日蓮宗新聞

2003年10月10日号

立正大学 総合学術センター上棟式

立正大学学園(渡邊一之理事長)で開校130周年記念事業として立正大学(吉田榮夫学長)大崎校舎に建設している、立正大学総合学術情報センターの上棟式が9月28日に営まれた。式は建設途中の内部(3階部分)で営まれ、渡邉理事長、吉田学長をはじめ大学関係者や工事関係者、立正大学学園総裁の藤井日光猊下名代の栗原正震総務局長らが出席した。 上棟式では渡邉理事長が挨拶に立ち、昨年7月の地鎮式以来無事に工事が進められてきたことに仏天の加護を感じたと述べ、建設にあたり、多大な寄付をおこなった日蓮宗、同窓会、橘父兄会、また近隣の住民の方々へ感謝の意を表した。
その後の祝宴がもうけられ、挨拶に立った出席者は、この総合学術情報センターが社会に貢献し、地域と一体となって発展していき、学術情報の先端をいく施設になることを願った。
総合学術情報センターは五反田の山手通り沿いに立ち、地下3階、地上11階建て。内部には地下1階から3階までを図書・インターネット等による情報サービスを行うメディアセンター、4階から7階を教育用施設、8階から11階には国際研究センター、会議ホールなどを計画しており、今年12月の完成予定。

日蓮宗が立正大学学園に1億円寄付
また9月16日には、日蓮宗が立正大学学園(渡邉一之理事長)に対して、開校130周年記念事業助成のため1億円を寄付することを決定し、東京・池上の宗務院で岩間湛正宗務総長から渡邉理事長に目録が手渡された。
渡辺理事長は「巨額な助成を頂いたことに感謝すると共に、日蓮宗宗門から大学に対する精神的な支援を頂いたことは大きい。無駄にすることのないよう、宗門と提携を組み、発展していくよう努力していきます」と挨拶した。

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本山孝勝寺に五重塔建立

――五重ぎ然とそびえしさま、金剛力士が魔軍をにらんで、十六丈の姿を現じ坤軸ゆるがす足ぶみして巖上に突立ちたるごとく――(『五重塔』より)。文豪・幸田露伴の代表作のタイトルにもなった日本を代表する仏教建築物・五重塔が、日本最北の日蓮宗由緒寺院にお目見えした。
宮城県仙台市の孝勝寺(立花日照貫首)で9月27日、平成13年から建立が進められていた五重塔が昨年暮れに完成したことを受け、藤井日光身延山久遠寺法主猊下を大導師に天童音楽大法要が盛大に行われた。この日、孝勝寺の境内を埋め尽くした僧侶檀信徒約500人は、立花貫首と共に平成の純木造五重塔が完成した喜びを分かち合った。
午後1時、稚児20人が立花貫首と孝勝寺境内を練り歩く中、荒木是温師(仙台市大河原教会担任)を修法導師に力強い開眼修法。天童祭文は、元木聖泰君が祭壇を前に元気よく読み上げた。
藤井法主猊下は慶讃文の中で、永仁3年(1295)に創立された孝勝寺が、仙台藩主・伊達政宗公以来、代々の外護を受けて継承されてきた700年余の歴史を振り返られると共に、日蓮宗加行所の副伝師等を務めた立花貫首が、その人徳も相まって檀信徒の協力を得、この日を迎えたことを奉告された。
藤井法主猊下による御経頂戴に続き、岩間湛正宗務総長、文化財建造物保存技術協会参与の持田武夫氏が祝辞を述べた。
また藤井法主猊下、岩間総長、畠山海進宗務所長から、五重塔建立委員長の菊地正弘氏をはじめ、設計・施工関係者らに表彰状、感謝状が授与され、立花貫首からは檀信徒34人に感謝状が贈られることが報告された。
最後に立花貫首が念願の五重塔を背にし、感激もひとしおに謝辞を述べ、法要後は、市内ホテルで盛大な祝賀会が行われた。
立花貫首は平成9年、孝勝寺に入山。以来、“信仰の拠り所”としての五重塔を建てることを願い続けた。平成12年7月にようやく建設委員会を発足、翌年3月に地鎮式、昨年の5月には上棟式を迎え、12月に工事を終了させた。
五重塔の高さは礎石を含め31.9メートル、五層の上部にそびえる相隣は8.5メートル。東北の地には東北の木材をとの意向から、木材は水に強く耐久性のある青森ヒバを使用した。
初層には木像の日蓮聖人像と御曼茶羅が祀られ、天井には清澄寺の御霊木が用いられた。四層目には本堂に安置されている仏舎利の半分を、五層目には立花貫首が書写した法華経八巻が納められた。
また相輪上部には、夢枕に現れて立花貫首に建立を決意させたという昇り龍も。
監修にあたったのは佐藤巧東北大学名誉教授、設計・管理は鹿野設計事務所、施工は株式会社モトタテ・橋本の両企業体。

