日蓮宗新聞

2003年7月20日号

桜内全国檀信徒協議会会長が死去

日蓮宗全国檀信徒協議会会長で、衆議院議長などを歴任した元自民党衆議院議員の桜内義雄氏が、7月5日午後、呼吸不全のため東京都内の病院で死去した。91歳だった。法号は宏達院清明義雄日顕大居士。9日午後6時から東京大田区の大本山池上本門寺で通夜、10日午前11時から葬儀が営まれ、政財界をはじめ各種団体など合わせて約2千人の参列者が訪れた。桜内氏は昭和60年に日蓮宗全国檀信徒協議会会長に就任以来、現在にいたるまで18年以上にわたり檀信徒の総代表として、宗門が推進する立教開宗750年「お題目総弘通運動」を寺檀の亀鑑として支えた。日蓮宗は同氏の長年の功績を讃え、大法労章を贈ることを決定した。
葬儀は桜内氏が檀家総代を務める大本山池上本門寺本殿で酒井日慈貫首を導師、執事の佐々木義正師、野坂法雄師を副導師、本山内僧侶を式衆に営まれた。
元内閣総理大臣の中曽根康弘衆議院議員が葬儀委員長を務め、小泉純一郎内閣総理大臣、元内閣総理大臣の宮沢喜一氏、橋本龍太郎氏をはじめ国家の要職を務める大臣や関係者が参列。小泉総理大臣が弔辞の中で「信義に厚く、人情味あふれる政治家だった。生涯を日本国、郷土、自民党のために91歳まで情熱を燃やし続けた」と語るように、常に温厚で清廉潔白、贅沢を嫌った桜内氏を敬愛してやまない多くの参列者が訪れた。
酒井貫首は引導文の中で「勤勉にして実直、精励潔白を旨とし温厚篤実にして常に融和をもって国政にあたる、また極めて信仰心篤く日蓮宗全国檀信徒協議会会長ならび当山檀家総代および奉賛会会長として尽くさる、まさに宗門信徒の亀鑑たり」と氏の人柄と法労を讃えた。

読経に続き、中曽根氏が式辞を、小泉内閣総理大臣、綿貫民輔衆議院議長、倉田寛之参議院議、岩間湛正日蓮宗宗務総長が弔辞を述べた。
岩間宗務総長は弔辞の中で「先生、常に己の富貴、名聞を顧みず、天下の静謐、国土の安穏を心がけ給うは、吾祖立正大師日蓮聖人の誓願を紹継せらるる姿なり。乃ち、政道に慈悲の潤い、智慧の光を及ぼし、畢生立正安国の勇を奮う。僧と俗とは世間の理なれども、一乗の中には寸毫の隔たり此れ無し。居士が行功、寺檀の亀鑑と謂っべし。由って茲に日蓮宗は大法労章を贈り、その赫々たる法勲を讃う」と述べている。
喪主の桜内欽司(きんじ)氏の挨拶の後、焼香となり、多くの参列者が故人を偲んで香を手向けた。

