日蓮宗新聞

2003年10月10日号

十勝沖地震 寺院にも大きな被害

9月26日の未明と早朝、マグニチュード8.0の大規模な地震が北海道を襲った――。広範囲にわたって水道などのライフラインが切断され、建物の損壊や道路に亀裂が走るなど、行方不明3人、負傷者752人、建物被害245棟の被害が発生(10月2日現在)。依然余震が続いており、住民は日夜不安な中に置かれている。道内を管轄する4つの宗務所(東・西・南・北)のうち震度6弱を記録した、釧路・十勝地方を含む東部宗務所(内山智洋所長)と浦河郡、静内郡を含む西部宗務所(小友寛光所長)管内では、本堂の天蓋の落下や仏像の損壊、墓石、灯籠の倒壊などの被害が相次ぎ、各寺院では復旧とお会式を前にした法務に追われている。
北海道東部宗務所管内(45ヵ寺)のうち3ヵ寺が高さ4メートルを記録した津波が発生した太平洋沿岸に位置している。
地震発生後の26日から3日間、管内寺院を視察した内山所長の報告によると、管内で最も被害が大きかったのは、中川郡池田町の妙経寺(望月本孝住職)で、周辺道路が通行止めとなり一時は孤立状態に。電気が通ったのは26日の午後、水道が開通したのは3日後だった。

本堂では天蓋が下がり瓔珞が散乱。ご宝前の欄間も脱落し、専門家によると天井は支柱が破損しているため、震度3ないし4程度の余震でも崩れる恐れがあるという。仏具、仏像の破損がひどく、現在本堂は使用できない状態。納骨堂の位牌はすべて床に散乱し、墓石約30基のうち半分が倒壊した。激しい揺れだったが、望月住職と寺族にけがはなかった。
えりも岬の東北、広尾町広教寺(下森現勇住職)でも本堂や納骨堂の位牌、燭台、花瓶などが散乱。釧路市法華寺(室伏見順住職)と音別町法華寺(高砂寿完住職)では灯籠が5基程倒壊した。
一方、西部宗務所管内では6、7ヵ寺が太平洋沿岸に位置するが、どの寺院も高台にあるため津波の被害はなかった。
出光興産北海道製油所の火災があった苫小牧市に、日蓮宗寺院は3ヵ寺。そのうち製油所から約4キロと最も近い法華寺(小松靖孝住職)では、風向きによってガソリンのような異様な臭いがあり、車が煤で覆われた。
管内で被害が大きかったのは苫小牧市に近い勇払郡鵡川町の静光寺(水谷寛斎住職)で、約1メートル50センチある四天王、四菩薩像4体が倒れ、腕がかけたり、光背が細かく破損。約120センチある日蓮聖人座像はびくともしなかったが、本堂内の瓔珞が砕け落ち、仏具が損傷、位牌が散乱した。
朝勤の準備をしている最中、地震に襲われた水谷住職は「揺れがとても長く感じ、立つこともできなかった。急いで本堂に行くと、非常灯の薄暗い灯の中に見えてきたのは、瓔珞が落ち、四菩薩、四天王像が倒れ、仏具などが散乱した本堂の様子…。呆然として、放心状態になってしまった」と語っている。
震源地に最も近い幌泉郡えりも町大法寺(長坂松年住職)が午前6時過ぎの大きな揺れに襲われたのは、ちょうど朝勤の最中。長坂住職と寺族は、瓔珞が激しく揺れる中、急いでろうそくの灯を消して外に出た。揺れが大きかったわりに大きな破損等はなく、瓦葺きの屋根も異常なかった。大法寺ではこの日、午前11時から予定通りお彼岸法要を営んだが、参列者はいつもの半数の35人だった。
平成7年の阪神淡路大震災のマグニチュードが7.2だったのに対して、今回の地震では人的被害が少なかったことについて、小友所長は、水平の振動で家屋の倒壊が少なかったこと、震源が浅く近かったこと、人口密着地でなかったこと、また、朝食の準備をする前の時間帯で火を使っていなかったこと、暖房を使う前の時期だったことなど幸運が重なったのではないかと語っている。
北海道では10月初旬から11月半ばにかけて各地でお会式が営まれており、被害のあった寺院では、復旧とお会式の準備に追われている。
取材協力 下森現勇北海道東部通信員

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