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十勝沖地震 寺院にも大きな被害

9月26日の未明と早朝、マグニチュード8.0の大規模な地震が北海道を襲った――。広範囲にわたって水道などのライフラインが切断され、建物の損壊や道路に亀裂が走るなど、行方不明3人、負傷者752人、建物被害245棟の被害が発生(10月2日現在)。依然余震が続いており、住民は日夜不安な中に置かれている。道内を管轄する4つの宗務所(東・西・南・北)のうち震度6弱を記録した、釧路・十勝地方を含む東部宗務所(内山智洋所長)と浦河郡、静内郡を含む西部宗務所(小友寛光所長)管内では、本堂の天蓋の落下や仏像の損壊、墓石、灯籠の倒壊などの被害が相次ぎ、各寺院では復旧とお会式を前にした法務に追われている。
北海道東部宗務所管内(45ヵ寺)のうち3ヵ寺が高さ4メートルを記録した津波が発生した太平洋沿岸に位置している。
地震発生後の26日から3日間、管内寺院を視察した内山所長の報告によると、管内で最も被害が大きかったのは、中川郡池田町の妙経寺(望月本孝住職)で、周辺道路が通行止めとなり一時は孤立状態に。電気が通ったのは26日の午後、水道が開通したのは3日後だった。

本堂では天蓋が下がり瓔珞が散乱。ご宝前の欄間も脱落し、専門家によると天井は支柱が破損しているため、震度3ないし4程度の余震でも崩れる恐れがあるという。仏具、仏像の破損がひどく、現在本堂は使用できない状態。納骨堂の位牌はすべて床に散乱し、墓石約30基のうち半分が倒壊した。激しい揺れだったが、望月住職と寺族にけがはなかった。
えりも岬の東北、広尾町広教寺(下森現勇住職)でも本堂や納骨堂の位牌、燭台、花瓶などが散乱。釧路市法華寺(室伏見順住職)と音別町法華寺(高砂寿完住職)では灯籠が5基程倒壊した。
一方、西部宗務所管内では6、7ヵ寺が太平洋沿岸に位置するが、どの寺院も高台にあるため津波の被害はなかった。
出光興産北海道製油所の火災があった苫小牧市に、日蓮宗寺院は3ヵ寺。そのうち製油所から約4キロと最も近い法華寺(小松靖孝住職)では、風向きによってガソリンのような異様な臭いがあり、車が煤で覆われた。
管内で被害が大きかったのは苫小牧市に近い勇払郡鵡川町の静光寺(水谷寛斎住職)で、約1メートル50センチある四天王、四菩薩像4体が倒れ、腕がかけたり、光背が細かく破損。約120センチある日蓮聖人座像はびくともしなかったが、本堂内の瓔珞が砕け落ち、仏具が損傷、位牌が散乱した。
朝勤の準備をしている最中、地震に襲われた水谷住職は「揺れがとても長く感じ、立つこともできなかった。急いで本堂に行くと、非常灯の薄暗い灯の中に見えてきたのは、瓔珞が落ち、四菩薩、四天王像が倒れ、仏具などが散乱した本堂の様子…。呆然として、放心状態になってしまった」と語っている。
震源地に最も近い幌泉郡えりも町大法寺(長坂松年住職)が午前6時過ぎの大きな揺れに襲われたのは、ちょうど朝勤の最中。長坂住職と寺族は、瓔珞が激しく揺れる中、急いでろうそくの灯を消して外に出た。揺れが大きかったわりに大きな破損等はなく、瓦葺きの屋根も異常なかった。大法寺ではこの日、午前11時から予定通りお彼岸法要を営んだが、参列者はいつもの半数の35人だった。
平成7年の阪神淡路大震災のマグニチュードが7.2だったのに対して、今回の地震では人的被害が少なかったことについて、小友所長は、水平の振動で家屋の倒壊が少なかったこと、震源が浅く近かったこと、人口密着地でなかったこと、また、朝食の準備をする前の時間帯で火を使っていなかったこと、暖房を使う前の時期だったことなど幸運が重なったのではないかと語っている。
北海道では10月初旬から11月半ばにかけて各地でお会式が営まれており、被害のあった寺院では、復旧とお会式の準備に追われている。
取材協力 下森現勇北海道東部通信員

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新年のご挨拶。

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