そう話す母親を、女の子は恨めしそうな、とても悲しそうな顔で見上げ、自分の喉をギュッとつまんでいます。すると母親は「また喉をつまんでる」と、その手を邪険に振り払いました。手を離した女の子の喉には紫色のしこりができていました。
「お子さんが喉をつまむことで相談に来られたのですか?」母親に聞くと、「いえ。実はこの子、昨日から声が出なくなったんです」と言います。話を聞くと、母親は女の子に向かって「あなたなんか生まなければよかった」そう言ったのだそうです。女の子の声が出なくなったのは、その翌日でした。
よくよく話を聴くと、その母親にも、子どもの時に母親に愛されなかったという心の傷がありました。それが解決されないまま大人になり、子どもを愛することができない母親になってしまったのです。虐待の連鎖でした。
それでも女の子は「お母さんのこと、好き?」と聞くと、うん、とうなずきます。「大好きなの?」ともう一度聞くと、うん、うんと何度も大きくうなずきました。
「私はお母さんのことが大好きなの。でもお母さんは私のことを好きって言ってくれない。それは私が悪い子だから。いい子になるからお母さん、こっちを向いて」。
声にならない女の子の心の叫びが、私の心にびんびん響いてきました。
一人間としての存在を母親に否定され、たった五歳で声を失うほどの辛い思いをした女の子。自分の喉をつまみ、皮膚の痛みを感じることで、心の痛みを癒していたのでしょう。

子どもに愛を注いでください
存在の排除は最悪の人権侵害です。「○○さえいなければいい」そんな心ない言葉で傷ついている子どもたちが大勢います。自分を尺度にせず、人の痛みや辛さを想像する力を持つことが大切です。人権とはその人の存在を認めることだと私は思っています。
そして、子どもに溢れるほどの愛を注いでいってほしいです。愛されたという記憶は、豊かな心の糧となるでしょう。

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2005年7月10日号

蓮照寺が日蓮宗寺院に ―広島市東区―

広島市東区に約70年前に建立され、法華経と日蓮聖人の教えを地域の檀信徒に伝え続けてきた蓮照寺(中川潤洞住職)が、この度、単立(いずれの宗派にも属さない)寺院から、日蓮宗に所属することになり、辞令伝達式が6月20日に東京大田区の日蓮宗宗務院で行われた。
蓮照寺は、昭和10年頃に先代の中川奠照上人が開創し、現在は中川潤洞師が第2世住職として布教活動を行っている。高等学校の理科教諭という一面も持つ中川住職は、蓮照寺の日蓮宗所属を長年考え続け、子息の英乗師が日蓮宗の荒行を成満したことで、その気持ちは固まったという。
中川住職と交流があった広島県宗務所の渡部康国所長が、昨年の管区宗政懇話会の会場で岩間湛正宗務総長に上申したこともあり、蓮照寺の日蓮宗所属は比較的短期間で実現した。
辞令伝達式は午後零時半から宗務総長室で行われた。岩間総長は「宗則を遵守され、共に祖願達成に向けて進んで参りましょう」と激励し、これを受けて中川住職は「身が引き締まる思いです。機熟して長年の念願が皆様のおかげで実現しました。お題目を一人でも多くの人に弘めるよう精進して参ります」と決意を述べた。
式に同席した渡部所長は、「“備前法華に安芸門徒”といわれるように、広島は浄土真宗が多い土地だが、蓮照寺の先代上人はいつも自転車でお経廻りをしていたことが印象深い。何もない所から山を切り崩してお寺を建てたご苦労が窺われ、布教の厳しさを伝える意味で今の若いお坊さん方ににもよい教育になると思う」と、管区に新たな日蓮宗寺院が加わった喜びを語っていた。

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新年のご挨拶。

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