日蓮宗新聞

2005年4月10日号

本山海長寺貫首に菅野啓淳師

静岡県静岡市の本山海長寺の貫首に菅野啓淳師(東京都浄延院住職)が就任し、辞令伝達式が3月31日に東京大田区の日蓮宗宗務院で行われた。
菅野師は昭和12年生まれ。30年間にわたり宗立谷中学寮の寮監を務め、青年僧侶の教育という重任にあたってきた。また常任布教師として言説布教の分野でも活躍し、平成14年から今年3月まで、総本山身延山久遠寺の布教部長を務めた。
辞令を手渡した岩間湛正宗務総長は「長年のご経験を活かしていただき、さらなるご尽力をお願い申し上げます」と菅野師を激励。
菅野師は「貫首職の拝命は正直言って意外な気持ち」と前置きしながら、「海長寺の歴代譜を調べると、学僧の多さに驚かされます。本山には、六老僧日頂上人に授与された日蓮聖人のお曼荼羅本尊が伝わっていますが、学僧日頂上人にあやかって興学布教に努めたい。掃除とお経は僧侶の基本ですので、海長寺で若い僧侶たちと共に修行し、お題目の道場とするのが夢です」と意気込みを語った。
なお、晋山式は5月17日に海長寺で行われ、当日は宗立学寮生OB有志による唱題行脚も行われる予定。
【龍水山海長寺】羽衣伝説で有名な旧清水市の三保松原近くの景勝地に建つ名刹。日蓮聖人の弟子で中老僧の日位上人が、天台宗だった当寺を法論で改宗させたのが始まり。「満願の祖師像」を奉安し、渡唐の天神(菅原道真)像を祀る天神堂もある。境内では常緑の松や蘇鉄が見事に繁っている。

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「立正安国・お題目結縁運動」へ邁進

日蓮宗は平成17年4月1日から「立正安国・お題目結縁運動」を開始しました。
新たな宗門運動は宗門にとって非常に重要です。「お題目」を唱える教師・檀信徒が共にこの宗門運動を支え、将来の宗門をしっかり見据え、若い教師、若い檀信徒、未信徒へアプローチしていかなくては、伝道宗門としての日蓮宗の存在価値はないといっても過言ではありません。
私たちは一丸となり、まさに「異体同心」「二陣、三陣続けよかし」と示された日蓮聖人のお言葉を躰し、この運動実現に邁進しようではありませんか!

基本理念

日蓮宗は平成21年(2009)に「立正安国論」奏進(そうしん)750年、平成33年(2021)に日蓮聖人のご降誕(こうたん)800年という慶ばしい時を迎えます。
現代の社会は少子・高齢化が進み、経済状況の浮き沈みに伴う生活基盤の変化や家族・家庭構成の変貌等が作用し、大きな社会不安を生んでいます。
また、殺人や盗難等の凶悪犯罪や、さまざまな困惑や不安が原因で自殺者が増加、子供たちを巻き込む悲惨な事件の頻発や人命軽視の風潮等、生命(いのち)を取り巻く状況が悪化の一途をたどっております。
自然の破壊や汚染にも歯止めがかからず、民族・宗教対立など、根深い問題を背景とした紛争、テロリズムの蔓延など、生命破壊の恐怖はわたしたちの身近に押し迫っています。
生命の尊厳の基盤が大きく揺らぎ、まさに末法の様相であるとも言えます。
一方仏教界では、信仰や宗教に対する意識の変化等により、従来の伝統的観念が崩壊しようとしています。
このようなさまざまな不安や憂慮すべき困難な時代であればあるほど、わたしたち人間は何を目的として生きるべきか、改めて見つめなおさなくてはなりません。
わたしたちの究極の目的は、自分自身が仏になり、全ての人々を仏教に導いて、安らかな世界を実現することであります。
お釈迦さまは、「一切衆生をして 我が如く等しくして異なることなからしめん」と、大きな慈悲に基づく教えを遺されました。
さらに日蓮聖人は混乱した時代に生きる個人だけではなく、社会や世界全体に正しい教えが根ざした平和を実現するため、南無妙法蓮華経の「お題目」を示されました。
それは、疑いや恐怖の心に信じる喜びと安心を、憎しみや争いの社会に慈しみと安らぎを、混乱や破壊の世界に調和と希望をもたらすためであります。
今、真の平和と幸福を実現できるのは、このお釈迦さまの教えと日蓮聖人の教えの実践以外にはありません。
わたしたち日蓮宗徒は、日蓮聖人の志を自らの志として、地涌の菩薩の自覚のもと、「立正安国・仏国土顕現」を目指して一心に精進して信仰するとともに、「お題目」の教えを人へ伝えて行く下種結縁(げしゅけちえん)に邁進しなければなりません。
日蓮宗は、常に「お題目」の伝道弘通を第一の目標として掲げ、近年においては、世界立正平和運動を経てお題目総弘通運動に至るまで、一貫して「妙法蓮華経」、「お題目」による個人と社会の救済を目指し、活動してきました。
そして、この歩みは子や孫の時代までの続くものにし、世界の平和を実現しなくてはなりません。
今こそ「立正安国論」奏進750年、日蓮聖人ご降誕八百年に向け、妙法蓮華経に説かれる「生命の絶対尊重」を基本理念とし、「立正安国の実現」を目的とする信仰運動の第一歩を踏み出す時です。
教師・檀信徒ともに心を一にし、「お題目」教えを一人でも多くの人に伝え志を持ち、確かな布教・伝道の新たなる歩みを始めましょう!

