日蓮宗新聞

2003年5月10日号

未来への新たなる第一歩

「ワールドフェスタ in 池上」の一環として宗務院講堂で「日蓮宗国際青少年交流シンポジウム」が開催された。出席したのは、韓国32人、イギリス6人、イタリア2人、スペイン1人、ロシア1人、ハワイ8人、北米4人、インド人2人。海外信徒団約60人と全国檀信徒青年会代表者約30人。マレーシアから20人も参加予定だったが、新型肺炎(SARS)の影響で断念した。
民族衣装姿の各国の海外信徒団は、檀信徒青年会代表者らの温かい拍手の中、笑顔で入場。韓国の信徒団は彩り豊かなチマチョゴリ、インドからの参加者は民族衣装のサリーで華を添えた。
はじめに、岩間湛正宗務総長が英語で挨拶を行い「世界にお題目を広めるために、皆さんの多大な協力が必要です。このシンポジウムが、未来への新たなる第一歩となることを願っています」と海外信徒団を歓迎。続いて田端義宏伝道部長が「法華経の教えを一言で言うと“人はみな仏”。私たちは、この世に遣わされた地涌の菩薩だと説かれています。人が、み仏の教えに耳を傾けなかった結果として戦乱が起き、修羅、地獄の世界を作り、自らを不幸にしている。み仏の子としての自覚と誇りを持って、国境を越えて心を通わせ、世界中の人々の幸せのために語り合って下さい」と述べた。
各信徒団が紹介されたあと、シンポジウムは日本語、韓国語、英語の3ヵ国語による司会進行で進められた。積極的に青年会活動を行っている日本の代表者4人と、ロンドン、ハワイ、韓国で活動する信徒3人が、順に現在の活動、信仰に入るきっかけや信仰体験、法華経や日蓮聖人への思いを発表。その後、ロンドン常行寺担当のタラビーニ師が「日蓮宗檀信徒の皆様へ」、韓国・寶土寺担当の禹法顕師が「大聖人の正しい教えとは何だろうか」と題して参加者にメッセージを送った。
ヨーロッパにある日蓮宗寺院2ヵ寺のうち、ロンドン常行寺で信行を深めているニージェル・レイさんは、ヨーロッパの現状を紹介した。イタリア、スペイン、スイス、ルーマニア、フランスなど16ヵ国に約120人いる日蓮宗信者は、お互いに電話や電子メール、手紙で情報や教材を交換しているが、信徒が遠く離れているため、ヨーロッパの人間として法華経と日蓮聖人の教えを実践し、日蓮宗の教義を護り、布教を促進していくうえで、信徒が孤独感を感じ信仰を分かち合うことを難しくしている。また、言葉の違いがあり、各国語での仏教の教材や出版物、経本が深刻に不足していると指摘。
しかしその困難にもかかわらず「私たちは仏さまと日蓮聖人の信徒であり弟子であるという気持ち、“地涌の菩薩”としての強い自覚を持ち、一つの大きな家族の一部として、大きな友愛でお互いを支え合っています」と力強く述べた。
6月に開教100周年法要が営まれるハワイの日蓮宗別院信徒、ロベルタ・カンさんは、自らの人生を、幼い頃から身近にあった別院の歴史をたどりながら語った。21歳の時、ハワイからロサンゼルスへ移住し、結婚後も各地を転々としたロベルタさんは、どこへ引っ越すにもお曼荼羅とお数珠は必ず携え、日蓮聖人への信仰を絶やさなかった。前夫との離婚、母親の面倒を見るため帰郷し息子と離れ別れになったことなど辛い経験を振り返り「辛い時にも、日蓮聖人は私の人生を導いてくれていたのだと固く信じています」と結んだ。
韓国から参加した寶土寺信徒・崔琪密さんは、自らの信仰体験を告白。1992年に創価学会から改宗した崔さんは、その後、1年のうちに長男と夫を亡くすという災難に襲われた。自らも体調を崩したが「命を諦めてはなりません。不自由でも生き延び、大聖人の教えを弘めなければ」と日蓮宗の僧侶から指導を受け、毎日5時間の唱題。その間、親戚や兄弟、信心の仲間までもが“間違った信仰だ”と嘲られたが、日本で僧侶の勉学に励み“韓国に大聖人の正しい教えを伝えよう”と帰国した禹師のもと、いっそう堅固に信仰を続けている。崔さんは、時折ハンカチでこみ上げる涙を抑えながら「大きい小さい難が来る度に大聖人の“二辺の中に言うべし”のお言葉を思い、“強情の菩提心を起こして”今も精進を続けています」と力強く語った。
日蓮宗で国内・海外の信徒が一同に会したのは、今回が初めて。各国の参加者は熱く語る発表者に耳を傾け、日本語、韓国語、英語、ロシア語、中国語に訳された冊子を必死に目で追っていた。

