日蓮宗新聞

2005年4月10日号

「立正安国・お題目結縁運動」へ邁進

日蓮宗は平成17年4月1日から「立正安国・お題目結縁運動」を開始しました。
新たな宗門運動は宗門にとって非常に重要です。「お題目」を唱える教師・檀信徒が共にこの宗門運動を支え、将来の宗門をしっかり見据え、若い教師、若い檀信徒、未信徒へアプローチしていかなくては、伝道宗門としての日蓮宗の存在価値はないといっても過言ではありません。
私たちは一丸となり、まさに「異体同心」「二陣、三陣続けよかし」と示された日蓮聖人のお言葉を躰し、この運動実現に邁進しようではありませんか!

基本理念

日蓮宗は平成21年(2009)に「立正安国論」奏進(そうしん)750年、平成33年(2021)に日蓮聖人のご降誕(こうたん)800年という慶ばしい時を迎えます。
現代の社会は少子・高齢化が進み、経済状況の浮き沈みに伴う生活基盤の変化や家族・家庭構成の変貌等が作用し、大きな社会不安を生んでいます。
また、殺人や盗難等の凶悪犯罪や、さまざまな困惑や不安が原因で自殺者が増加、子供たちを巻き込む悲惨な事件の頻発や人命軽視の風潮等、生命(いのち)を取り巻く状況が悪化の一途をたどっております。
自然の破壊や汚染にも歯止めがかからず、民族・宗教対立など、根深い問題を背景とした紛争、テロリズムの蔓延など、生命破壊の恐怖はわたしたちの身近に押し迫っています。
生命の尊厳の基盤が大きく揺らぎ、まさに末法の様相であるとも言えます。
一方仏教界では、信仰や宗教に対する意識の変化等により、従来の伝統的観念が崩壊しようとしています。
このようなさまざまな不安や憂慮すべき困難な時代であればあるほど、わたしたち人間は何を目的として生きるべきか、改めて見つめなおさなくてはなりません。
わたしたちの究極の目的は、自分自身が仏になり、全ての人々を仏教に導いて、安らかな世界を実現することであります。
お釈迦さまは、「一切衆生をして 我が如く等しくして異なることなからしめん」と、大きな慈悲に基づく教えを遺されました。
さらに日蓮聖人は混乱した時代に生きる個人だけではなく、社会や世界全体に正しい教えが根ざした平和を実現するため、南無妙法蓮華経の「お題目」を示されました。
それは、疑いや恐怖の心に信じる喜びと安心を、憎しみや争いの社会に慈しみと安らぎを、混乱や破壊の世界に調和と希望をもたらすためであります。
今、真の平和と幸福を実現できるのは、このお釈迦さまの教えと日蓮聖人の教えの実践以外にはありません。
わたしたち日蓮宗徒は、日蓮聖人の志を自らの志として、地涌の菩薩の自覚のもと、「立正安国・仏国土顕現」を目指して一心に精進して信仰するとともに、「お題目」の教えを人へ伝えて行く下種結縁(げしゅけちえん)に邁進しなければなりません。
日蓮宗は、常に「お題目」の伝道弘通を第一の目標として掲げ、近年においては、世界立正平和運動を経てお題目総弘通運動に至るまで、一貫して「妙法蓮華経」、「お題目」による個人と社会の救済を目指し、活動してきました。
そして、この歩みは子や孫の時代までの続くものにし、世界の平和を実現しなくてはなりません。
今こそ「立正安国論」奏進750年、日蓮聖人ご降誕八百年に向け、妙法蓮華経に説かれる「生命の絶対尊重」を基本理念とし、「立正安国の実現」を目的とする信仰運動の第一歩を踏み出す時です。
教師・檀信徒ともに心を一にし、「お題目」教えを一人でも多くの人に伝え志を持ち、確かな布教・伝道の新たなる歩みを始めましょう!

基本目標

一、「お題目こそ成仏の種」
*今こそ種を下ろし、実りの秋(とき)を迎えよう。
*お題目による個人の成仏、社会の成仏、国土全体の成仏をめさぞう。
二、「人を育てる。人こそが法の担い手」
*教師は、自己の信仰を確立し唱題修行に励むと共に、お題目の弘通、下種結縁に邁進し、檀信徒は、信仰の祈りに生き、教師の布教活動を助け、自らもお題目を唱え伝え弘めよう。
三、「心の平和、社会の平和、世界の平和」
*健やかな心、幸せな家庭、安全で活力に満ちた社会、世界の平和を、お題目によって実現しよう。
四、「現代社会の諸問題への対応」
*常に現代社会に目線を置き、人びとの「いのち」にやさしく寄り添い、抜苦与楽を具現しよう。
五、「世界の仏教徒と共に」
*アジアの諸国、世界各国の仏教徒と連携し、諸宗教との対話を通し
ての平和の礎になろう。

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    中尾堯著
    日蓮宗新聞社
    定価 1,365円

  • 日蓮聖人―その生涯と教え―

    日蓮宗新聞社編
    日蓮宗新聞社
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