日蓮宗新聞

2004年3月20日号

岩間総長施政方針挨拶――(要旨)

私は昨年の施政方針挨拶で、四項目の政策重点目標を設定しました(以下①~④)。日蓮宗は祖願である立正安国を掲げ、布教伝道を宗是としています。現代社会の人々の目線に合わせた布教活動を展開し、その視線に立った宗門伝道のあり方を今後も検討していきます。
①布教伝道
昨年4月、18年にわたるお題目総弘通運動の結実大会として、池上本門寺で「ワールドフェスタ・イン・池上」が行われました。8千名を超える参加を見たことは、今後の布教伝道のあり方に大いなる示唆を与えるものだと思いました。
平成十四年度の機構改革で新たに組織された「伝道企画会議」は全国の宗務所長をはじめ教師(僧侶)の協力のもと、活発な討議・活動がなされ、その意見を集約した布教方針「伝える」を本年度も継承し、「次世代へのアプローチ」に特に力点を置くことが確認されました。
次期「宗門運動」については管区伝道企画会議での活発な意見を汲み上げ、それを中央で集約・精査し、お題目総弘通運動18年間の総括のためのアンケート結果も活用し、次の定期宗会にその概要と方向を提案したいと考えております。
摂受・折伏の問題については、勧学院会議と現代宗教研究所からなる日蓮宗総合研究会議を開催し、「布教伝道の現場に於ける摂受・折伏のあり方と理念的裏付け―宗門の現代社会への対応のあり方―」を諮問し、「摂受・折伏の意を正しく理解すること、摂受・折伏は共に大慈悲心の発露であること、また布教伝道を行うにあたっては、個性や特性を発揮して摂受・折伏を使い分け、人々を法華経信仰へと導かなければならない」という答申書が提出されましたので、現場の教師は、この答申をもとにして布教活動に邁進して頂きたいと思います。
葬儀については、死者を悼み、霊山浄土へ導く厳粛な場であり、送る者に対しては人間の生死を実感する大変重要な布教の場であることを教師自身が明確に自覚し、その目的に叶う葬儀を実現するにはどうしたらよいか、葬儀の規範を含めて関係委員会で検討しております。
昨年の定期宗会で「イラク問題に対する日蓮宗の声明」を発表しましたが、イラク情勢が緊迫化した昨年末12月8日、第二弾として「イラクに平和が訪れることを祈る日蓮宗の声明」を出し、僧侶用・檀信徒用の祈願文を例示しました。今後も社会問題に積極的に発言していく所存です。
海外開教に関しては、特にアジアに重点を置いた活動を提言し、その成果として韓国、マレーシアのペナン・クアラルンプール、インドネシアのジャカルタに進出、現在その勢いは台湾にも波及しています。ラオス、カンボジア、ベトナムとの国際協力・交流も活発になってきました。従来のハワイ、北米、南米を中心にした開教活動をさらに効率良く展開するためにも、国際開教対策委員会で、組織的な開教戦略を練り上げています。新年度には第11次訪中団を結成し、数年来途絶えていた中国仏教協会との交流も図る所存です。
②教育
教育は宗門の将来を左右する重要課題です。沙弥教育・生涯教育・検定試験等各分野に関係委員会で検討を重ねております。また理想の教師像の具体化についても討議が加えられております。
加行所問題については、昨年の定期宗会で制定された加行所特別委員会に対し、加行所の正常化対策を早急に講ずる必要があるとの認識を持ち、いくつかの検討事項を諮問しました。
これに対し、加行所特別委員会より二度の答申を得、これを基に今定期宗会に「修法規程の改正」を提案しました。
遠壽院独自開堂問題は関係者共々話し合いを継続し、翻意を促してまいりましたが、遠壽院は度重なる説得にも応じず、宗制違反も自認の上での確信的行為とし、独自の開堂に踏み切りました。
宗務院の査問に対し、遠壽院側から独自開堂の理由を陳述した上、宗門に混乱をもたらしたことに対して謝罪がありました。次に、宗務院は遠壽院に対し寺院規則の変更を行政指導し、これを受けて遠壽院は「日蓮宗宗制により日蓮宗加行所を開設する」との項目を「歴史と伝統にもとづいて遠壽院加行所を開設する」と改めた変更の承認申請を届け出ました。
また、今後遠壽院加行所で事故が起こった場合、全ての責任は遠壽院が負い、日蓮宗には一切迷惑をかけないとの誓約書を宗務院に提出しました。
こうした状態を踏まえて修法規程中より加行の場としての遠壽院行堂を削除することを合わせて提案いたしました。
③宗門財政
厳しい財政環境の中、昨年度比増の予算を組むことができました。新たなる財政確保のための研究機関として宗門財政検討懇談会を学識経験者で構成し検討しております。
④過疎・過密
「過疎地寺院対策懇談会」として宗務総長の私的懇談会を発足し、本宗独自の具体案作りを進めております。
過密地寺院対策については具体的な対策として、伝道推進委員会に「都市伝道プロジェクト」を立ち上げました。他宗派での実状も研究し、該当する地域の関係者等にも意見を求め、拠点確保に努力していく所存です。
その他の政策
総合相談所は機構改革で新たに設置された機関で、寄せられる相談件数は毎年増え続けています。また新たに「後継者及び結婚相談情報システム」を開設いたしましたので、活用して頂きたいと存じます。
日蓮宗新聞社については、新聞紙面の充実を計り、信行用品の販売に努力をしておりますが、新聞社の一層の営業努力を期待すると共に皆様の御協力をお願いしたいと思います。
私が理事長を務めている日蓮聖人門下連合会については、大成功を収めた大日蓮展の決算が門連理事会で承認を受けました。
霊断師会については、以前から意見交換を行ってきましたが、新たに事務レベルでの会談を行ったことをご報告します。
本年は8年毎の宗勢調査実施の年であります。調査結果を今後の宗門発展のための基礎資料として活用して参ります。
「生命の尊厳」
私はかつて定期宗会で、「一、与えられ生かされている生命・二、限りある生命、・三、連続する生命、四、生まれ変わる生命」の四つの生命観を披瀝しました。
現代社会に目線を置いた布教の本質理念として「生命の尊厳」を掲げ、次期宗門運動・世界立正平和運動を構築していきたいと思います。よろしく御理解の程をお願い申し上げます。

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新年のご挨拶。

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