2004年6月20日号
第36世嶋田日新師の法燈継承式
やくよけの祖師で知られる本山堀之内妙法寺(東京都杉並区)で6月2日、第35世駒野日法師の退山と第36世嶋田日新師の入山に伴う法燈継承晋山式が営まれ、初夏を思わせる青空の下、僧侶・檀信徒約800人が参列した。
午後1時、嶋田新貫首が住職を務めていた近隣の宗延寺から行列が行われた。行列が環状七号線から妙法寺門前町にさしかかると、待機していた東京立正中学高等学校吹奏楽団の鼓笛隊が合流。勇ましい行進曲に乗せて一行は門前を抜けて妙法寺祖師堂へ向かった。
午後2時、堀之内雅楽会による厳かな楽の音に乗せて法要が始まり、東京西部宗務所の太田順道所長代理による辞令伝達に続いて、法燈継承の象徴たる払子が駒野前貫首から嶋田新貫首へ手渡された。
嶋田新貫首は奉告文の中で、妙法寺祖師堂に安置され六老僧日朗上人の手彫りとして伝わる「やくよけの祖師像」が江戸時代から広く庶民の信仰を集めてきたことや、200年以上続く千部会の伝統など妙法寺の由緒を述べた。さらに駒野前貫首の代に行われた祖師堂大改修工事や環状七号線沿いの宝塔建立、諸堂の新築・改修、八丈島別院改修工事などの数々の事業を仏祖三宝に奉告し、20年にわたる功績を讃えた。
続いて東京立正中学高等学校聖歌隊が宗歌を斉唱し、総本山身延山久遠寺藤井日光法主猊下名代の井上瑞雄総務、岩間湛正日蓮宗宗務総長が祝辞を述べた。
最後に嶋田新貫首が挨拶に立ち、「妙法寺のお祖師さまは“やくよけの祖師”です。一方、私が47年間住職を務めておりました堀之内宗延寺には江戸十大祖師の一つである“読経の祖師”がご奉安されています。昔から“お経の堀之内”と申しますが不思議なる仏縁を感じている次第です。今後も、檀信徒と一体となって法華経を読誦し、各家庭で正しい信仰による円満な生活が実現されますよう、お題目を世界に向けて発信して参る覚悟でございます。よろしくお願い申し上げます」と決意を述べ、法燈継承式を終了した。
妙法寺は多くの木立に囲まれているが、本堂脇裏手の約一千株のハナショウブもちょうど見頃を迎えた。このハナショウブは10年程前に門前町の人々が植えたのが始まりで、紫や白の鮮やかな彩りが慶事に華を添えていた。