日蓮宗新聞

2004年6月10日号

第67世藤井日恵師の晋山式

石川県羽咋市の本山妙成寺で5月22日、第67世藤井日恵師の晋山式が営まれ、五月晴れの下、桃山建築様式の建物が当時そのままに軒をならべる壮観な境内に僧侶檀信徒600人が参列し慶事を祝った。
午後1時、藤井新貫首をはじめ副導師、式衆らが、色とりどりの散華を撒きながら客殿前から仁王門をくぐり、北陸地方を代表する荘厳な五重塔の前を通って本堂へ。本堂前には周辺寺院の檀信徒婦人部約40人が黒留め袖姿でうちわ太鼓を手に参道を挟み、能登に伝わる独特の節回してお題目を唱える「高題目」で藤井新貫首を出迎えた。
式中、身延山久遠寺の斎藤邦昭副総務・庶務部長が「妙成寺は、日像上人の名刹にして加賀前田家との縁により隆盛を極めた法灯は今にいよいよ輝き、その継承護持たるは歴代貫首の身命を惜しまぬ使命であります。一途なる信仰の魂を以てこの任命を真摯に尊び、さらなる当山の繁栄の礎とならんことを切に期待します」と藤井日光法主猊下の祝辞を代読。続いて岩間湛正宗務総長の名代として中條令紹総務局長、堀之内妙法寺の嶋田教正貫首、法花堂見英石川二部宗務所長がお祝いの言葉を述べた。

 最後に藤井新貫首は「10棟が国の文化財の指定を受けている当山では、お堂そのものが布教道場。観光と信仰を両立させる道を探り、布教に全力を尽くしていきたい」と抱負を述べた。
晋山式に先立ち午前10時からは同市本成寺(中山教成住職)から駕籠に乗った藤井新貫首とともに、前田家の梅鉢紋入りのハッピにワラジ姿の奴行列が参道を練り歩き、多くの檀信徒や住民が見守った。

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ご真筆発見は日蓮門下全体の慶事

法華宗陣門流の総本山本成寺(新潟県三条市・鈴木日艸貫首)で格護されてきた曼荼羅本尊が、日蓮聖人のご真筆であることが明らかになった。これは一昨年前から立教開宗750年を記念して行われてきた修復調査で判明したもので、中尾堯立正大学名誉教授と寺尾英智身延山大学教授が確認。これまでに知られてきた日蓮聖人ご真筆の曼荼羅本尊・126幅に新たに一幅が加えられることになり、日蓮聖人門下全体の慶事となった。
中尾教授によるとこの曼荼羅本尊は、文永11年(1274)頃に佐渡ご配流中の日蓮聖人が地元の信者に向けて授与したものとみられ、日蓮聖人の布教伝道の実際のお姿を窺うことのできる証として、また当時の教団の状況を物語るものとしても意義深いという。
日蓮聖人はご生涯のうちに数多くの曼荼羅本尊を揮毫し、弟子や信者に与えられた。その形状は、丈が40cm程のものから2mを超える大型のものまで多様で、お守りとして折りたたんで懐中に入れたり、本堂や館に掲げて大人数で拝するなど、人々の信仰活動の環境に応じた様々な曼荼羅本尊が存在する。
本成寺には、古くから日蓮聖人ご真筆と伝える曼荼羅本尊が二幅ほど伝来し、一幅は佐渡で揮毫された小型(丈約44cm)のもので『御本尊集』(昭和27年・立正安国會刊)にも収録されている。しかしもう一幅については、ご真筆としての確信が得られないまま宝蔵に格護されてきた。本成寺では立教開宗750年を記念して、中尾教授に研究を依頼。同時に専門業者による厳密な修復を行ったところ、花押や筆跡・紙質など総合的に判断してご真筆に間違いないという見解に至ったという。