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「ワールドフェスタ in 池上」を開催

平和がゆらぎ、心も不安定な世界――環境・平和・いのちについて楽しいイベントを通し、考える機会を持ってもらおうと、ワールドフェスタ実行委員会はお題目総弘通運動結実大会としての「ワールドフェスタin池上」を4月20日、東京・池上の本門寺と日蓮宗宗務院で開催した。日蓮宗のほか、日本ユニセフ協会・産経新聞・イキイキ推進委員会が後援、その他団体の協力により行われた。

当日は雨天の為、開催予定だったバザーとフリーマーケットは中止になったものの、本殿のイベントや、一青窈さんの野外ライブに集まった人数は延べ8千人。家族連れやアジアやヨーロッパなど、世界各地から多くの僧侶檀信徒が集った。
 境内には37の団体ごとに仕切られたブースが設置され、午前10時から「環境・平和・いのち」展が開かれた。世界各国で農村開発・平和活動を行っているNPO団体“JVC(日本国際ボランティアセンター)”や自死・病気・災害遺児を支援する“あしなが育英会”のほか、NPOボランティアネットワーク“Earth(アース)”、立正福祉会による“子どもの心理相談室”など、日蓮宗として活動する諸団体が参加した。
また、タイ料理やブラジル料理をふるまうブースもあり、おいしいとの評判を聞きつけた人々の長い行列ができ、境内は終日にぎわいを見せた。
正午には「いのりの時間」が設けられ、本殿裏の特設ステージでは岩間湛正宗務総長が「お釈迦さまは“全ての人にとって生命は愛しい。我が身にひきあてて殺してはならない。殺させてはならない”と説かれました。み仏の教えを鏡とし、愚かさには智慧を、憎しみには慈悲を、拒絶には寛容の心を持ち、戦争より平和を目指して共に祈り、行動を起こしましょう。18年にわたって展開されたお題目総弘通運動の結実大会において、まず自らの心の平和と共に、世界人類の永久平和に祈りを捧げ、世界中の人々と手を携え、立正平和の運動を推進していくことを宣言します」と述べた。

続いて檀信徒青年会代表の長谷川浩美さんをはじめ、9ヵ国の代表がそれぞれの言葉で平和への誓いを述べた。日本からは全国檀信徒青年会代表の長谷川浩美さん。
本殿では午後から、テレビ番組「グレートジャーニー」に出演し、医師・探検家として知られる関野吉晴さんの講演、女優で演出家の長岡輝子さんによる「宮澤賢治朗読会」、ジャー・パンファンさんによる、“東洋のバイオリン”といわれる二胡のコンサートが行われた。
 閉会式前には、会場に訪れた人が誰でも参加できる航空券争奪クイズ大会が行われ、景品をかけてのジャンケンには、多数の子どもが参加して盛り上がった。
また夜には、五重塔をバックに設置された野外ステージで、フェスタ最後の催しとなる歌手・一青窈さんのライブ「月天心~しゅるり~」が行われた。
一青窈さんは父親が台湾人、母親が日本人。幼稚園まで台湾で育ち、その後は日本へ。昨年、デビュー曲「もらい泣き」が大ヒットした。中国語と英語、日本語で作詞を手がけ、現在多くの注目を浴びるアーティスト。
発売後わずか10分で完売したという入場チケットを手にした約3千500人の聴衆を前に、新曲「大家(ダージャー)」など全16曲を披露した。
協力団体 日本香堂、大陸旅遊、JTB、日本旅行、近畿日本ツーリスト、東京四宗務所、社教連合会、社教関係諸団体、全国檀信徒協議会、檀信徒青年会管区代表者、青少年活動関係諸団体、国際開教関係諸団体、日蓮宗新聞社

