日蓮宗新聞
2005年5月20日号
植田観樹師(本紙編集委員)がペンクラブ会員に
本紙編集委員の植田観樹師(大阪府能勢妙見山眞如寺住職)が、日本ペンクラブの会員に認められた。
ペンクラブは文筆業に関する世界的な組織で、日本ペンクラブ(現会長は作家の井上ひさし氏)には、国内で活躍する著名な執筆家の多くが入会している。
今回、植田師の入会審査の対象となった作品は、日蓮宗新聞に連載された『樹じゅ輪りん』(日蓮宗新聞社)と『法華信仰の風景─現代社会と坊僧俗』(東方出版)のエッセイ。
推薦人は、同クラブ会員の中村潤一師(福岡県真浄寺住職)と道岡日紀師(千葉県廣福寺住職)。
中村・道岡・植田の三師は、偶然にも日蓮宗大荒行の同行僧で、当時から3人で「これからの布教は、もっと文書伝道に力を入れなければならない」と語り合っていたという。
中村師は、85年に『九州新翰箋─こんな坊主がいてもいい』(ほっと社)で石川教張師(故人)の推薦を受けてペンクラブに加入し、道岡師は、93年に『法華経はイエスの教え』(鈴木出版)を出版して世間の注目を集めた。両師は今なお旺盛な執筆活動を続ける。
また、御厨尚純師(福岡県妙法寺住職)も、『煩悩即菩提』(文藝春秋企画出版部・2003年)で昨年からペンクラブ会員になっており、日蓮宗僧侶の文筆布教が今後もさらに期待される。
これからの日蓮宗のあるべき姿を訴える植田師の文章が社会的に評価されたことは、新宗門運動がスタートした今春、喜ばしいニュースであり、これを受けて植田師は「たいへん光栄です。今後も日蓮宗新聞を中心に執筆を続け、未来に向けた日蓮宗のビジョンを模索していきたい」と語る。
2005年5月10日号
綜合財団賞・奨励賞 晴れの授賞伝達式
日蓮宗綜合財団(伊藤通明理事長)は4月20日、東京・品川のホテルパシフィックで第22回日蓮宗綜合財団賞・第14回綜合財団奨励賞の授賞伝達式を行い、全国の宗務所長ら約200人が出席した。
今年度の綜合財団賞は、海外布教部門で堀教通師(東京都杉並区妙法寺修徒)、社会教化部門で森下晃誠師(長崎県小浜町一妙寺住職)が受賞。綜合財団奨励賞は、布教伝道部門で日蓮宗和党会(静岡中部・則武海源会長)、日蓮宗青年五明会(静岡中部・今井真孝会長)、能登日蓮宗青年会(石川二部・高木繁徳会長)、日蓮宗大阪三島青年会(山口貴大会長)の4団体が受賞した=既報=。
はじめに伊藤理事長が授賞経過を報告し、受賞者を紹介。岩間湛正宗務総長が「綜合財団賞を受賞されたお二方は、長年の功績に対する評価とともに後進の指導にあたっていただきたいとの意味が込めれたもの。また、奨励賞を受賞された青年僧のみなさんは今後の活躍を期待されての受賞と思います。4月から立正安国・お題目結縁運動が始まりましたが、ご法体に充分留意されて宗門発展のために尽力頂くことをご期待申し上げます」と挨拶した。その後、伊藤理事長から受賞者に賞状と盾、副賞が贈られた。
海外布教部門の堀師は謝辞の中で、過去の開教師の偉業と現在の開教師の努力に触れながら、「宗門要路の方々に訴える最後の機会」として海外布教のあり方について意見。開教百周年を迎えたアメリカに現在日蓮宗信者が何人いるのか明確な人数は把握できないが、英語日蓮宗新聞の配布数から考えると約2500人だと堀師は分析。1500年代、日本に入ってきたカソリックは80年間に30万人の信者を得たことに比べ、日蓮宗が100年の布教で得た成果は「小さいと言わざるを得ない」とし、今後の海外布教を考える場合のキーポイントとして「開教師の英語教育」と「海外布教に対する宗門の充分な補助」を訴えた。最後に自分自身の今後の目標として、『日蓮聖人全集』全七巻の英訳を達成させたいと述べた。
また、社会教化部門の森下師は「昭和24年の住職就任以来、社会福祉法人小浜会を創設し、幼稚園、保育園、養護老人ホーム等を開設しました。常不軽菩薩の御心を体することを学び、一人ひとりが独尊で、かけがえのない存在として娑婆即寂光土の実現に専心してきました。職員すべてが“よろこびの心”を発露してがんばってくれています」と語った。
奨励賞を受賞した各青年会の挨拶後、渡邉寶陽立正大学名誉教授の音頭で乾杯。この日は全国宗務所長会議が開催中で、宗務所長らは、それぞれの受賞者に慰労の言葉をかけ、功績をねぎらった。