 この曼荼羅本尊は本紙が丈百12.5cm×幅44.8cmで4枚の紙を継いだ縦長の形状をしている。紙は楮を材料にした楮紙を用い、さらに美観・強度・防虫・筆の走りをよくするために、「染め紙」(すいたままの紙を、そのまま染料につけて染める)や「打ち紙」(数枚重ねた紙を、柔らかい鹿の皮にはさんで小槌で丁寧に打つ)の技巧が施されており、当時の最高レベルの製紙技術が取り入れられている。
また、日蓮宗本山頂妙寺(京都市)に格護される日蓮聖人ご真筆曼荼羅本尊とほぼ同様の筆致と墨色が認められ、おそらくは同じ日の揮毫と中尾教授は分析する。本成寺の曼荼羅本尊は、中央のお題目が左方に少しまがり、文字以外の墨痕が散っている。こういった特徴も模写などには見られないごく自然な状態を示しているという。
中尾教授によると、日蓮聖人は信者の求めに応じ、前もって信者が用意した紙に曼荼羅本尊を揮毫されたという。折り目のない縦長の形状からは、このご本尊が多人数を集めた礼拝の場に掲げられたことが想像され、ご配流中の日蓮聖人の周囲に、幕府や他宗の圧力に屈しない信者の集団が存在していたことを物語る。
中尾教授は調査を振り返り「初期日蓮教団の解明についてはこれまでも多くの研究がされてきたが、今回の発見は当時の教団の状況を具体的に物語ってくれる」と語る。
5月28日から3日間、本成寺では年中行事の祠堂大法要に合わせて曼荼羅本尊の特別開帳が行われ、多くの僧侶と檀信徒が参集した。
鈴木日艸本成寺貫首猊下は「この曼荼羅本尊を厳格に護持し、信仰の要として後世に伝えていくことが、一門に課せられた大きな使命であると覚悟を新たにしています」と挨拶され、続いて中尾教授が今回の調査結果を参加者にわかりやすく説明した。
中尾教授は集まった人々を前に「日蓮聖人は佐渡でのご苦難の中でも、人々の信仰の姿を忘れようとはなさいませんでした。こうして本堂に掲げられると、より一層お題目が輝いて見えます。すべての人々にお題目の光はとどくのだと思えてなりません」と述べ、説明を締めくくった。
参加者も、「たった今、日蓮聖人が書かれたようなお姿に、驚きと有り難い気持ちでいっぱいです」と声をそろえて感動を分かち合っていた。

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お題目を弘め次世代に伝えるために

平成16年度第51回日蓮宗全国檀信徒協議会(江守幹男会長代行)の総会が5月21日、東京大田区の日蓮宗宗務院で行われ、全国から55管区55人の代表が出席した。宗務院での総会は今回が初めて。立教開宗750年円成後の今こそが大切な時だと考え、檀信徒自身もお題目を弘め、次世代に信仰を伝えて行こうと話し合いが行われた。
12時半開会式。岩間湛正宗務所長を導師に法味言上した後、岩間総長、江守会長代行が挨拶した。その中で岩間総長は「檀信徒の組織は僧侶と共に宗門を支える両輪。皆さんの支えがあって法華経の教え、日蓮聖人の教えを弘めることができます。750以降の新たなる宗門発展ため、共に手を携えてやっていきたい」と話した。
総会に先立ち、栗原正震伝道局長が「お題目を一人でも多くの人に弘め、次世代に伝えていくことが大切です。難しい教義をもたなくても、信仰を伝えることはできます。身近な所からできる行動をしていきましょう」と挨拶した。

 総会は江守会長代行が議長を務め①平成15年度事業及び会務報告②平成15年度会計・監査報告③役員補充④平成16年度事業計画案⑤平成16年度予算案⑥その他について審議が進められた。初めに田本憲吾副会長が平成15年度の事業・活動報告を行い、その中で昨年度は二教区に教区管区檀信徒協議会開催の助成をしたと報告した。
③について昨年の桜内義雄会長逝去以降、江守副会長が会長代行を務めていた経緯を説明。また、常任委員会において江守氏を会長に、副会長に斎藤文夫氏を推薦し、会計には三田村久弥氏が互選されたことを報告した。それぞれ新役員が挨拶を行い、江守新会長は「お題目を次世代に伝えていくためにも、信仰の場に若い人の力を発揮させていきたい」と抱負を述べた。
その後、平成16年度の事業報告がなされ、「一寺院一信徒青年会」結成啓蒙運動の継続と『檀信徒のこころえ』改訂版の発刊をしたことなどが報告された。また会計報告では、開催地を宗務院にしたことで宿泊、交通費等で経費の削減ができると報告。
⑥では今回、管区での活動報告が行われ、はじめに長崎県の縄本磯治会長が信徒青年会の設立について話した。長崎県は離島が多く、また信仰者の老齢化と若者の寺離れ、新宗教の活発な活動などが見られる。縄本氏はお寺の行事に参加する若者に青年会の結成を相談。若い人同士で声を掛け合い、人数を集めたことや、青年会の会費を安くし、護持会から援助金を渡し活動を行っていることを報告した。続いて、岩手県の三田村会長が管区檀信徒協議会の運営方法を説明。宗務所と檀信協との連絡を密にしたこと、青年僧の活動を促すため檀信協主催で修養道場を行っていたが、今年から青年会主催へと移行することが決定したことなどを話した。
最後に来年度の総会開催地を宗務院に決定し、終了となった。

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新年のご挨拶。

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