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立教開宗750年慶讃結願大法要

4月22日、日蓮宗総本山の身延山久遠寺(藤井日光法主=日蓮宗管長)に、澄み渡る青空のもと世界各国、日本全国から3千500人以上の僧侶・檀信徒が集い、宗祖日蓮聖人立教開宗750年慶讃結願大法要が営まれた。「宗祖棲神のご宝前に一同合掌、礼拝、お題目を唱うるは立教開宗の大願751年の第一歩なり」。藤井日光日蓮宗管長猊下は慶讃文の中で、慶讃事業の円成を奉告し、結願という千載一遇の法悦に出会えたことを悦ぶと共に、混迷を極める現代社会で、立正安国の祖願達成に精進することを誓った。法華経のみ教えを異体同心で全世界に――。お題目の声は大きく、力強く広がっていった。
結願をお祝いするように空は真っ青に澄みわたり、木々の新緑まぶしい身延山に、団体参拝の檀信徒を乗せた大型バスや、個人参拝の乗用車が朝早くから次々と入山。身延山は、境内や日蓮聖人の御廟所を参拝する檀信徒でにぎわった。
 宗祖日蓮聖人立教開宗750年慶讃結願大法要は午後1時、身延山久遠寺の大本堂で、藤井管長猊下を導師に営まれた。
大本堂は、御朱印で真っ赤になった行衣や肩章をつけた檀信徒をはじめ、韓国やヨーロッパ、インド、ハワイなど世界9ヵ国から参列した海外信徒団80人で埋め尽くされ、身動きもできないほど。大本堂に入りきれない参拝者は、祖師堂の大きなモニターと、大本堂前に張られたテント下のモニター4台を拝して参列した。
大本堂に響き渡る大太鼓に合わせ参列者がお題目を唱える中、導師の藤井管長猊下をはじめ式衆が入場。栗原正震総務局長の開会宣言で、いよいよ結願法要が始まった。
参列者全員で読経したあと、檀信徒協議会副会長の田本憲吾さんと江守幹男さんが、しずしずとご宝前にすすみ献香、奈良県の近藤波子さんと福井県の布谷雅子さん、檀信徒協議会の近藤逞夫さんと同常任委員の遠藤正さんも2人ずつ順に後に続き、献華・献灯を行った。

立正安国に向け精進を誓願

自我偈のあと、藤井管長猊下は慶讃文を読み上げられ、慶讃事業の円成を奉告したあと「今世界は、自国、民族の我執に捕らわれ、闘諍盛んにして人類その安らぎの処を持たず。故に我等門下一同廣く妙法を宣布して、佛日普く萬世を照らし、立正安国、浄佛国土顕現に精進せんことを誓願す」と結ばれた。
岩間湛正宗務総長は奉告文の中で、立教開宗750年慶讃諸事業の完遂をご宝前に奉告され、さらに、数々の慶讃事業を完遂したことは、立教開宗の意義を心にとめ現代社会に具現する道と心得た私たちの誓願行。しかし、宗祖の願業を現代社会に顕現することには、まだ万分の一にも及んでいないとし、今、私たちに与えられた務めは、世情を聖典祖判の明鏡に照らして、現代の実相を把握し、なすべき事をなすことが本化の使命であり、宗祖の願業であると述べた。
誓いの言葉では、日蓮宗信徒青年会の池上宗久さんが、全国の檀信徒を代表して法華経のみ教えを異体同心して全世界に伝えることを誓った。
藤井管長猊下の御経頂戴に、参列者は頭を低く垂れ、手を合わせた。その後、宗会議長の井村大祐師、身延山久遠寺の井上瑞雄総務が祝辞を述べ、主催者を代表して藤崎一明伝道局長が参列者にお礼の意を表し「心を込めて唱えたお題目は喧伝し、海外に広まり、子々孫々までも伝えていくようにしたい」と挨拶した。
最後に立教開宗750年慶讃会の田澤元泰事務局長が閉会宣言をし、終了した。
結願法要に先立ち、法要前日の21日午後6時から、前夜祭として万灯行列が行われた。16の万灯講中が久遠寺前の参道を練り歩き、総門前で万灯を奉納。その後、日蓮聖人の御廟所を目指し、御廟所前の拝殿で法味言上した。
太鼓や鉦、笛のお囃子が鳴り響く中、纏が振られ、身延の町に鮮やかな万灯の明かりが輝いた。

22日は午前8時、全国日蓮宗青年会約90人と日蓮宗宗立学寮OB約60人が行脚を行った。全日青は身延駅を出発、学寮OBは麓坊を出発し、それぞれ約1時間、行脚したあと総門で合流。檀信徒約10人を加え、隊列を整えて合同行脚し、三門からは、3コースに分かれて御廟所と久遠寺大本堂を目指した。

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新年のご挨拶。

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