基本目標

一、「お題目こそ成仏の種」
*今こそ種を下ろし、実りの秋(とき)を迎えよう。
*お題目による個人の成仏、社会の成仏、国土全体の成仏をめさぞう。
二、「人を育てる。人こそが法の担い手」
*教師は、自己の信仰を確立し唱題修行に励むと共に、お題目の弘通、下種結縁に邁進し、檀信徒は、信仰の祈りに生き、教師の布教活動を助け、自らもお題目を唱え伝え弘めよう。
三、「心の平和、社会の平和、世界の平和」
*健やかな心、幸せな家庭、安全で活力に満ちた社会、世界の平和を、お題目によって実現しよう。
四、「現代社会の諸問題への対応」
*常に現代社会に目線を置き、人びとの「いのち」にやさしく寄り添い、抜苦与楽を具現しよう。
五、「世界の仏教徒と共に」
*アジアの諸国、世界各国の仏教徒と連携し、諸宗教との対話を通し
ての平和の礎になろう。

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2005年4月1日号

横浜市に日蓮宗寺院「蓮馨寺」

神奈川県横浜市に新しく日蓮宗寺院「蓮馨寺」が設立され、3月15日、東京大田区の日蓮宗宗務院で辻本学真住職に辞令伝達が行われた。
蓮馨寺建立を発願したのは、辻本師が昭和35年から随身していた横浜市妙香寺(宇都宮恵頌住職)の先代・宇都宮恵行上人。法華経流布に篤かった恵行上人が“新たな法城の建立を”と昭和52年、妙香寺の霊園隣接地に本堂用地を購入し、民家を改築して妙香寺別院を建立した。
別院運営と檀家約百件を託された辻本師は、法要や葬儀などあらゆる所に足を運んで法話を行い、布教活動に専念。新寺建立を目指して飲酒と喫煙を断ち、節約を続けた。都市部ならではの問題も多かったが真摯に働きかけ、少しずつ寺領を拡大した。平成8年には別院を蓮馨結社にし、教導に就任。毎月の信行会には50人以上が参加するようになり、檀信徒も300人を超えた。
平成10年、恵行上人遷化という悲しみに見舞われたものの、辻本師は恵行上人の悲願を成し遂げようと、妙香寺や妙香寺総代とともに法人格取得に向け一層力を入れた。今回、恵行上人を開基に発願から約30年をかけ無事円成。辻本師は、ともに歩んだ妙香寺の責任役員や蓮馨寺の檀徒と手を取りあって喜びを分かち合った。
15日の辞令伝達では岩間湛正宗務総長が設立認証書と住職承認辞令を辻本師に手渡し、「横浜という都会で長年足元を固めてきたとは思いますが、これからがまた新たな一歩です」と激励。同時に常任布教師の任命を受けた辻本師は「この日を恵行上人が一番喜んでくれていると思います。布教の拠点を与えて下さったからこそ今日がある。妙香寺のご住職や総代、檀信徒の皆さま、母や妻の支えがありました。その恩に報いるため今後も都市部での布教伝道・次世代の教化に精進していきたい」と語った。

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新年のご挨拶。

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  • 名句で読む「立正安国論」

    中尾堯著
    日蓮宗新聞社
    定価 1,365円

  • 日蓮聖人―その生涯と教え―

    日蓮宗新聞社編
    日蓮宗新聞社
    定価 826円+税

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