日蓮宗新聞

2004年3月20日号

一日一円玉募金運動

“世界平和のために、自分が実際にできることからはじめよう”。檀信徒の生活の中から寄せられた一円一円が、積もり積もって約120万円に達し、平和への祈りとともに国連の手に託された。

群馬県宗務所(石橋要英所長)は3月11日、「一日一円玉募金運動」に寄せられた浄財を平和資金として国際連合本部に寄託した。
「一日一円玉募金運動」のきっかけは、群馬県内の日蓮宗僧侶が中心となって活動を展開している「世界平和基金」(代表・福田日出子元群馬県教育委員長=日蓮宗信者)。平成10年から核戦争を廃絶する平和運動のための基金として世界平和基金運動をスタートさせ、同年9月、617万円を代表が国連本部に持参した。
以後、宗務所はこの運動を継承し、“檀信徒ができる身近な運動を”と一円玉募金を提唱。趣意書とステッカーを作成し、県内の寺院・教会・結社を通して檀信徒に呼びかけた。
檀信徒は空き缶などにステッカーを貼附し、各家庭の募金箱を作成。一円玉があまるたびに投入し、法要などの際に菩提寺に届けた。
11日、東京都渋谷区の国際連合広報センターを訪れた石橋所長と宗務所役員が、ドル紙幣に換金した檀信徒の善意をを野村彰男所長に手渡した。野村所長は、現在191ヵ国が加盟する国連の予算が、日本の宇都宮市の予算の同程度の現状を嘆き、「平和のため有効に使わせていただきます」と感激していた。

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岩間総長施政方針挨拶――(要旨)

私は昨年の施政方針挨拶で、四項目の政策重点目標を設定しました(以下①~④)。日蓮宗は祖願である立正安国を掲げ、布教伝道を宗是としています。現代社会の人々の目線に合わせた布教活動を展開し、その視線に立った宗門伝道のあり方を今後も検討していきます。
①布教伝道
昨年4月、18年にわたるお題目総弘通運動の結実大会として、池上本門寺で「ワールドフェスタ・イン・池上」が行われました。8千名を超える参加を見たことは、今後の布教伝道のあり方に大いなる示唆を与えるものだと思いました。
平成十四年度の機構改革で新たに組織された「伝道企画会議」は全国の宗務所長をはじめ教師(僧侶)の協力のもと、活発な討議・活動がなされ、その意見を集約した布教方針「伝える」を本年度も継承し、「次世代へのアプローチ」に特に力点を置くことが確認されました。
次期「宗門運動」については管区伝道企画会議での活発な意見を汲み上げ、それを中央で集約・精査し、お題目総弘通運動18年間の総括のためのアンケート結果も活用し、次の定期宗会にその概要と方向を提案したいと考えております。
摂受・折伏の問題については、勧学院会議と現代宗教研究所からなる日蓮宗総合研究会議を開催し、「布教伝道の現場に於ける摂受・折伏のあり方と理念的裏付け―宗門の現代社会への対応のあり方―」を諮問し、「摂受・折伏の意を正しく理解すること、摂受・折伏は共に大慈悲心の発露であること、また布教伝道を行うにあたっては、個性や特性を発揮して摂受・折伏を使い分け、人々を法華経信仰へと導かなければならない」という答申書が提出されましたので、現場の教師は、この答申をもとにして布教活動に邁進して頂きたいと思います。
葬儀については、死者を悼み、霊山浄土へ導く厳粛な場であり、送る者に対しては人間の生死を実感する大変重要な布教の場であることを教師自身が明確に自覚し、その目的に叶う葬儀を実現するにはどうしたらよいか、葬儀の規範を含めて関係委員会で検討しております。
昨年の定期宗会で「イラク問題に対する日蓮宗の声明」を発表しましたが、イラク情勢が緊迫化した昨年末12月8日、第二弾として「イラクに平和が訪れることを祈る日蓮宗の声明」を出し、僧侶用・檀信徒用の祈願文を例示しました。今後も社会問題に積極的に発言していく所存です。
海外開教に関しては、特にアジアに重点を置いた活動を提言し、その成果として韓国、マレーシアのペナン・クアラルンプール、インドネシアのジャカルタに進出、現在その勢いは台湾にも波及しています。ラオス、カンボジア、ベトナムとの国際協力・交流も活発になってきました。従来のハワイ、北米、南米を中心にした開教活動をさらに効率良く展開するためにも、国際開教対策委員会で、組織的な開教戦略を練り上げています。新年度には第11次訪中団を結成し、数年来途絶えていた中国仏教協会との交流も図る所存です。
②教育
教育は宗門の将来を左右する重要課題です。沙弥教育・生涯教育・検定試験等各分野に関係委員会で検討を重ねております。また理想の教師像の具体化についても討議が加えられております。
加行所問題については、昨年の定期宗会で制定された加行所特別委員会に対し、加行所の正常化対策を早急に講ずる必要があるとの認識を持ち、いくつかの検討事項を諮問しました。
これに対し、加行所特別委員会より二度の答申を得、これを基に今定期宗会に「修法規程の改正」を提案しました。
遠壽院独自開堂問題は関係者共々話し合いを継続し、翻意を促してまいりましたが、遠壽院は度重なる説得にも応じず、宗制違反も自認の上での確信的行為とし、独自の開堂に踏み切りました。
宗務院の査問に対し、遠壽院側から独自開堂の理由を陳述した上、宗門に混乱をもたらしたことに対して謝罪がありました。次に、宗務院は遠壽院に対し寺院規則の変更を行政指導し、これを受けて遠壽院は「日蓮宗宗制により日蓮宗加行所を開設する」との項目を「歴史と伝統にもとづいて遠壽院加行所を開設する」と改めた変更の承認申請を届け出ました。
また、今後遠壽院加行所で事故が起こった場合、全ての責任は遠壽院が負い、日蓮宗には一切迷惑をかけないとの誓約書を宗務院に提出しました。
こうした状態を踏まえて修法規程中より加行の場としての遠壽院行堂を削除することを合わせて提案いたしました。
③宗門財政
厳しい財政環境の中、昨年度比増の予算を組むことができました。新たなる財政確保のための研究機関として宗門財政検討懇談会を学識経験者で構成し検討しております。
④過疎・過密
「過疎地寺院対策懇談会」として宗務総長の私的懇談会を発足し、本宗独自の具体案作りを進めております。
過密地寺院対策については具体的な対策として、伝道推進委員会に「都市伝道プロジェクト」を立ち上げました。他宗派での実状も研究し、該当する地域の関係者等にも意見を求め、拠点確保に努力していく所存です。
その他の政策
総合相談所は機構改革で新たに設置された機関で、寄せられる相談件数は毎年増え続けています。また新たに「後継者及び結婚相談情報システム」を開設いたしましたので、活用して頂きたいと存じます。
日蓮宗新聞社については、新聞紙面の充実を計り、信行用品の販売に努力をしておりますが、新聞社の一層の営業努力を期待すると共に皆様の御協力をお願いしたいと思います。
私が理事長を務めている日蓮聖人門下連合会については、大成功を収めた大日蓮展の決算が門連理事会で承認を受けました。
霊断師会については、以前から意見交換を行ってきましたが、新たに事務レベルでの会談を行ったことをご報告します。
本年は8年毎の宗勢調査実施の年であります。調査結果を今後の宗門発展のための基礎資料として活用して参ります。
「生命の尊厳」
私はかつて定期宗会で、「一、与えられ生かされている生命・二、限りある生命、・三、連続する生命、四、生まれ変わる生命」の四つの生命観を披瀝しました。
現代社会に目線を置いた布教の本質理念として「生命の尊厳」を掲げ、次期宗門運動・世界立正平和運動を構築していきたいと思います。よろしく御理解の程をお願い申し上げます。