「信仰いつの間にか身に付く」本紙で語る
桜内義雄氏は明治45年5月8日に東京に生まれ、昭和10年慶応大学を卒業。昭和22年に旧東京一区で初当選。2期目から旧島根全県区に転じ衆院で通算18回当選。通産相、農水相、建設相、外相など歴任し、平成2年2月から平成5年まで衆院議長を務め、平成12年6月の衆院選に出馬せず、政界を引退。
日蓮宗では、昭和60年に島根県檀信徒協議会会長から全国檀信徒協議会会長に就任して以来、会として「檀信徒報恩感謝基金」目標額1億5千万円の達成(平成6年)、「日蓮宗青年の船」への後援(平成5年)、「檀信協訪中使節団」派遣(平成5年)、教区への伝道車寄贈などの多くの事業があげられる。いずれも「お題目総弘通運動」を念頭に据えた宗門への外護活動であった。また全国檀信徒協議会会長職の他にも、日蓮宗檀徒の国会議員で組織する「一乗会」の会長なども務め、こうした桜内氏の功績に対し、日蓮宗宗務院は昭和52年と平成5年の2度にわたり、一級法労章を贈っている。
桜内氏の日頃の信仰について、平成2年3月に本紙が行ったインタビュー(平成2年4月1日号掲載)から振り返ってみると、「信仰深い祖父によく仏壇の掃除などやらされて、父(戦前に蔵相などを務めた旧民政党の桜内幸雄氏)が政治活動で忙しく、墓参りから法事まで、自然のうちに桜内家の先祖を守る役目を引き受けるようになった。理屈ではなく、いつの間にか身に染みついた信仰だと思う」と語り、また自身の政治活動と信仰を照らし合わせて「日蓮宗の檀信徒の一人として、自分は、日蓮聖人の教えを身に体して当たっているな、といつも思っている。ことに聖人の立正安国の精神で、どのような政治の衝にも当たっている。聖人の教えは政治の大道だと思う。個々のご文章ということでなく、常に立正安国を念頭においている」と述べていた。
葬儀終了後、全国檀信協議会副会長の江守幹男氏は「政府の要職にありながら、日蓮宗のことをよく御覧いただき、気にかけてくださいました。先生は温厚な物腰の中に、身についた信仰心に支えられた“信念の人”らしい厳しさも秘めているようでした。長年の宗門へのご尽力に深く感謝いたします」と桜内氏を偲んだ。

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2003年7月10日号

お題目、ハワイから全世界へ発信

2003年6月、アメリカ・ハワイ州――日蓮宗がはるか太平洋を越え、ハワイという異国の地でその信心を継承し、以来100年余。オアフ島ホノルル市・ハワイ日蓮宗別院(小川如洋主任)でこの日、藤井日光管長猊下をお迎えして立教開宗750年・ハワイ開教100周年・ハワイ日蓮宗別院新本堂建立落慶慶讃大法要が盛大に営まれた。また同日昨年9月に完成したハワイ日蓮宗別院新本堂の開堂法要もあわせて行われた。
開教に尽力し、100年の歴史を築き上げてきた先師を顕彰するとともに、今後もその意志を受け継ぎ、新たな布教活動を展開する節目として行われた一連のテーマは“伝えよう過去から未来へ、弘めようハワイから世界へ”。ハワイに響き渡ったお題目は、「一天四海皆帰妙法」の祖願達成をめざして新たな道を切り開き、ハワイから全世界へと発信された。 ハワイと日蓮宗との絆は深い。1880年代、日本人労働者のハワイへの移民が奨励され、多くの日本人がサトウキビのプランテーション農園に移り住んだことに端を発する。

ハワイが労働の拠点として注目を浴びる中、希望と不安を胸に新境地での生活を始めた日本人に対し、信仰の輪を広げ、異国の地にも真の幸せをもたらそうとハワイに向かったのが高木行運師(岐阜市法華寺住職=当時)だった。
高木師は1899年10月にハワイに渡り、その後しばらくの間、有縁の地を求めて旅を重ねていた。
1902年5月、折しも立教開宗650年というご正当の年、高木師はハワイ島の日蓮宗カパパラ教会(現在はチベット寺院として継承されている)を設立した。
その後、日米両国は第二次世界大戦という悲惨な歴史を辿ることになるが、ハワイという寛容な土地柄の中、お題目は日系移民を中心に根強く受け継がれていった。
先師のみならず、篤信の檀信徒の協力によって、ハワイの日蓮宗は100年の継承を守り抜くことができたのである。
旧日蓮宗カパパラ教会には今回、“日蓮宗近代開教発祥の地”と刻まれた顕彰碑が建てられ、23日に「日蓮宗近代開教顕彰碑除幕式」が行われた。
なお、立教開宗750年・ハワイ開教100周年慶讃法要は、3度にわたり行われた。

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