日蓮宗新聞

2005年6月1日号

お題目の大音声 ニューヨークに響き渡る

「南無妙法蓮華経 南無妙法蓮華経」
5月1日、米国ニューヨーク市の空は気持ちよく晴れ渡っていた。その中枢・マンハッタンで高さを競うように聳える摩天楼のビル群に、お題目の大音声と力強いうちわ太鼓が響いた。

昭和20年8月、一瞬にして数十万という尊い命を奪い、人々を苦しみと悲しみのどん底に突き落とした広島・長崎への原爆投下。あれから60年を迎えようとしている今、全国日蓮宗青年会(全日青=三浦海慧委員長・北海道妙光寺住職)が日蓮聖人の願い「立正安国・仏国土顕現」「一天四海皆帰妙法」の達成を大目的として、「あの悲しみを二度と繰り返してはならない」という強い思いを胸に立ち上がった。
◇   ◇
 核拡散防止条約(NPT)再検討会議(5月2日から同27日まで開催)の開幕を前に5月1日、米国の非政府組織(NGO)の呼びかけで核廃絶を求める大規模な平和行進が米国ニューヨーク市内の中心部で行われ、約3・5キロを2時間にわたって4万人が行進した。世界各国のNGO団体や米国市民などと共に、日本からも広島・長崎の被爆者や平和市長会議代表団など千人余りが参加。日蓮宗からは全日青代表団(団長=三浦委員長)の23人と、立正平和の会代表団(団長=新間智照理事長・兵庫県妙法華院住職)七人が海を渡り、全国各地から集まった17061人分の署名を携えて唱題行脚し、ニューヨークにお題目を轟かせた。
平成13年9月11日の同時多発テロ以来、人と人とが互いにつながり合おうという気持ちが表出してきたというニューヨーク。この日は日曜でもあり、摩天楼は家族連れや買い物客で大賑わい。道行く人々は、平和を祈る唱題とうちわ太鼓にピースサインと笑顔で応えていた。

◇◇全国日蓮宗青年会◇◇

お題目による世界平和を
全日青 檀信徒とともに唱題行脚

全国日蓮宗青年会(=全日青)代表団は、岩間湛正日蓮宗宗務総長が無事円成を祈念してお題目を染筆した一尺二寸のうちわ太鼓を旗印に、平和への祈りの唱題行脚を行じた。

12420人の思いと共に
「祖願“一天四海皆帰妙法”達成のため、海外布教を」という熱い思いが、平和行進参加のきっかけだった。
核兵器の廃絶を求める平和行進で共に歩き、お題目による世界平和を訴えよう。ニューヨークにお題目をこだまさせよう――青年僧の情熱が形となったのだ。昨年11月に参加が決定してから、海外布教担当副会長の河崎俊宏師(石川県妙相寺住職)は、日程など現地情報の把握に奔走。全国各地の青年会員は、参加できなくても願いを届けたいという一心で署名を募った。
そして平和行進当日、青年僧は集まった署名12420人分の思いと共に唱題行脚。寺族や檀信徒は、「NAMUMYOHORENGEKYO FOR THE WORLD PEACE(お題目による世界平和を)」「All Japan Nichiren-shu Youth Ministers Associations(全国日蓮宗青年会)」と河崎師がペンキで書いた5mの横断幕を掲げ、お題目を唱えながら歩いた。開教師としてニューヨークに拠点を構え、布教活動に邁進する井上淨允師も信者数人と共に参加した。
見なれない僧侶の風貌に、カメラを向ける人や訝しげに様子を窺う人もいたが、うちわ太鼓に合わせてピースサインで応える姿が多く見られた。中には、反対車線を通る車内からピースサインを送る人もいた。
「生命の絶対尊重」を基本理念に立ち上げられた宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」。青年僧が戦争絶対反対・核兵器廃絶を訴え、異国の地でお題目の縁を結びながら唱題行脚したこの平和行進は、立正安国実現への一歩となった。

各国から署名が集結 全日青12420人分を寄託
平和行進の終点・セントラルパークでは集会が開かれ、日本人被爆者などが演説。核兵器の恐ろしさを訴えた。
また、世界各国からの核兵器廃絶を求める署名がここに集結。全日青でも、全国各地の青年会が僧侶や檀信徒、知り合いなどに輪を広げて集めた12420人分の署名をNPT再検討会議の議長に提出するため、原水爆禁止日本協議会に寄託した。日本からの署名の総数は1000万人分を超えたという。

世界貿易センター跡地で慰霊追悼法要
平成13年9月11日、世界を震撼させた同時多発テロ。その標的となった世界貿易センター跡地「グランド・ゼロ」で4月29日、全日青代表団メンバーが慰霊追悼法要を厳修した。
巨大な敷地は周囲を金網で仕切られ、足を踏み入れることはできない。見上げると、柵に括りつけられた約3000人にも上った犠牲者の名が刻まれていた。一団は金網の外から法味言上。犠牲者の冥福を祈った。
グランド・ゼロの再開発は、建設開始から10ヵ月経った今年5月、再びテロの標的となる恐れがあるとされ、白紙に戻された。

◇◇立正平和の会◇◇

全世界の核兵器廃絶を願って
新間理事長はじめ7人参加

 立正平和理念に基づいて核兵器廃絶、被爆者救援などを訴え、40年余りに渡って活動を展開している立正平和の会(新間智照理事長・兵庫県妙法華院住職)からは、僧侶檀信徒7人が参加した。
一団は、岩間湛正日蓮宗宗務総長からアナン国連事務総長へのメッセージを携えて渡米。日蓮宗としての立場を世界に示す文書を提出した。(以下要旨摘録)
「国連における核不拡散条約(NPT)再検討会議開催に際し、私たち日蓮仏教徒は、国際協定によって速やかな核兵器廃絶、武力紛争の平和手段による即時終結、さらにはすべての国の全軍備撤廃が実現するよう強く要請します」
◇   ◇
平和行進前日の4月30日、同会はニューヨークの街頭に立ち、雨が降りしきる中、うちわ太鼓を叩いて署名活動を行った。物珍しさもあってか、多くの人の注目を集め、たくさんの署名が寄せられた。
翌五月一日の平和行進では、「南無妙法蓮華経 世界立正平和」と染め抜かれた玄題旗を掲げ、全日青と共に撃鼓唱題。
核兵器廃絶という悲願を達成するため、世界中で活動してきた新間理事長にとって、ニューヨークでの平和行進は4回目。ばちを高く上げ、渾身の力を込めて「南無妙法蓮華経」と唱えて歩く姿は勇猛さに満ち、78歳という年齢を感じさせなかった。「全世界の核兵器が無くなるまでには、何十年かかるかわからない。けれどもその日まで、忍耐強く核廃絶運動を続けていきたい」―その願いが遂げられる日まで、立正平和の会、そして新間理事長の運動は続く。
同会は米国滞在中、グランドゼロでの犠牲者追悼法要や、NPT再検討会議の見学、世界の反核運動家との交流、さらにフランス大使と接見し核兵器廃絶の要請を行うなど、精力的に活動。
5月4日、日本で集められた4641人分の署名を原水爆禁止日本協議会に寄託してNPT再検討会議の議長に提出し、帰路についた。

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