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日蓮宗 第九十定期宗会開く

日蓮宗の宗制、その他重要な宗務に関する議決機関である宗会。岩間湛正宗務総長が就任して2回目となる第90定期宗会が、3月9日から12日まで東京大田区・日蓮宗宗務院で開かれた。
開会前に井村大祐議長と鶴田龍聖副議長が辞任し、新しい議長に明和会の上田尚正議員(京都市・本山立本寺住職)、副議長に同心会の三田村宗鳳議員(大阪府八尾市・本照寺住職)が投票により選出された。
本会議を前に、藤井日光管長猊下を導師に開会式が行われ、藤井猊下は「今日の世情を顧みますと、戦火が絶えず、文化は混沌とし、多くの人々が困難に喘いでいます。この様な時こそ世界の静謐を祈ることが緊要です。今宗会にても議員各聖におかれては慎重なる審議を尽され、宗門最高議決機関として明日の宗門興隆に顕然たる前途を示されんことをご期待します」と教旨を述べられた。

岩間総長の施政方針挨拶では、昨年の定期宗会の際に掲げた「四項目の政策重点目標」(①布教伝道②教育③宗門財政④過疎・過密)について、本年度の活動成果と今後の展望が各項目に添って表明された。(二面に施政方針挨拶要旨)
①布教伝道については、目線を現代社会の人々に合わせ、布教方針「伝える」を今後も継承し、特に次世代へのアプローチに力点を置くことを確認。
また、次期「宗門運動」の名称・内容に関しては、管区伝道企画会議等での活発な意見を汲み上げ、来年度の定期宗会での具体的な提案を目指すとしている。

さらに立正平和運動にそった活動として、昨年3・12月に二度出されたイラク問題への「日蓮宗の声明」にみるような社会問題への積極的な発言を今後も継続して行っていくことを述べた。
②僧侶教育については、宗門の将来を左右する重要な課題という認識を踏まえ、沙弥教育・生涯教育などに対し、各分野の専門員で構成する教育研修委員会が主となって検討を重ねていく旨を確認。
また今定期宗会の焦点の一つであった「修法規程の改正」について、かねてより議論が重ねられていた「日蓮宗加行所のあり方」をめぐり、「加行所は、教師(僧侶)の生涯教育の一つであり、法器向上の為の宗門教育機関である」という宗務院内局の見解を改めて示した。

これにより、昨年、加行所を独自に開堂した遠壽院に対し、日蓮宗が定める修法規程より加行の場として削除することを提案した。
③宗門の財務関係について、平成16年度経常部会計予算案は、厳しい財政環境の中、昨年度比778万円増となる19億6739万円を計上。今後も、新たなる財源確保のために、11人の学識経験者からなる宗門財政検討懇談会による会議を重ねていくとしている。
④過疎・過密地域の寺院対策については、「過疎地寺院対策懇談会」「都市伝道プロジェクト」を新たに発足。

過疎地においては調査に基づく現状把握に努め、具体案作りのため、慎重且つ早急に対処していきたいとし、都市部過密地においては過疎と裏腹の関係にある問題として、今後の重要性を認識し、布教拠点確保に向けて積極的な対応を行いたいと述べた。
岩間総長は最後に、「一、与えられ生かされている生命・二、限りある生命・三、連続する生命・四、生まれ変わる生命」の四つの生命観を再び披瀝し、現代社会に目線を置いた布教の本質理念として「生命の尊厳」を掲げ、次期宗門運動・世界立正平和運動を構築していきたいと強調した。

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新年のご挨拶。

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